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サントラの魅力を伝えるという名のただの個人的好き曲紹介

オリジナルサウンドトラックと呼ばれるものを聞いたことはあるだろうか。もともとは映画用語であったが近年はドラマやアニメ、ゲーム、コマーシャルなどの「劇半音楽」「付随音楽」を収録したアルバムも指している。日本では「サントラ」「OST」と略される。私は映画やアニメを見終わったら主題歌とともにこのサントラを繰り返し聞いて余韻に浸る派である。劇中で感動的なシーンで流れていた音楽を聴くとそのシーンが鮮明に思い出され、また泣けてしまうのである。このレポートでは私の大好きなサントラを紹介していこうと思う。ただサントラの良さはその作品の内容と映像ありきだと考えているため説明だけでは理解が難しいことを承知してほしい。

ハリー・ポッターシリーズ

最初に紹介するのは「ハリーポッター」のサントラだ。ハリーポッターは私がサントラの魅力を知るきっかけになった作品であり、音楽がとにかく素晴らしいのだ。好きすぎてサンタに映画のブルーレイではなくサントラのCDを頼んだほどだ。さて、ハリーポッターの音楽といえば「ヘドウィグのテーマ」が最も有名であろう。おなじみのタンターンタランターンタンターンターン~♪である。しかしハリーポッターの音楽をこの曲だけで済ませてしまうのは非常にもったいない。シリーズ八作(死の秘宝は二作で一つとカウント)のサントラの中から完全主観でおすすめの曲を紹介していく。
1. ハリーポッターとアズカバンの囚人「Buckbeak‘s Flight」

この曲は文字通りバックビークが飛行するシーンで流れている。バックビークはハグリットが飼育するヒッポグリフという動物で馬の脚に鷹?鷲?の頭、大きな翼をもつキメラだ。とても気位が高く気性が荒い。そんなバックビークの背中に強引に乗せられたハリーがバックビークにしがみつきながら空へ飛び立つのだが、この曲の冒頭の大きなドラムの音が慣れない不安さと飛び立つ緊張感を引き立てている。空を飛行し始めると優雅で壮大な曲調に切り替わり、空から見るホグワーツの森や湖、城の景色、ハリー自身の空を飛んでいる!という高揚感がよく伝わってくる。そしてバックビークにしがみつくような体勢から両手を離し翼のように腕を広げると曲はさらに荘厳さを増し重厚感のある音になる。最高である。

2. ハリーポッターとアズカバンの囚人
「Mischief Managed!」

同じくアズカバンの囚人から。この曲はエンドロールに流れている曲なのだが、この三作目のダイジェストのような曲である。重要なシーンで使われた曲がうまく繋げらており、満足感のある一曲だ。

3. ハリーポッターと炎のゴブレット
「The Dark Mark」

この曲は映画冒頭でデスイーターと呼ばれるヴォルデモートの下僕集団がクイディッチ大会を襲撃したシーンで流れている。重々しく闇を感じる曲である。曲の最後に恐怖を感じる音色とともに闇空に浮かび上がるヴォルデモート(闇)の印が映し出されるのだが、この四作目からの本格的なハリーとヴォルデモートの戦いの始まりを表すようで恐ろしくも気を引かれるような曲だ。

4. ハリーポッターと炎のゴブレット
「Underwater Secrets」

この曲には歌詞がついており、曲名の通り秘密を歌っている。三大魔法学校対抗試合のホグワーツ代表となったハリー。第一のステージで勝利し第二ステージへのヒントが隠されている金の卵をもらう。明かす方法がわからず悩んでいたところを風呂場の幽霊に助言をもらい無事にヒント、即ち歌を聞くことができた。というシーンだ。この曲の良いところは何といっても歌が美しいのだ。歌声もどこかぼやっとして響く、例えるなら天井の高い教会で合唱団がハミングしているような響きで美しい。曲の冒頭は水や泡のイメージを浮かべるようなぽろろんっとした音でとてもうまく表現されている。

5. ハリーポッターと炎のゴブレット
「Hogwarts’ Hymn」

映画の最後、対抗試合が終わり他校の代表者一行とお別れをする生徒たち。ハリーたち三人も談笑しながら見送るシーンで流れている。物語に一区切りがつき安心するような、そして次の試練への期待も感じるようなエンディングに最高の一曲だ。

