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本屋の閉店後は何してる?福利厚生の「コーヒータイム」で最高の夜を過ごす

中東ヨルダンにある素敵な本屋に一目惚れし、「ここで働かせてください!」と飛び込み、本屋で暮らしていたときの話。(詳しくはこちら

この記事では、私たちヨルダン書店のスタッフが勤務を終えてからの、夜の過ごし方について書く。

●最後のコーヒーで締め

本屋のカフェカウンター

本屋の仕事として、本を仕分けたり料理したり…としているうちに、あっという間に19時ごろ。そろそろ今日の仕事は終わりとさせていただこう。仕事を何時に終えるかももちろん、スタッフの裁量に委ねられている。

スタッフは仕事を終えるとご褒美として、本屋のカフェで好きな飲み物を一杯をもらえる。それがもう私たちにとって至福の時間、至福の一杯であった。「こんなに美味しいコーヒーがこの世にあっていいのか?」「世界で美味しいコーヒーって、中東ヨルダンの小さな町の小さな本屋にあったんだ」と本気で思っていた。

こんなにも美味しいんだから、1杯は福利厚生として無料でもらえるとしても、好きな時間に自分で支払ってもう1杯コーヒーを飲んでもよかったかもしれない。しかし当時はそんなこと全く思い付かなかった…。このコーヒーは極上とはいえ「ただ数を増やせばいい」ってもんでもない「神聖な1杯」となっていたのだ。

バリスタ担当のセリーナ、シモンと

私は退勤後のカフェで、いつもカプチーノを頼んでいた。毎日同じ注文なのでバリスタの2人もそれを分かってくれていて、聞かれてもないのにカプチーノを出してくれる時もあったほどだ。

そう、これこれ

しかしシモンは「フウの『カプチーノください』っていう言い方が可愛くて好き」と言ってくれていたので、私は毎回カウンターに行って直接注文していた。そしてセリーナは「あなたのハグはいつも全力で抱きしめてくれるから好き」と言ってくれていたので、仕事が終わるとカウンターにいるセリーナにハグしに行っていた。

ラウラはというと、毎回チャイティーを頼んでいた。ヨルダンで初めて飲んで感動したらしい。一方アリスとデイビッドは「朝派」。ご褒美の一杯を夜ではなく朝に楽しむことで、1日の元気をチャージしていたのが素敵だった。

本屋の夜

飲み終わったスタッフは、そのまま本屋やカフェでまったりしてもいいし、スタッフみんなの分の夕食を作り始めてもいい。私はこの、仕事モードから休憩モードにじわじわと切り替わっていく時間が本当に好きだった。

この本屋で働きたくてヨルダンに来たのに、一番幸せな時間が「仕事が終わった時」だなんて。変な話だが、それもまたよしとされていた。いつ幸せを感じるかは、スタッフの裁量に委ねられているからだ。

●19:30 ぶらりと散歩、服をゲット

コーヒータイムも満喫して一息ついた後、私は「ちょっとウロウロしてくる」と言って町を散歩した。この散歩とは、集団生活を送る1日のうちで貴重な「一人になれる時間」であった。スタッフみんなのことは大好きだけど、やはり一人の時間も必要だ。

散歩していると、なんだか気になる「裏路地」に服屋を発見。入ってみると、いかにも中東という柄のコート?が売っていた。こんなデザイン、日本に無い!私は一目惚れしてしまった。

試着して、購入!(青いビニールにぐちゃっと入れてくれた)

この服屋の店主は英語を喋らず、私はアラビア語を話さなかった。でも、彼は何か言いたげにしている。よく彼を見てみると、彼はほっぺに手を当てて目を閉じる「おやすみポーズ」をすることで「それはコートじゃなくて、寝る時着る服だよ」と教えてくれた。なるほど〜。でも私は、コートとして着ちゃおうかな!教えてくれてありがとう、ハビービー。

本屋に帰ってラウラに「見て〜これ買ってきた」と見せると、ラウラは「オ〜〜〜マイガ〜!」と仰天。「あなた、なんって似合ってるの!?ちょっと待って、アリスを連れてくる!見てもらいましょ、まだ脱いじゃだめよ〜!?」と言ってアリスの部屋までダッシュで行ってしまった。あれ、そんなに褒めてくれるの…。ラウラは本当に面白い。

元気いっぱいのイタリア人スタッフ「ラウラ」の紹介記事はこちら

●21:00 ムービーナイト vs 猫

みんなで作る日もあれば、名乗り出た人が作る日も

さて、店じまいした後は、みんなでご飯だ。食べながら本当にいろんなことを話す。(まかないや食事の記事はこちら

そんな食事中に時々、「ねえ、今日はムービーナイトにしない?」と誰かが言うことがあった。すぐさま「「いいね!」」となり、ご飯を食べて歯を磨くと、急いで各自ポテチを買いに行ったり毛布を持ってきたり、熱々の紅茶を淹れたりポップコーンを作ったりして映画の準備をする。そうして本屋の狭い部屋にぎゅうぎゅうに集まって映画を観たのであった。

このソファにみんなでぎゅうぎゅうに座る
ムービーナイトの時の動画
(この時の動画を見返すといまだに涙が出る)

寒い寒いと言いながら身を寄せ合って、そのぎゅうぎゅう具合が私は大好きだった。

映画を観ていると、本屋で飼っている猫4匹がゾロゾロと集まってくる。しかし私は英語の映画を理解するのに全集中しているため、猫は大好きだが
とても気が散る。猫たちに言葉を選ばずに言えば、「大迷惑」であった。君たちがミャオミャオ来たら、映画に集中できないでしょ〜!

ある時、映画中に猫が私のひざに乗ってきた。他のスタッフならば猫がひざに来るとメロメロになって、喜んでナデナデする。しかし私は画面から目を片時も離さないまま、片手で猫の背中をヒョイっと摘んで床に降ろした。

そのロボットのような一連の流れを横で見ていたアリスは、「あなた、猫に冷たすぎるwww」とツボに入ってしまい、映画中に大爆笑。笑うアリスを見た私も大爆笑し、映画の最中に2人だけが声を殺して笑い転げていた。

数日後アリスが、私たちしか分からないそのエピソードを漫画にしてプレゼントしてくれた。なんて粋な計らい!映画中の小さな思い出が、宝物になった。

みんなの姉!フランス人スタッフ「アリス」の紹介記事はこちら

宝物の6コマ漫画!!ソファで映画を観る私とアリス

ところで私は「そこそこの英会話」ならできるのだが、「映画」の英語を聞き取るのは本当に苦手だ。映画が終わるたびに「で、結局どういう話だったの?」と聞いていた。みんなは「フウ〜あなたそんなに英語喋れて、なんで映画はいっつも理解できないのよ〜!?」と笑いながら解説してくれた。それで後になって「ええ!そういう話だったの?」と一人で衝撃を受けるのが常だった。

そのようにして私はいつも、どれだけ頑張って集中して観ても、みんなより2時間遅れで映画の内容を知るのであった。

猫が膝に来ようと、来なかろうと。


夜の過ごし方編・fin

●次回:仕事以外の「過ごし方」紹介

[[[近日公開]]]

●本屋の仕事一覧
本を仕分ける業務
憧れの大工の業務
怒涛のキッチン業務
クッキーを作る業務
カフェの看板を描く業務 
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第1話 「ヨルダンの本屋に住んでみた」
本屋のルームツアー
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