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【Q&A】キャンドルが燃える仕組みと芯について
【Q&A】は、よく聞かれる質問に詳しく答えてみようというコーナーです。
今回は、ちょっと長くなりますが
「芯は何を使っていますか?タコ糸じゃダメですか?」
「始めは燃えるんだけど、すぐ火が消えてしまいます。なぜですか?」
といった、芯やキャンドルの燃え方について書いていきます。
前置きが長いので、質問の答えだけ知りたいという方は目次から飛んでください。
少し理科の実験みたいな用語が出てきますが
なるべくわかりやすく書いていこうと思います。
私の解釈や感じ方で書いている部分もありますので
専門の方から見たら「それ、違うから」
ってこともあるかもしれません。
そんな部分を見つけたらお気軽にコメントで教えてくださいね。
キャンドルが燃える仕組み
![](https://assets.st-note.com/img/1663628696160-MUja1xpZ7P.jpg?width=1200)
芯は何を使えばいいか、どんなものがあるのかを紹介するのは簡単です。
ですが、作りたいキャンドルや使うワックスによって
最適な芯というものがあります。
その作品やワックスに適していない芯を使うと
上手く燃えなかったり、途中で火が消えてしまうことがあります。
なので、必ずこの芯を使えばいいという正解はないのです。
でも、作りたいキャンドルに合った芯を選びましょうと回答するのも、キャンドル作りを始めたばかりの方には不親切な答えです。
なので、最適な芯を選ぶために最低限必要な知識というのを書いていきます。
◆毛細管現象(もうさいかんげんしょう)
急に難しいですが、大丈夫です!笑
キャンドル作りを始めたら、一度は出会うであろう言葉「毛細管現象」
ろうそくの芯にマッチやライターなどで火を付ければ
簡単に火を付けることができます。
でも、どうしてキャンドルは燃え続けることができるのでしょうか。
普通の紙などに火を付けると、
燃えるもの(紙)がなくなってしまえば当然火が消えてしまいますよね。
キャンドルはこの「燃えるもの」が溶けたロウです。
でも、液体の溶けたロウがどうやって燃えているのでしょうか?
この燃える仕組みで重要になってくるのが毛細管現象です。
毛細管現象とは
細い管状物体(毛細管)の内側の液体が、外部からエネルギーを与えられることなく管の中を移動する物理現象である。
もう少しイメージしやすい言葉で言うと
繊維と繊維の「すきま」のような細い空間を、
重力や上下左右に関係なく液体が浸透していく現象。
例えば、水の入ったコップにティッシュをつけておくと
いつの間にかティッシュを伝って水がコップの外にたれている…という現象です。
(まだわかりづらいですよね、私も何回聞いても??でした笑)
とにかく、キャンドルが燃えているときは
火で溶けたワックスが芯を伝って吸い上げられるという毛細管現象が発生しているとの事。
日本語は難しいので
火をつけた時キャンドルに起きている現象を図説します。
◆燃焼サイクル
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/86903365/picture_pc_fdcd8c6655fa3000bfd3d3a7c4e3c4aa.png?width=1200)
どうでしょうか。
①まず、芯に火が付きます。
②芯が燃え始めると、炎の熱で芯の周りのロウが溶けます。
③溶けたロウは毛細管現象により芯に吸われていきます。
(燃えているのに不思議ですね…)
④芯に吸われたロウは、炎の熱で熱せられ気化します。
(水を熱すると気体になるように、ロウも気体になります)
⑤気化したロウが空気中の酸素と結びつき、引火して燃えます。
⑥燃えた時に出る熱でロウが溶けます
溶けたロウはまた芯に吸われて…と③に戻りこれを繰り返してずっと燃えていくというサイクルが燃える続ける仕組みです。
毛細管現象は③の部分に発生しています。
ちょっと難しいですが、
溶けたロウが芯を伝って熱で気体になり酸素と結びついて引火して燃える。というのが芯の周りで常に起こっています。
このサイクルがうまくいかないと、メラメラと大きな炎を上げてしまったり、うまく燃え続けないキャンドルができてしまいます。
液体燃料で燃えるオイルランプなども同じような原理です。
芯選びが重要なわけ