6. ハリーポッターと謎のプリンス
「Journey to the Cave」

この曲はハリーとダンブルドアがヴォルデモートの分身である分霊箱を探すシーンで流れている。名前の通り「洞窟への旅」だ。この旅には様々な困難が待ちうけていることを、そして強く立ち向かうことを表すかのような曲調が非常にいい。

7. ハリーポッターと謎のプリンス
「Dumbledore’s Farewell」

とても悲壮感漂う曲である。死の呪文によって殺されたダンブルドアをホグワーツの先生、生徒みんなで追悼するシーンで流れている。横たわるダンブルドアを囲み、淡い光をともした杖を黒雲の空に掲げ皆で安らかな眠りを祈るこのシーンは号泣間違いなしであろう。主旋律ヲ弾く一挺のヴァイオリンの音色が悲しみを引き出させる。ぜひ映像とともに聞いてほしい一曲だ。

8. ハリーポッターと死の秘宝part2
「Dragon Flight」

訳あって、銀行を脱出するために地下で金庫を守るドラゴンに乗ったハリーたち三人。ダイアゴン横丁を壊しながら空に飛び立たせ脱出は成功する、というシーンで流れている曲だ。SFっぽく壮大でどこかエンディング感がある曲はまさにドラゴンで空を飛ぶというシーンにぴったりだ。

このあたりでハリーポッターシリーズのサントラ紹介は終わりとしよう。しかし今回紹介したおすすめ曲はほんの一部に過ぎない。八作もあると曲の量もかなり多いのでどこかに必ずあなたの好きなサウンドがあるだろう。ぜひ一度聞いてみてほしい。

タイタニック

続いて紹介する作品は映画「タイタニック」だ。去年の冬に全国の映画館で再上映されたこの不屈の名作はいとも簡単に私の心を奪った。タイタニックを見て以降レオナルド・ディカプリオにハマった私は春休みを丸々使い出演映画すべてを見たという…。では紹介に入ろう。

1. 「Hymn to the Sea」

オープニングのクレジットで流れている曲だ。流線的で美しいコーラスがタイタニックの悲劇、その中で生まれた愛を物語っているようだ。冒頭のメロディーはいくつかの曲やシーンに出てきており「タイタニック」の象徴的な曲と言えるだろう。

2. 「Never My God to Thee」

船上で人々が逃げ惑う喧騒と弦楽器が奏でる清廉で悲愴な旋律が美しいコントラストを生み出している最高の一曲だ。この曲とともに、操縦室で一人たたずむ船長、時計の針を整える設計士、浸水していく部屋のベッドで抱き合いながら寝る老夫婦、沈みゆくタイタニックの様々なワンシーンが映し出される。残酷な現実とこの曲が組み合わさり悲しみがこみあげてくる。

3. 「A Promise Kept」

冬の海で凍えながら助けを待つローズとジャック。救助ボートのライトがローズの顔を照らし、助けが来た、とジャックを起こそうとするローズ。しかしもう二度と目覚めることはないジャックに「I never let go. I promise.」と永遠の別れを告げ、ボートに乗る。そんな二人の最後のシーンで流れた曲だ。かすれた声で何度も「ジャック」と呼びかけるローズ、もうジャックが目を覚まさないのだと気づくと同時に流れるこの曲の美しいコーラスも相まって悲痛さが伝わってくる。

 タイタニックは劇中にも様々な音楽や歌が登場する。サントラも映画の長さ並みにボリューミーである。映画を見た後は主題歌だけではなくサントラも是非聞いてみてほしい。

インセプション

次は同じくレオナルド・ディカプリオ主演作の「インセプション」から紹介する。おそらくインセプションと言えば、の有名な曲だろう。

1. 「Time」

非常にゆっくりなクレッシェンドで同じメロディーを何度も繰り返すこの曲。曲が進むごとに音が増え重厚感を増していく。終盤に差し掛かるとピアノのぽん、ぽん、とした音でゆっくりと静かに終わるかと思いきやプツンと切れるように終わるのだ。コマの行方は誰もわからないとでも言うかのように。

