『好きな人の彼女』A面

好きな人の彼女がどんな人か見てみたかった。

勝手に見つけた彼女のインスタを覗いてると私の知らない好きな人がそこには沢山いた。

彼女のインスタでは好きな人の腕時計の手元が映ってるだけで胸が痛くなった。

好きな人の最寄りの駅のスーパーにいるとインスタで彼女がよく背負ってるレザーのリュックを背負った彼女らしき人を見かけた。

もしかして・・・スーパーの中で遠くからその背中を追いかける。
別に話したいわけじゃない。
ただ本人か知りたいだけ。
足元がインスタで見かける黒のレザーサンダルだったら確定だ。

生鮮食品の角を曲がったので慌てて追いかける。万引きGメンのようについてまわる。

奥にある調味料コーナーで曲がったので追いかけると何故かいない。

後ろを振り返ると前にいたはずの彼女らしき女性が立っていた。
一瞬、目が合ってビクっとする。
何食わぬ顔をして彼女は目の前にあるレトルトカレーに視線を向ける。

私は咄嗟に何も入ってないカゴにバーモンドカレーのルーを二つ入れて、すぐに背中を向けて角を曲がった。

あれはやっぱり彼女だ。

私、何がしたいんだろう。

これ以上振り返ることができずそのままレジに向かった。