ユーザー系システム会社で適切なキャリアを積むために
この記事の目的
ユーザー系システム会社からのキャリア形成に関する情報があまりないような気がする…というところからこれまでの自信の経験などを書き始めたものの放置してしまっていました。。せめて宣言したことは完結させようということで下記2点について今回は意見を書き連ねてみます。なお、成果だと曖昧なので、技術的な観点でキャリア確立をどうするか?という内容で書いてみます。
ユーザー系システム子企業で
成果を出すには技術的なキャリア確立をどうするか?
どんなユーザー系システム子会社に入るべき?
1.そもそも論-ユーザー系システム子会社の特徴とハードル-
あくまで自身が経験した一社および、同じような会社と社外勉強会で関わった中での意見ですが、技術者の観点でシステム会社でキャリアを積み上げる上で以下がハードルになるのではと考えています。
業務を通して学べる技術のスキルセットが偏りがち/古い
人事評価においてスキル面での評価がされづらい(できない)
前者は、会社として開発の人員の確保の観点で使う技術を揃えたいという思想が働く統制がかかる会社ほどこう言ったことが起きるかなと思っています。個人でやる気がある方であれば、新しい技術を適宜取り入れて改善を図りたい、となっていくと思います。しかし、ユーザー系システム子会社を作るような企業の場合、大きな企業であることも多くそうするとシステム開発や運用対象となるシステムの規模も大きくなります。さらに求める人材として、極端なスペシャリスト型(例えばアプリだけ、DBだけ、NWだけなど)が求められがちという点もあります。この点、昨今技術的な範囲が広がっている中でそう言った方向と揃わないことで会社の業務を通じてスキル面で成長できる要素が少ない可能性があります。
そのような開発規模が多い企業の場合、対応が必要な開発規模に対して効率的に対応しよう!という思想が働くと、利用する技術セットをある程度揃えようという思想が働いたり、もしくは特定のスキルセットを前提としたような開発ルールがつくられたりもします。そうなると、新しい技術を扱う時に人の確保はどうする?ということや、開発ルールにないけどどういう解釈をする?ルールを変える?など開発以外の面で色々な対応事項、調整事項が発生したりします。会社のビジネス面で見たら至極真っ当な考え方ですが、一方でキャリアを積みたい技術者の観点ではブロッカーになることが多い部分かと思います。
正直、そんなの時代の流行りに合わせて変えればいいじゃない?と技術者目線では思うと思うんですが、組織というレベルで新しいスキルセットを習得させるハードルはとても高いのが実情だと思います。世の中の社会人、そんなに意識が高い人ばかりな訳ではないというのも実態だと思います。
もう一つのハードル、評価についてはモチベーションの観点で課題と、会社から育成のための投資対象の人材としてもらえるレベルに持っていけるか?という点が課題になります。
モチベーションは何をするにも大事な要素であり、無視できない要素です。実際スキル面がどれだけ高いか、活かせるか?よりもいかに御用聞が上手いかみたいなところで評価される場合も多く、この辺りのギャップで悩むことはあるかもしれません。
また、ユーザー系システム子会社でもやはりシステム子会社である為に技術者育成の研修費や場合によっては海外出張など経験を積む為機会を提供してくれる会社があります。ただ、そのような会社の投資対象としてもらう為には、ある程度は社内の同世代の中で評価上位者であることは大事です。が、評価されるベクトルと、技術的な経験を積むベクトルが揃わない事は多々ありそのバランスが難しい点でもあると思います。
2.ユーザー系システム子会社で技術的なキャリアをどう確立するか?