進撃の巨人

続いてはテレビアニメ「進撃の巨人」のサントラを紹介する。この作品のサントラはとにかく迫力がすごい。テレビ番組でも一部分が使われ、有名な曲がいくつもある。その前にかなり話が壮大であり設定が難しいため重要な要素だけ紹介しておく。まずこの世界には巨人が存在する。そして主人公のエレンは巨人をこの世から一匹残らず駆逐したいと思っている。エレンは巨人を殺す技術を身に着け壁外を調査する調査兵団に入団した。また、エレンは巨人になれる能力を持っていた。これを踏まえて、参ろう。

1. 「Vogel Im Käfig」

ドイツ語で「籠の中の鳥」という曲名だ。進撃の巨人は主人公のエレンが巨大な壁に囲まれた国で暮らしているところから始まる。その壁は壁外の人食い巨人から人類を守るために建てられた。エレンは壁に囲まれた閉塞感、のんきな兵士に嫌気がさし壁の外へ出たいと願う。大まかなあらすじだ。曲名の鳥というのはまさしくエレンのことを指している。第一話の最後、壁から頭を出すほどの超大型巨人が壁を壊し、壁内に巨人が侵入してきてしまう。人々は逃げ惑うが壁のかけらはエレンの家を直撃し母親は瓦礫の下敷きになり逃げることができない。そんな母親を助け出そうとするも、まだ幼いエレンの力ではびくともしない。そこへ一体の飢えた巨人が迫り、もう無理だと悟った母親はエレンに自身を助け出すことを止めさせ、「逃げて」、「生きなさい」と頼むのだ。そして母親は巨人に食べられてしまう。その光景を逃げながら見たエレンは、絶望と無力さに瞳から光が消える。この曲はそんなシーンで流れた。女性の優美な歌から始まり、前半は神々しさを感じる。しかし途中で一転して重々しく絶望を感じさせる力強い曲へと変化する。クライマックスは迫力が最高潮に達し、重複するがまさしく「絶望」を最も強く感じるサウンドである。曲の終わりは大型の太鼓の音のみになり、重厚感のある音にしびれる良さを感じる。

2. 「XL-TT」

この曲名は「XL」で超大型、「TT」でTitan(巨人)を表している。その名の通り超大型巨人登場のシーンで流れており、曲の始まりからとてつもない迫力である。電子音も多く使われており、得体のしれない感が増すようなサウンドだ。曲の最後は低音のコーラスと鐘のような音、太鼓のドドドンという音が組み合わさりラスボスのような雰囲気が感じられる。

3. 「omake-pfadlib」

この曲はピアノのみで演奏され、音だけで泣けてしまうような儚く美しい曲だ。好きすぎるあまり自分でも弾いてみようと練習したほどだ。この曲はエレンがミカサという女の子にマフラーを巻いてあげるシーンで流れている。ミカサには東洋人の血が流れており、価値が高い。そのことを知る山賊にミカサ家が襲われ両親が殺されてしまう。拉致されたミカサは助けに来たエレンとともに山賊に立ち向かい解放されるが、両親を失い帰る家もなくなったミカサは生きる希望を失ってしまう。「寒い」と零すミカサにエレンは自分のマフラーを巻いてあげ、俺たちの家に一緒に帰ろう、とミカサの手を引いたのだ。この感動のシーンにピアノのなめらかな旋律、静かで切ない音色、けれど温かさもどこか感じられる、そんな一曲だ。

