イ・ミンホの復帰作

韓国ドラマ「ザ・キング~永遠の君主」を見終わった。兵役から帰ってきたイ・ミンホの復帰作として私的には待ちに待っていた作品であった。ヒロインはキム・ゴウン。どこか「トッケビ」を思い出させるような背景と音楽。”パラレルワールド”という設定で時系列が少し複雑ではあったが、誰が何と言おうとイ・ミンホと脚本キム・ウンスクのタッグはそれだけで興奮してしまう。少し歳を重ねたイ・ミンホは相変わらず素敵だ。極めつけは白馬にまたがり登場する。普通の俳優ならちょっと引いてしまうようなシチュエーションでも、イ・ミンホならとても絵になりときめいてしまう。さすがキム・ウンスク先生。あの役はイ・ミンホ以外には考えられない。ひさびさに見た彼は兵役前と変わらずドキドキするほどかっこよかった。

1、白馬に乗った王子様

イ・ミンホと言って多くの人が思い浮かべるのは「花より男子」という作品だと思う。視聴率も35,5%を記録し一大ブームとなり、実際彼自身もこの作品をきっかけに人気俳優に上っていったことは間違いないだろう。確かに良かったし、夢中で見ていた記憶もある。でも今振り返って数あるイ・ミンホの作品を思うと私的には上位ではない。どうしても「花より男子」は漫画のイメージや潤君の印象が強いからかもしれない。

私が思うイ・ミンホ主演のドラマBEST3は、「相続者たち」「青い海の伝説」「ザ・キング~永遠の君主」だ。好きな作品というより好きなイ・ミンホが演じる主人公と言うほうが適切かもしれない。どの役も、これでもかというほどヒロインに対して愛情深く一途に描かれている。目を奪われるほどのカッコ良さと、彼の溢れるほどの一途な思いにほとんどの女性は心を掴まれてしまう。イケメン俳優イミンホのラブストーリーは秀逸すぎると言ってもよい程だ。

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今回この「ザ・キング~永遠の君主」というドラマはNetflixと韓国のSBSでの放送が同時進行のドラマだ。脚本はキム・ウンスク先生。キム・ウンスク作品と言えば、私が韓国ドラマの中で一番大好きな「太陽の末裔」や「相続者たち」一昔前で言うと、「パリの恋人」もそうだ。「トッケビ」「シークレットガーデン」など名作をたくさん輩出してきたカリスマ作家である。私自身も彼女の作品をたくさん見てきたファンの一人だが、彼女の作品無しでは、私の韓国ドラマの歴史は語れないほど、大好きな作品を数多く世に送りだしていただいた韓国ドラマの母的存在である。久々の先生の作品がどういうテイストなのか、イ・ミンホがどんな皇帝を見せてくれるのか、「トッケビ」で見たあの愛らしいキム・ゴウンにまた会えるのか、放送前から期待値の増す作品であった。

2、時代の流れ

(一部、ネタバレあり)

ただしかし、3話が終了したころ視聴者はなかなか厳しい意見を投げつけてきた。
・トッケビを意識しすぎていて、内容や世界観が似すぎている。
・パラレルワールドという世界観が難しすぎてどっちの話をしているか、わかりづらい。
・設定が時代遅れで古臭い。
など結構辛辣な意見が多い。もうキム・ウンスクの時代は終わった。などと書かれたりもした。視聴率も3話から一桁台となりその後も大きく巻き返すことはなかった。

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ここからはそれについてのわたくし個人の見解を書いてみました。

トッケビと似ている。という意見については、間違いなくわざと寄せてきている気がする。何故なのかははっきりわからないが、それほど「トッケビ」という作品は特別な存在なのではないか。作家にとっても視聴者にとっても。トッケビファンの為のリップサービス的な感じで要所要所にちりばめたのかもしれない。

パラレルワールドの難しさについては、二回見るのが私のおススメだ。私も二回見た。(8話くらいで一回初めから見直す。)この人はどっちの世界の人か二回目でようやくわかったりすることもあった。なかなか複雑だ。ただやっぱりキム・ウンスク先生。物語はとても良くできているし、先生の伏線回収の素晴らしさは圧巻だ。ぜひとも二回見て欲しい。
今回SBSで放送終了後、数分後にすぐNetflixでの配信という初の試みだったようだが、視聴率が3話から下がったのも少なからずその影響もあるのかもしれない。オンタイムで見なくてもすぐにNetflixで見れて、さらに止めながら見れるわけだし...。

