2/25(土) 「祖母のこと」


昨日から、母、祖母、叔母がわたしの住む街へ遊びにきていた。

わたしは昨日は仕事だったので、夕食だけ一緒に食べた。

そして、今日は1日ずっと一緒に行動した。


祖母は今年87歳なのだが、認知症が始まっている。

会うたびに症状は悪くなっている。

けれど、まだ普通に話はできる(真実かどうかは別として)ので安心の範囲内ではある。



認知症ってどんな感じなのだろうと想像する。

亡くなった祖父も認知症だった。

祖父は最後は全然わからなくなって、会話もできない状態だった。

祖母はその時はしっかりしていて、現状がよくわかっていない祖父に通訳するように一生懸命話しかけていた。

しかし、祖父も亡くなり、まあ、年齢もあるのだけれど

祖母も認知症になった。



この旅行中に「泊まるとは知らんかった。帰りたい」と言い出した。

母と叔母は、来る前に何度も泊まると伝えたと言っていた。

でも、祖母がなぜこの話を言い出したかというと、家の戸締りが心配でならないのが理由だった。

戸締りしたかも覚えてなかったら、そりゃあ不安になるよなぁ

わたしだって同じだ。

でも、実際は母も叔母もしっかりと戸締りをしてきたので

それを伝えて安心してもらった。


そして次の日

「たまにはこういう旅行もいいね」と祖母が言ったので

「えー昨日は帰りたいってようたじゃん」と伝えると

「そんなこと言ってないよ」と言い張った。

昨日のことは覚えていない。

でも、きっと今のこの時はすごく楽しい気持ちなんだねと思うと

旅行を不安なままで過ごさなくてよかったと思った。



うどんを食べに行ったり、道の駅に行ったり、ゆめタウンに行ったり

あちこち一緒にまわった。

祖母は足腰も弱くなってしまっているので

手押しのカートがないと歩くのもひとくろうな様子だった。

なので、時々、手を握って歩いた。

すると「3、4歳のこどもみたいじゃなぁ」と祖母が笑いながら言った。

ははははっと笑い合った。

いつの間にやら、こんなに腰が曲がってしまって

昔はシャキッと背筋が伸びた人だったのに。

歳をとるってこういうことなのかぁと複雑な気分になった。


そして、お土産屋さんでそれぞれがお土産を見ている時

祖母が小さいお餅が20個入ったものを2つもかごに入れていて

「これ2つも買ってどうするん?」

と母とわたしがたずねると

「近所の人にあげるんじゃ」と答えた。

近所の人となんて誰とも会わないのに。

さすがに、20個入りを2つも消化する人間は親戚を合わせても無理だろうと

母とわたしは思い、1つにしてもらった。

祖母は不服そうな子供みたいにかごから元の場所に戻した。

それから祖母のうしろをついて回ると

「これはどうかな?」とうどんを手に取った。

「いいと思うよ」と答えると、祖母はまた2つカゴに入れた。

「これは誰にあげるん?」わたしが尋ねると

「これは一緒にでかける人にあげる」

一緒にでかける人なんて、母と叔母ぐらいしかいないのに。

「そっか。そっか」

わたしはなんだか否定するのが嫌になって、わかったふりをした。

おばあちゃんの世界では

まだ、近所の人とも交流があって、たまに一緒にでかける友人もいるんだろう。

頭の中では現実とは違う世界が広がっている。

認知症って不思議だ。

でもまあ、それがつらい世界じゃなかったらまだいいのかな

と一緒に暮らしていない立場なので思う。

(一緒に暮らしていたら、トラブルが生じるのかもしれないけど)



祖母は

わたしのことを忘れる日も近いと思う。

時々会うくらいだし、それは仕方がないと思っている。

だけど

忘れられたとしても、楽しく話ができたらいいなぁ。




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