4. 「YouSeeBIGGIRL/T:T」

この曲名を分解すると「YouSee」で「ユー見る」、即ち「ユミル」を指す。「T」はTitan(巨人)を指し「T:T」で巨人対巨人を意味する。この曲は二つの異なるシーンで流れている。一つ目は、初期から登場しているものの名前だけ明かされてこなかったユミルという女性キャラのシーンだ。ユミルは「ユミルの民」と呼ばれる巨人になれる能力を持つ人種であり、誰にもその正体を明かしてこなかった。しかし壁外の調査中に突然巨人の群れに襲われ仲間が危険にさらされたとき、巨人になり戦った。ユミルの巨人は2~3m程度の小さい巨人で、対する敵は5m以上で大きな体格差がある。そんな小さな彼女が勇敢に敵に立ち向う姿は仲間たちにとっては大きく頼もしく見えたことだろう。彼女のかっこよさが120%引き出されるようなそんな曲だ。二つ目はこの物語において最も重要であり、大きく転換したシーンである。エレンやミカサたち第104期調査兵団の一員であり厳しい訓練、数々の死線をともに乗り越えてきた仲間のライナーとベルトルト。ある日突然ライナーはエレンに「俺たちは5年前壁を破壊した」と告白する。そして「一緒に故郷にきてくれ」と提案する。エレンの巨人は他の巨人とは違う能力を持ち、故郷に連れて帰ることで目的が果たせるという。エレンは壁を壊した憎き敵(巨人)が大切な仲間だと信じることなどできず疲れているのだと、帰ろうと諭す。しかしライナーは巨人化能力を持つ人間の特徴である驚異的な治癒能力を切断された腕で見せ、「戦士として責任を果たす」と巨人になる。自分を連れ去ろうとする仲間にひどく失望し「裏切り者が!」と叫び対抗するため自身も巨人になるエレン。徐々に音が増え緊迫感のあるサウンドから二人が巨人になる瞬間にサイレンのような音が入り、絶望感とボス感を感じずには聞けない。また「Vogel Im Käfig」がアレンジされて使われており確定で最高の曲である。

5. 「Nightmare」

イントロの不気味さがまさしく「悪夢」である。終始不安をあおるサウンドで、途中には心臓の鼓動のようなバクバクとした音もが入っているのもポイントが高い。新章の第一話で流れたこの曲。巨人の継承者となる戦士候補生の子供たちが新たに登場し、今までの壁内から壁を越え、海も超えた大陸が舞台の話になる。ここから始まる物語は悪夢よりも悪夢な現実。そんな幕開けにぴったりな重々しい曲である。

6. 「The Other Side of the Sea」

三拍子でワルツ、パレードのような曲調である。華やかさとは真逆の暴力的な戦いのシーンで流れているが。テンポが速くシンバル、コーラス、そのほかの要素も合わさってどことなく中世の貴族っぽい曲に感じた。まさに旧貴族が継承する巨人とエレンの巨人が対峙するシーンであるため優雅さもあり爛々とした激しさもある。歩きながら聞くと自然と早歩きになってしまいそうな一曲だ。

7. 「Footsteps of Doom」

重厚感のあるサウンドで、英雄ではなく悪魔が凱旋しているようなイメージが浮かぶ。この曲が流れているシーンの説明はあまりにも複雑すぎるので省くが、なんやかんやあり壁中の超大型巨人がエレンとエレンの腹違いの兄であるジークとの接触をスイッチに歩き出し、人も街もなにもかもを踏み潰す「地鳴らし」が始まる。すなわち人類の殲滅が始まったのだ。何万もの超大型巨人が大地を踏み荒らすその様は地獄としか言いようがない。低音の厚みのあるコーラスが迫力最大で帝王感のあるこの曲はぜひ聞いてもらいたい。

8. 「MAN-Child」

この曲は終始心臓の鼓動のようなドクドクとした音がベースで流れており、合間にブザー音が入っているため非常に不気味な曲だ。電子音のびりびりとした質感がテレビの砂嵐を見ているかのようで本当に不気味である。不気味としか形容できないほど不気味なのである。

9. 「From You, 2,000 Years Ago」


直訳すると「二千年前の君から」となる。第一話のタイトルが「二千年後の君へ」、この曲が流れた第八十話のタイトルが「二千年前の君から」となっておりタイトル回収がされる重要な回である。ここで明かされたのは「始祖の巨人」、その名の通り巨人の始祖である「ユミル」についてだ。二千年前、最初に巨人の力を手に入れたユミルによって国は栄え、子孫が増えていった。その子孫たちが「ユミルの民」と呼ばれ巨人化能力を持つ人種となった。ぽつぽつと穏やかな曲調から始まり、徐々に音の層が増していき終盤は鐘のような音、コーラスが組み合わさり国の栄華を感じる曲調へと変化する。

