『会いたい人』 B面
「今日はすっごい雪だね〜、あゆみ、これが雪だよ〜」
ママは目覚めるとカーテンを開けて、窓のそとの雪の世界を見せてくれた。
「ゆき〜しろい!」
わたしはキャッキャと喜んで窓開けてみるけど、思ったより寒くてびっくりしてすぐに窓をしめた。
「さむい!」
「雪が降るといつもより寒いんだよ。今日はいつもよりあったかい格好して保育園行こうね」
ママは今日も朝から忙しそうだ。わたしのお弁当の準備とお着替えの準備、自分のお仕事の準備でお部屋のなかを走りまわってる。
「ママー あったかいぎゅうにゅう、のみたい」
「あったかい牛乳?珍しいね。ちょっと待って〜」
いつもの軽いコップじゃなくて、重たいコップにあったかい牛乳を入れてくれた。
「ハチミツ 少し入れたよ。美味しくなるからね」
ママはスプーンで5回ほどゆっくりかき混ぜて渡してくれた。
わたしはあったかい牛乳のカップを両手で合わせながら「どうしよっかなー」と言ってみた。
「どうしよっかなーって何が?」ママは不思議そうにわたしをのぞく。
「むかしのママのまねだよ」
「え?ママ、そんなこと言ったっけ?」
「うん、だってそれであゆみうまれたもん」
「ママ、覚えてないなーほら、早く飲んで!保育園遅れるよ!」
ママは覚えてないみたい。
わたしはママに気にせずゆっくりとあったかい牛乳をふーふーしながら飲み干した。