「共有」を利用したハッキング
「共有」を利用したハッキングには、ファイルやリソースを共有する際の脆弱性を突いた手法がいくつかあります。以下に代表的な手法と、その概要を解説します。
1. ソーシャルエンジニアリングによるアクセス
ハッカーが、ターゲットを騙してファイルやフォルダーの共有リンクをクリックさせることで、ターゲットのデバイスやネットワークにアクセスする手法です。
たとえば、電子メールやメッセージで共有リンクが送信され、「このファイルを確認してください」といった形でクリックを促す内容が含まれています。
2. クラウドストレージ共有の脆弱性
DropboxやGoogle Drive、OneDriveなどのクラウドストレージで、リンク共有機能を悪用する手法です。
ファイルが「共有リンクがある人には誰でも見られる」設定になっている場合、リンクを推測してアクセスできることがあります。また、リンクが流出すると第三者に悪用される可能性があるため、機密データの共有時は暗号化や厳密なアクセス制限が重要です。
3. SMBプロトコルの悪用
Windowsで一般的に使用される「Server Message Block(SMB)」プロトコルは、ネットワーク上でファイルやプリンタなどのリソースを共有するための仕組みです。
SMB共有の設定が甘いと、ネットワーク内の不正なアクセスにより、ファイルが閲覧、変更、削除される可能性があります。また、SMBプロトコルを介したマルウェア感染(たとえば「WannaCry」ランサムウェア)も報告されています。
4. ミドルマン攻撃(中間者攻撃)
共有リンクを利用した通信が暗号化されていない場合、ハッカーが通信経路上に割り込み、データを盗み見る、または改ざんする可能性があります。特に、パブリックなWi-Fiネットワークなどではミドルマン攻撃のリスクが高まります。
5. パーミッション設定のミス
ファイル共有時に権限(読み取り、書き込み、削除など)を過度に緩く設定してしまうと、予期しない人がファイルにアクセスしてしまうことがあります。
特に企業内ネットワークでは、誤って社外の人物にアクセス権限を与えてしまい、情報漏洩につながるケースがあります。
6. フィッシングを利用したファイル共有詐欺
悪意あるリンクやファイルが共有され、それをダウンロードして開くことで、マルウェアがデバイスに感染する手法です。
例えば、偽の共有通知メールを送り、ユーザーが信頼する企業からのメールであると信じさせて、マルウェアを含むリンクをクリックさせる場合があります。
7. 共有ドキュメント内でのマクロやスクリプトの悪用
共有されるWordやExcelなどのファイルには、マクロが組み込まれることがありますが、悪意あるマクロはスクリプトを介してマルウェアを実行することができます。
一見無害なファイルに見えても、マクロを有効にすると、バックグラウンドで悪意ある動作が実行されることがあります。
対策
共有リンクの設定を最小限に:共有を必要最小限にとどめ、アクセス制限を厳格に行う。
リンクを共有する場合はパスワードで保護:可能であればパスワード付きのリンクを使用。
アクセス権限の確認:特に機密データを含む場合、共有時に権限設定が適切か確認する。
マクロやスクリプトの警戒:信頼できるソースからのファイルでない場合、マクロを無効にする。
フィッシング対策:メールやメッセージでのリンクを安易にクリックしない。
このような基本的な対策を講じることで、「共有」を利用したハッキングのリスクを大幅に軽減することができます。
iPhoneの安全神話を覆す!複数台あるときの「共有」機能がもたらすリスクとは?
iPhoneはセキュリティが高いとされ、多くの方が安心して使っています。しかし、複数のiPhoneやApple製品を使用し、それらが「共有」機能を通じてリンクしている場合、ひとたび一台がハッキングされると、他のデバイスまで芋づる式に侵入されるリスクがあるのをご存知でしょうか?今回は、このリスクと安全性を高めるための確認ポイントをお伝えします。
1. 共有機能の盲点
iPhoneの「ファミリー共有」や「iCloud共有」は、便利で安全な機能です。しかし、複数台のiPhoneが同じApple IDで連携していると、一台が攻撃を受けた場合、他の端末にまで不正アクセスが広がる可能性があります。特に、共有されている写真、カレンダー、メモ、連絡先など、個人情報が多く含まれるデータは要注意です。
2. 具体的なリスク
パスワードやアカウント情報の漏洩:一台が侵入されると、他の端末でも保存されているパスワードや支払い情報が流出する恐れがあります。
アクティビティの追跡:iPhoneの位置情報やカレンダー情報、メモなどのデータはApple IDを通じて共有されているため、攻撃者が活動状況を把握できる可能性があります。
アプリ連携の悪用:ハッカーはアクセス権を利用し、他のデバイスのデータやアカウントに侵入するため、プライバシーに関わるデータも危険にさらされることがあります。
3. 対策方法
セキュリティを強化し、共有リスクを最小化するためのポイントを押さえましょう。
Apple IDのセキュリティ設定を見直す
2段階認証を有効にし、Apple IDのパスワードを複雑で予測しづらいものに設定します。共有設定を再確認する
不要な共有設定が残っていないかを確認し、不要な場合は無効化します。特にiCloudの「写真共有」や「メモ共有」、ファミリー共有設定は再チェックしましょう。信頼できるデバイスのみをリンク
同じApple IDでログインしているデバイスを最小限にし、信頼できるデバイスに限定します。アカウント情報を定期的に確認
iCloudやApp Storeでサインイン履歴を定期的に確認し、不審なアクセスがないかをチェックしましょう。
4. 最後に
iPhoneのセキュリティは確かに優れていますが、複数のデバイスがリンクしている場合、一台の脆弱性が他のデバイスに影響を与える可能性もあります。日々の設定確認を怠らず、自身の大切なデータを守りましょう。