10.  「Into the Night(Acoustic ver.)」

優しく穏やかなピアノの音と悲壮感に満ちたヴァイオリンの音が組み合わさり「最期」を感じさせる曲である。敵同士の軍隊の上官であるマガトとキース。それぞれ、マガトは港を出た仲間が敵に追われないように軍艦を破壊するため、キースも同じく仲間の出発を手助けするため軍艦の弾薬庫に乗り込み最期の時を過ごした。初対面の二人は火をつけるその直前、互いに名前を名乗り永遠の海の底へと沈んでいくのだった。キースはエレンたちが調査兵団に入団する前の訓練兵時代に教官を務めていた。鬼教官と恐れられ、厳しくも優しさ滲む行動で彼らを大事に思っていることを知っている我々読者は、キースが最期の瞬間も仲間、すなわち教え子を手助けしたことに最大の愛を感じ、泣けるという訳だ。マガトもまた軍の隊長として巨人化能力の継承者及び候補生を厳しく指導してきた。そしてその生徒らが乗った船の出航を見届けた後、軍艦と共に自爆する。出航したばかりの船からその爆発を見た仲間たちは悲しみにくれるのだ。作品の中でも屈指のグッとくる感動のシーンだ。原曲のほうはイントロから奇妙さのある電子音で複雑な雰囲気が感じられる。音に厚みがあり、より激情的な悲しみが表現されている。どちらの曲も素晴らしいに尽きる。

 進撃の巨人は音楽もさることながらストーリーがよく作りこまれていて素晴らしい。ぜひ原作の漫画、アニメどちらもお試しいただき、曲の魅力を最大限に味わってほしい。

劇場版 呪術廻戦0

次は「劇場版 呪術廻戦0」から二曲紹介する。この映画は呪術廻戦の前日譚となる話で「愛」がテーマである。私はハマりすぎて映画館に5回見に行った。呪霊が存在するこの世界では呪術を使いそれらを祓う呪術師がいて、逆に呪術を悪用する呪詛師もいる。その中で現代最強の呪術師には五条悟、最悪の呪詛師には夏油傑という人物がいた。二人はかつて呪術高専の同級生で親友だった。また呪術の教育機関である呪術高専に乙骨憂太が新入生として入学する。これを踏まえて。

1. 「Declare War」

日本語で「宣戦布告」という曲だ。夏油傑が呪術高専に百鬼夜行の宣戦布告をしに来るシーンなのだが、太鼓のドドンといった音、力強い弦楽器の音色が最高にマッチしている。めちゃくちゃかっこいい曲だ。