そもそも論で挙げたようなブロッカーをどう掻い潜っていくか?と言う点はありつつも、その上でユーザー系システム子会社で(ユーザー系ならではの)キャリアを確立には以下の観点が考えられます。
ユーザー側でビジネスにおける技術を絡めた判断をする経験をする/見る
そして、技術でビジネスに貢献する
会社から投資をしてもらい独学では難しい経験や学びを得る
有料の研修/カンファレンスへの参加
まず、スキルセットの偏りについては自分の組織外との繋がりを持ち技術等を学ぶ、意見交換できる場を持つことが大事です。そこで技術を学ぶ事はもちろんですが、先に述べたように自社で使っている技術は偏った技術になっているか?という点を俯瞰的に見れるようになる為にも他の組織の考え方・見方を学ぶことが生きてくると思います。ユーザー系システム子会社でキャリアを積む為には、自分の業務などを俯瞰して立ち位置を適切に把握できていないと技術的なキャリアを積む事は難しいと思っています。なお、これは自身が所属する組織の例えば古いスキルセットの業務が役に立たないかというとそういう訳ではないです。そう言った業務を10年続ける…のはもちろん良くない場合が多いですが、1年など短いスパンで対応する事でキャリアの幅を持たせることにつながるはずです。
そして、その世の中の状態との差を踏まえつつ、自社のビジネスに技術でどう貢献するか?を考えることがユーザー系システム子会社の仕事の醍醐味だと思います。世の中とズレたスキルセットの中でどう効果をあげるのか?もしくは、全く時代錯誤すぎる技術を別のものに変えて行くことをどう説明するのか?などなどさまざまなアプローチができます。この選択権があることが多いのもユーザー系システム子会社の魅力だと思います。
ユーザー系システム子会社では、技術的な観点で上手くやっているか?というよりはビジネス的な観点でどれだけ効果を出しているか?という観点が当然ながら強いです。(これはユーザー系の会社に限らずどこでも当たり前かもですが、忘れちゃいけない事実)もちろん、ビジネス的な観点で結果を出す為に適切な技術を選んで技術的なキャリアと方向性を揃えることは正しい考えですし、共存できる部分ではあります。
一方で、おそらく将来を踏まえて適切なキャリアを積みたいと考える20代、30代の社員は先ほど述べた会社の技術の偏りに抗って技術選定をすることが難しかったりします。これは会社からのあなたへの信頼や、役職としてそう言ったレベルの役職につけているか?と言う部分が影響します。この辺については、ビジネスに対して技術を提案して改善/効果を出す提案を小出しであれ積み重ねて行くことで信頼を得ることが一担当でもやっていける動きかなと思います。とにかくインプットをしていることをちゃんと周りに知ってもらい、その内容をもとにアウトプットとしての何某かの判断/提案に繋げると言う動きを見せて行くのがいいと思います。
3.どんなユーザー系システム子会社に入るべき?
規模が大きいところ(お金があるところ)
投資するため(社員を育成する)のお金がある
ベンダーさんもいい人がくる可能性がある
自分が望むキャリアに活かせるビジネス
ビジネスによってシステムの特色はある程度存在する
金融はセキュリティや統制、システム運用面が強い、意外と新しい技術の取り入れが早い一方で、古い技術も多く扱うなどなど
今後のキャリアを考える上でも〜業界のシステムやってましたという色や経歴として色が付くのは事実(もちろん全てではないが)
これまで説明してきた事項を踏まえるとそれなりの規模やビジネスを持っているところがやはり適切だと思います。ビジネスの規模が大きければ、それだけ多くの種類/量の仕事があるので積める経験の幅が広がりますし、なによりそう言った場所には多くのベンダーさんがいて、そこには優秀な方がいる可能性も高いです。そうすると、学びの機会が増える傾向が高いです。
そして、ビジネスの種類によってシステム開発における技術選定の傾向や、運用面への考え方など色がつきます。自分がやりたい業界があれば、それでも良いですし、あとは例えば今後のキャリアを踏まえてどう言ったことがしたいのか?それに繋がる何かがあるのか?など考えてみるのも良いかと思います。
4.まとめ
ユーザー系システム子会社で技術者の観点でキャリアを積みたいのであれば、自身が向いているベクトルと会社が向いているベクトルを認識し動いていく事が大事だと思います。これが完全に揃うことはおそらく稀ですし、あまりにもズレていると辛いと思います。ただ、少なくとも会社(組織)はこっちを向いている、自分は少しずれているがこっちを向いていると言う形でそれぞれの想いを理解して働くことは、モチベーションや自分のやりたいことを明確にし、先に挙げた評価面やキャリアのバランスを整えて行くことにつながると思います。
正しい認知をする為にも会社の組織とは別の場所で、技術的な話題を学ぶこと、ビジネス的な観点で話を聞ける場に参加することが大事だと思います。業務に全く関係ないところから自分で開拓することもできますが、会社で評価されるような動きをすることで業界の他社交流などの場や、スキルアップの為の研修やカンファレンス参加の可能性も見えてくると思います。
会社の中でも上位に近づけるほどより多くの情報に触れる、意思決定に関わることができるようになっていきます。技術的な学習を会社以外の場も用いて伸ばしつつも、このようなビジネスを踏まえた判断をどのようにしているのか?という点に触れる、関われることがユーザー系システム子会社で技術的なキャリアを積む上でのメリットになると思います。
そして、これは一番大事なのですがユーザー系システム子会社をただの踏み台みたいな意識で務めるのは多分最もダメです。そう言った姿勢は、必ず周りの人に感じ取られてしまいますし、何も得することはありません。ユーザー系システム子会社でキャリアを積むならば、とにかく自社のビジネスに技術でどう貢献するか?を意識していきましょう。その経験がユーザー系子会社で勤めて得られる最も大きな経験値ですし、これがしっかりできているならばある程度仕事をして別のキャリアを目指したくなった時も特に意識せず別のキャリアを選べるようになっているはずです。
長々と書いて行きましたが、スタートアップやコンサル、SIerといったよくあるパターン以外のキャリアの考え方として一例となれば幸いです。