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設定が古臭い。に関しては言い方を変えればそこがキム・ウンスク作品の良さとも言える部分でもある。確かに「パリの恋人」からはじまり、男性主人公が財力や権力がある役どころで、女性主人公はお金はなく健気で一生懸命に生きている的な設定が多い。(いや、そうでない作品もたくさんあるが)ただ先生の作品がそうというより今まで視聴者が、そういう設定を好む傾向が強かったのだろう。それが最近は求めるものが徐々に変化してきたのだ。視聴者はありえないような設定を見ることに少し疲れ始め、だんだんと共感のできるリアリティのある展開に惹かれ始めているのかもしれない。新しい男性像や女性像に新鮮さを感じ引き付けられる。その点では確かに時代遅れと言われても仕方がないのかもしれないが。

ただ韓国で人気のある作品を一年近く遅れてみたりする日本人にとっては、好きな俳優の作品であったり単純によくできた物語であれば十分楽しめる。そもそも遅れて見ているのだから。「筆が走っていない」という意見もあったが、「太陽の末裔」や「トッケビ」が類まれにみる内容だっただけに、それと比べることがそもそも...。といってもいいのではないかとも思う。


3、イ・ミンホの魅力

私としては、一位二位を争う作品ではないが、イ・ミンホ演じるイ・ゴンという皇帝も魅力的だったし、物語もなかなかよくできている。主人公二人の愛にも胸を震わせた。このドラマは、イ・ミンホのカッコよさを表すためにできたドラマか?と思いながら毎週週末を楽しみにしていた。

結論イ・ミンホなら何でもいいのでは?と言われるかも知れないが、そういう訳でもない。「シティーハンター」や「信義」の彼にはそこまで引き付けられなかった。わかりづらいかもしれないが、きっと私のツボの役柄に彼の容姿や雰囲気がマッチしたときに起きる”化学反応”みたいなものが夢中になるカギになるような気がする。


それにバッチリ当てはまったのが「青い海の伝説」。この作品はキム・ウンスク作品ではないが、好きな韓国ドラマの上位に入るほど、愛してやまない作品だ。このドラマも現世と前世がいったりきたりする。物語のテーマは運命。一番の見どころはチョン・ジヒョンの演じる主人公のシム・チョンだ。彼女が演じるシムチョンは可愛くもあり、人が振り返るほどの美人であるにも関わらず言動はびっくりするほどコミカルで”その”浮世離れ”した彼女の姿に皆虜になってしまう。イミンホ演じるホ・ジュンジェに対する愛情表現は、見てるほうまでドキドキする。主人公二人の愛情の深さが時には切なく、時には大いに満たされて幸せな気持ちにさせてくれるファンタジーラブストーリー。ホ・ジュンジェは元々天才詐欺師だが都会に迷い込んだ人魚のシムチョンと過ごすようになり彼女の純真な心に触れることで徐々に心を開いていく。その移りゆく主人公の心をイ・ミンホはとても自然に演じていた。

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彼はこの役でSBSの最優秀演技賞を獲得している。過去にも「花より男子」や「相続者たち」など出演ドラマで数々の賞を受賞しているが、この時の授賞式の彼はどの授賞式よりも堂々として自信にあふれていた。この後すぐに兵役にいくことになっていたせいもあったからか、数年後のドラマ復帰への想いもい伝わってきた。

彼も今年で33歳。同じ年代の主演クラスの人気俳優は現在兵役に行っている面々を含め数えきれないほどいる。年齢的にも以前と同じ立ち位置でドラマに向かうことは正直難しさもあるだろう。しかし今回のドラマで年齢を重ねてもイ・ミンホのカッコよさや存在感は健在であることは証明された。これからが彼の俳優としての本領を発揮する時なのだ。この年齢になったからこそ放てる魅力ある役柄や作品に出会ってもっともっと楽しませてほしい。俳優イ・ミンホ。次に彼が選ぶ作品でどんな彼が見れるのか、今から待ちどおしい。



#エッセイ   #韓国ドラマ   #イ・ミンホ   #ザ・キング ~永遠の君主






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