2. 「This Is Pure Love」

この映画の二つの大サビで流れているのがこの曲だ。曲の前半部分は、夏油の百鬼夜行の真の目的である乙骨憂太の持つ「里香」という呪いとの戦いの最終局面、持てる力をすべて吐き出し呪いを打ち合う二人のシーンに充てられている。すさまじい威力がぶつかり合い周囲の建物、地面も削るほどの爆発が起こる。壮絶な映像にこの美麗で壮大なサウンドが最高の親和性を発揮する。その後、爆発により負傷した夏油の元へ五条が現れるのだが、青春を共にした親友、しかし殺さなければならない敵である二人の決着のシーン。そこに後半部分の淡く儚い音で悲壮感こそあるもののそれ以上に深い愛が感じられる優しいこの曲が涙を猛烈にこみ上げさせる。前半と後半で使われたシーンは映像の印象がかなり異なるのだが、それでも一つの曲としてまとめられている。それは、どちらのシーンも「純愛」を示しているからだ。This is Pure Love. なのである。前半の乙骨と里香、後半の五条と夏油のそれぞれの愛のかたちは真っ直ぐで純粋、それはどんなことがあっても、何年時が経っても変わらない。五条は戦いの前、乙骨にとある言葉を残した。「愛ほど歪んだ呪いはない」と。乙骨の持つ呪いの正体は、かつて幼馴染で結婚を約束した「祈本里香」という少女であった。里香は何年も前に交通事故で亡くなっており、その現場に居合わせた乙骨は心の底から強く「死んでほしくない」と願った。その思いが呪いに転じ、里香の魂をこの世に結びつけてしまった。そのため彼女は仮想怨霊として姿を変え乙骨を呪ったのだ。呪いと言っても乙骨にちょっかいをかけた人や呪霊を殺す、乙骨にとっての守護霊のような感じだ。大切な人の死を拒んだその愛ゆえに呪いが生まれてしまった。愛、即ち、呪いとはよく言ったものだ。だがしかし、2人の愛はこんなものでは終わらない。里香を狙う夏油が必殺技を出してきた時、乙骨も対抗するため、彼女の力を解放する。その手段として取ったのが乙骨の全てを捧げることだった。身体、心、そして未来も。ずっと一緒にいよう、愛してると口付けをする乙骨。そんな様子を見た夏油は「女たらしめ」と皮肉るが彼は気にすることなく訂正するのだ。「失礼だな、純愛だよ」と。その後里香は解呪(成仏のようなこと)され事故前の少女の姿になり乙骨の前に現れるのだが、彼女は抱きしめながら告白するのだ。「憂太、ありがとう。(呪いとして)ずっとそばにいさせてくれて。生きている時よりも幸せだったよ。あと、あんまり早くこっちに来ちゃだめだよ。」と、空に帰っていく里香を見つめながら静かに涙をこぼす乙骨。(実際、ここのシーンで流れているのはこの曲ではないのだが一連の流れとして説明させていただいた)。なんて美しい愛なのだろうかと号泣必須である。これが前半部分のPure Loveを示したシーンだ。次は後半の五条と夏油のPure Loveについて説明していく。五条と夏油は先ほども説明した通りかつては呪術高専に通う同級生であり親友だった。しかし、なぜ2人は敵になり殺さなければならなくなったのか。それはこの世界のしくみのせいであった。この世界では呪いは公にされておらず、呪霊の存在を一般人は知らない。そのためそれらを祓除する呪術師の存在も当然秘匿されており。暗躍を求められる仕事である。学生時代、夏油は呪術は一般人(非術師)を守るためにあると自論を展開していた。弱者生存こそ社会のあるべき姿だと。そんな彼は呪霊の祓除で日々様々な任務をこなしていた。また、彼の呪術能力(以降、術式)は呪霊を体内に取り込み使役するといったもので、取り込みの方法は口からである。彼が言うに呪霊は「吐瀉物を処理した雑巾」のような味で、そんな物体が喉を通る気持ち悪さは最悪の一言だろう。任務のたびに呪霊を取り込む、毎日毎日ひたすら取り込む、やがて彼はこう思うのだ。「一体誰のために?」。とある任務で非術師の醜悪さを目の当たりにした日から夏油の思考をぐるぐると這う弱者生存の崩壊。後輩の死で強く感じた呪術師という終わりのないマラソンゲーム。非術師という弱者を助けるために強者である我々呪術師が死に、その屍が積み重なることは止まない。自分の信じていた呪術の真意に疑念が芽生えた夏油は、ある日の任務で訪れた村で再び非術師の醜さを浴び、それが引き金となり離反する。村人百余名を皆殺しにして。一般人を殺した彼は呪術高専を追放され、「呪詛師」として処刑対象となったのだ。これが2人が殺し合わなければならなくなった概要だ。五条はこの百鬼夜行で夏油を殺すことになると分かっているかのように乙骨との戦いで負傷し身体を引き摺る彼の元へ現れる。そして夏油も自分が五条により処刑されると分かっていたかのように、現れた五条に対し「遅かったじゃないか、悟」と言うのだ。五条は乙骨の力を引き出させるため、夏油とはかなりの戦力差があるクラスメイトを夏油と戦わせるように送り込んだ。お前は若い呪術師を殺す主義の人間じゃない、そこは信用した、と告げる。そんな五条に夏油は「まだそんなもの残していたのか」と呆れたように呟く。かつて大犯罪を犯し呪詛師になった自分を昔と変わらないものさしで、立場が変わり、時が経っても夏油のことを1番わかっているのは自分だとでもいうかのような五条のど直球の愛、強い絆に胸を打たれる。そして五条は最後の言葉を夏油に送る。夏油は笑い、「最後くらい呪いの言葉を吐けよ」。そうしてたった一人の親友同士、そして殺し、殺された敵同士の二人の結末がこんなにも穏やかで透き通った愛を魅せてくれるとは誰も思わないだろう。これがまさに「純愛」なのだ。大変長くなったが「This Is Pure Love」という曲名の素晴らしさが伝わっていれば嬉しい。

 言いたいのはただ一つ。見て!