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/86934366/picture_pc_4df3170cbe22648425632b702849de41.png?width=1200)
芯は溶けたロウを吸い上げるわけですが、
溶けたロウの中には着色で使用した顔料や香りづけに使う香料も溶けだして混ざっています。
これらはロウの吸い上げには邪魔になる存在で、あまりにも使用する顔料や香料が多いと吸い上げる過程で芯に目詰まりが起きてしまいうまくロウが吸い上げられなくなってしまうんです。
また、吸い上げるロウの量が多いと大きな炎になってススがたくさん出てしまったり、作るろうそくに対して細すぎる芯を使用してしまうと
十分にロウを吸い上げることができず燃焼不良を起こして火が消えてしまう事も。
こんなトラブルを避けるためにも溶けたロウを吸い上げる芯はとても重要なのです。
長くなりましたがこの辺りで、作りたいキャンドルに合わせて芯を選んでくださいという意味が少しわかってきたかなぁと思います。
ロウソクの燃える仕組みなどもっと詳しく知りたいという方はぜひ
ロウソクの科学という本を読んでみてください。
文庫本で字だけのものも売っていますが、最近はマンガで分かりやすくなったものも売られています。
芯の種類
燃える仕組みが分かったら、次はどんな芯があるのかを知ってほしいので書いていきます。
(使ったことのない芯もありますので情報に偏りがあります)
■H芯(平芯)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/86935952/picture_pc_d90f6433480ac9152354eed5ad997924.jpg?width=1200)
キャンドルで一番よく使われる芯です。
木綿の糸を漂白して編み込まれている芯。
編み込まれる芯の数によって「〇×3+2」というように表示され
〇に入る数字が大きいほど太い芯になります。
どんなワックスにも使える芯なので
初心者の方にもおすすめです。
「〇×3+2」の意味
例えば4×3+2だったら…
2本(4×3+2)の細い糸を真ん中に入れて、
4本(4×3+2)の糸の束を三つ編み(4×3+2)をしていますよー
というかんじの意味。
■D芯(丸芯)
断面がアルファベットのDの字のような芯。
燃え進むにつれて芯の先が曲がり、
炎の最高温のほうへ曲がっていくという特徴があります。
太い芯なので、ロウの吸い上げがいいため
大きなキャンドルを作る時によく使われます。
■木芯(ウッドウィック)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/86935796/picture_pc_167d7bdf127b40f6be34658d662dcc64.jpg?width=1200)
薄くスライスされた木の板を貼り合わせて作られた芯。
火を灯すとパチパチと木が燃える音が聞こえるのが特徴。
私も好きでよく使うのですが、パチパチというよりか
ジジジジというような、かすかに燃える音がよくします。
サイズは細いものから太いものまであり、
上のリンクに表示されているような細い板状のものから
ロール状の物まで様々です。
ロウを吸い上げやすいので
植物性のワックスやアロマキャンドルなどにお勧めです。
■HTP芯
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/86935894/picture_pc_e29a1884b0a6e90705a3935e4417332d.jpg?width=1200)
木綿の芯に紙のフィラメントが編み込まれているタイプの芯。
私が最もよく使う芯です。
燃焼時に綿糸がばらけにくく、適度に頭を垂れるので燃焼時に自動で芯の長さをトリミングしてくれます。また、紙のフィラメントがワックスの吸い上げをよくしてくれるので、大豆ワックスやみつろうなど動植物性ワックスでの使用がお勧めです。
芯選びのポイント
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/86934723/picture_pc_e7f3e6ad7df384575522369091e6195a.jpg?width=1200)
いろいろなメーカーさんで芯を販売していますが、
この芯はこのワックスに対してこのくらい燃えます、という画像があるメーカーさんもありますので参考にするといいかもしれません。