エヴァンゲリオン

まだまだあります。続いては「エヴァンゲリオン」から。最高サウンド尽くしのエヴァだがその中でも特に好きな曲を紹介する。

1. 「Gods Message =3EM02=」

こんなにもラスボス感のある曲を聞いたことがあるだろうか。最初から最後までとにかく迫力がすごい。ラスボス感と言えば「ダース・ベイダーのマーチ」が浮かぶ人も多いだろう。あっちは帝国のお出まし、こっちは強敵の奇襲のような雰囲気だ。この曲が流れてしまったら“詰み”である。

2. 「2EM36_E16」

なにか知らなくても「来た来たーー!!!」となる曲ではないだろうか。本来エヴァの機体はエネルギーがないと動けないのだが、碇シンジが乗った初号機がエネルギー切れで一旦停止したにもかかわらず、シンジの「綾波を返せ!」という叫びと同時に動き出したのだ。そんな激熱展開にこれでもかというほどぴったりの曲だ。途中のエレキギターの音がとてもかっこいい。

 本当にエヴァのサントラは全作神曲ばかりなので一度聞いてほしい。内容は理解できなくても音楽のかっこよさは理解できるだろう。

ゲーム

最後はゲームのサントラから二つ紹介する。

1. 原神「妄念と執念」

この曲は雷電将軍というキャラの紹介動画で使われた。雷電将軍は一国の神でありその名の通り雷属性である。また、将軍ということもあり和服を着て刀で戦うスタイルだ。曲には雷を表すようなビリビリとした電子音、笛や琴といった和楽器がとても綺麗に組み合わさってかっこいい一曲だ。

2. 崩壊:スターレイル
「ドラマティック・アイロニー」

この曲はカフカというキャラの紹介動画で使われた。最大の特徴はヴィヴァルディの「冬」と「夏」がアレンジされて使われていることだ。このアレンジが本当にかっこいいのだ。かなり速いテンポで演奏され、ヴァイオリンの華麗な音色とエレクトリックな音の組み合わせにより上品ながら狂気を感じる曲だ。

この二つは短い時間でそのキャラを表す唯一無二の曲として素晴らしい。どちらのゲームも同じ会社が制作しており、ゲーム内の音楽もかなりこだわっている。サントラのコンサートも開催されているほどだ。ゲームを開くだけで何百種類もの美しいサウンドを聞けるのでダウンロードしてみてはどうか。

以上でサントラの紹介は終わりにする前に、魅力としたらほぼ全人類に伝わっているとは思うがジブリ音楽をさっと紹介します。

1. 千と千尋の神隠し「6番目の駅」

聞くだけであの海を走る列車、カオナシと並ぶ千尋、銭婆の家までの道が浮かんできますね。一日遊んで友達とお別れするときのような哀しみが感じてきます。

2. 千と千尋の神隠し「あの夏へ」

ピアノを習った人なら一度は練習してみた曲ではないだろうか。音が美しすぎる…。

3. 千と千尋の神隠し「ふたたび」

これもピアノを習った人なら…。現代版蛍の光。夕方のチャイムはこの曲にしてみてはどうか。

4. もののけ姫「アシタカせっ記 エンディング」

目の前に森が広がってくる荘厳さ。圧巻である。

5. もののけ姫「アシタカとサン」

美しいの一言に尽きる。心を揺さぶるピアノの音色。

6. ハウルの動く城「星をのんだ少年」

どこまでも続く草原、夜の丘の上、風に髪をなびかせる少年、そんなイメージが浮かぶ。

7. ハウルの動く城「人生のメリーゴーランド」

人生のようにさまざまな曲調に変化する。最後の転調が良い。

 だいぶ駆け足気味の手を抜いたような紹介だが許してほしい。聞けばわかる。語彙力がないのだ。改めて、久石譲という素晴らしい音楽家がジブリの音楽を手掛けてくれたことに我々は最大の感謝をしなければならない。日本の子供たちが健やかに育つためのひとつの支柱とも言えるジブリ映画、金ローで見ても、映画館で見ても変わらない感動を与えてくれるのはこの音楽があるからだ。聞いたことがない人はぜひ、必ず、試しに、絶対聞いてみるべきだ。

 ここまでご精読いただきありがとうございます。
今回ご紹介した曲はほんの一部であり、個人的な好みなのであまりピンとこない曲もあったことでしょう。一つの作品でもサントラには何曲も入っている。ぜひあなたの好きな曲に出会ってみてほしい。また、このレポートで少しでもサントラの魅力が伝わっていれば本望だ。

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