細い芯はワックスの吸い上げが少ないので小さなキャンドル
太い芯はワックスの吸い上げが激しいので大きいキャンドル
というのが目安になりますので自分の作りたいものに合わせて芯を選んでみてください。
それでも何を使えばいいかわからないという時は、私はH芯の3×3+2を使って作ってみます。
それでできたキャンドルを実際に燃やしてみて、この太さの芯でいいかチェックをするのです。
この燃やしてみることを燃焼実験(ねんしょうじっけん)といいます。
燃焼実験について
新しいキャンドルを作った時は必ず燃焼実験をして、作ったキャンドルが安全に燃えるかどうか、芯の太さは適切かなどを確認するようにしてください。
実際に作ったキャンドルに火をつけてみて、炎が小さくて今にも消えそうという場合は芯が細すぎで上手くワックスが吸い上げられていないという事です。
ワックスの中に入れた顔料や香料が多かったり、ジェルワックスや植物性のワックスを使用していたり…と上手く吸い上げられない原因は様々です。
手っ取り早い解決策は芯の太さを一つ上げてみる事。(2なら3にね)
芯だけ変えれば一生懸命考えて作ったワックスの配合を変えたり顔料の量を変えたりしなくて済みます。
芯を変えてもうまく燃えないときは、やっぱりワックスの配合に問題があるかもしれない…というように上手く燃えない原因をより分けていきましょう。
逆に、火柱かってくらい炎が大きくてメラメラと黒い煙を上げながら燃えているときは芯が太すぎて燃えすぎています。
大きな炎を拝みたいというならば
周りに燃えやすいものがなければ私はそのままでもいいと思いますが
引火したりして危ないので、火が大きすぎるという時は芯の太さを細くします。(3なら2にという感じに)
なので、キャンドルは出来上がった時が完成ではなく、できあがったら灯して安全に燃え進んでくれるかという事を確認できた時が完成だと私は思います。
ですので、作ったら火をつけてみてくださいねー
が、ワークショップの時の私の口癖です。
もったいなくてつけられない、では
いざという時にちゃんと火がつかないかもしれないので。
作るキャンドルに合わせてちょうどいい芯を選ぶのはなかなか難しいので、
まずは作ったらきちんと安全に燃えるかの実験(燃焼実験)をすることが大事です。
火を灯すことも勉強なんですよね。
まとめ
キャンドルが燃える仕組み、いかがだったでしょうか。
今は100円ショップにある材料でも手軽にキャンドルが作れますが
火を灯すものなので安心、安全なキャンドルが作れるよう
少しでも参考になれば幸いです。
また、上で紹介した以外にもいろんな種類の芯があるので興味があればネットで検索したり、お近くのキャンドル教室でもっと詳しく聞いてみたりしてみてください。
ここで、やっと冒頭の質問の回答をしていこうと思います笑
Q. 芯は何を使っていますか?タコ糸じゃダメですか?
作りたいキャンドルによって芯を変えていますので絶対にこれというのはないですが、私は濃い色のキャンドルが好きなので顔料をたくさん入れるため、ワックスの吸い上げがいいと言われているHTP芯を使うことが多いです。
タコ糸はキャンドル作りの材料でよく紹介されていますが、あまりお勧めできません。
タコ糸は2本の糸をねじったような造りになっています。
作りも丈夫で芯の代用品としては十分使えますが、燃やしている過程で
芯が二股に分かれてしまい、うまく燃えないことがあるそうです。
タコ糸は、ただ2本の太い糸をねじって1本にしただけなので、燃やすとねじれが崩れて糸がバラバラになってしまい、うまく溶けたワックスを吸えなくなってしまうのです
Q. 始めは燃えるんだけど、すぐ火が消えてしまいます。なぜですか?
これはいろいろな原因があります。
上にも書いたような、顔料や香料の入れすぎで燃やしている途中で芯が目詰まりして消えてしまったり、細すぎる芯を使っていたりするとワックスの吸い上げが悪くてうまく燃えなくなったりします。
キャンドルに火を灯していて、なんだか火が小さくて消えそうという時は、
一度火を消してキャンドルに溜まった溶けたロウ(ロウだまりとか、プールとか呼ばれます)を捨ててから火をつけると炎が大きくなることもあるのでぜひ試してみてください。
長くなりましたが今回はこの辺りで切り上げたいと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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