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月刊不動産流通500号記念企画「創刊号を振り返る」
こんにちは!不動産流通研究所です。いつも『月刊不動産流通』や不動産流通研究所のnoteをお読みいただきありがとうございます。
この度、12月5日(火)に発売される月刊不動産流通24年1月号がなんと、創刊号から通算500号となります!!🎉🎉🎉
記念企画として、過去の誌面を振り返ってみたいと思います(^▽^)/
創刊号「月刊不動産流通 1982年7月号」
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創刊は41年前の1982年(昭和57年)
編集部の書庫に保管されていました。これが創刊号!👀
表紙は機窓からの景色でしょうか。空のグラデーションが綺麗ですね♪ 赤青黄3原満遍なく揃ったデザインに存在感を放つシンボルマークのメビウスの輪。表紙から創刊号の貫禄を遺憾なく発揮しています。
月刊不動産流通は、国内唯一の不動産流通業者向け専門誌として1982年に創刊しました。不動産流通の円滑化・近代化を目的とし、不動産関連事業に従事する方々の実務に役立つ情報を多角的に掲載するビジネス専門誌として今日まで続いています。
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(右)最新号目次
創刊号の目次です。せっかくなので今年の12月号(通算499号)の目次と比べて見ました。
特集や随想に加え、座談会企画や「消費者の目」など、最新号まで連載が続く長寿コーナーがあります。
現在ではコーナーも増え、それに伴い創刊号では80ページほどであった誌面も最新号は100ページに達するまでに。
以下、創刊号の振り返りが続きますが、最新500号についてもnoteにて試し読みを公開しておりますので、ぜひご一緒にご覧ください(^▽^)/
さて、創刊号時代の雰囲気をお読みいただいている皆様にも体感していただきたく、創刊号のインタビューコーナーからひとつ、note用に直したものを掲載したいと思います。
インタビュー
石原舜介氏に聞く
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流通市場はこれから
建設促進にも力貸す
勤労者の実質可処分所得と住宅価格とのカイ離は大きく、住宅建設が大幅に落ち込んでいる。にもかかわらず今年の地価公示価格は七・四%と消費者物価や預金金利を上回って上昇しており、マイホームへの道はますます遠ざかるばかりだ。地価を安定供給する方策や住宅建設を刺激する流通市場の見通し、不動産流通専門媒体はなぜ必要かーなどについて石原舜介東京工業大学教授に聞いてみた。
ー住宅建設の回復は
「住宅建設が減少しているのは所得と住宅価格とのカイ離が大きな原因の一つだが、結局、住宅価格を構成している中で土地の占める割合いが大きく、その土地費が土地政策の欠如というか、供給不足もあって非常に高値についているのが大きな原因。土地供給を積極的に推進する一貫として、今年度の土地税制その他色々な手当てがなされているが、現在の法改正ではまだ十分な効果が現われてくるとは思えず、若干疑問がある。所得の方は今年の春闘などをみてもそれほど大幅に上がらなかったし、今後も世界経済の停滞ということからみると、住宅建設の回復は遅いという感じがする」
望みは不動産流通
「しかし、多少の望みがあるのは住宅が一巡したために、買い替え需要をうまく誘導することで所得が仮にカイ離しても、買い替え資産が活用できれば十分対応でき、そこに不動産流通が今後の住宅建設そのものにも影響を与えてくると思う
ー地価安定の方策はなにか。
「これは大問題で策があればすでに手が打たれていただろう。私も住宅宅地審議会の宅地部会長をしているが、何としても地価を安定させ、上昇率を抑えたいと考えてその対策を色々検討しています。ご承知のようにわが国の土地所有権という一つの大きなカベがあって、その所有権を侵害するような行為はよほどのことがないとできない。それも公共の目的のためには『そういうことをしてもよろしい』となっているけれども、住宅みたいに個人の財産になるような土地を強制収用して個人に渡すということがどのていど許されるのか、ということになると非常に難しい。勢いあるていどの任意的な供給という形に頼らざるを得ない」
地主自体に社会的責任を
「今回の税制改正で五年間ではあるが、農業を継続する場合と宅地供給に転ずる場合とを意思表示しなければいけない制度になった。それから地主自体に社会的責任を明確化するもう一つのウラづけとして、名都道府県レベルで宅地需給長期見通しというものを作らせるようにお願いしてある。これによって、これだけ宅地が必要なんだということで、その供給量の見通しのもとで供給が不足する部分はある面において協力をお願いする、というようなことを明確に打ち出せるようなウラ打ちの資料を作ろうと今作業が進められている」
自覚を促して安定供給
「いずれにしても、強制収用とか強権的な方法というのはわが国では取りにくいので、できるだけ自覚を促す、あるいはそういうことを背景とした政策をとらざるを得ない、そういう範囲でできるだけ地価の安定供給を図っていかなければいけないのではないかと考えている」
ー流通市場の将来見通しは。
「これは大都市とか中小都市とかによって違ってくるが、中古市場の一番大きな市場は大都市である。アパートと戸建て住宅の建設をみてみると、戸建て住宅は少し下がり気味だが、アパートはこれだけ住宅建設が減少しているといいながらも横ばいないし若干上がっている。そういうことからいうとアパートの構成割合いが段々高くなる。だからストックの中においても今以上にアパートの割合いが高くなっていくと思う。そうするとアパートが中古市場の中で非常に大きな割合いを段々占めていく可能性が高い。そういう点で戸建て住宅よりはアパートの方が中古市場に出る確率もまた高い」
これからの流通市場
「景気の動向に左右されるので必ずしも見通しというものは明確にできないけれども、少くとも漸増していくであろう。某銀行の六十五年に六十万戸というのはちよっとオーバーすぎる(笑)、と思うけれど、少くとも四十万戸台にはいくのではないか。それでも一年に一万戸つつの増加だから、流通市場というものは日本ではこれから始まる大きな市場である」
ー不動産流通専門媒体はなぜ必要。
「今まで不動産というと新築を中心として考えられていた。どちらかというと新築のための間取りをこうした方がいいとか、一つの建築的な雑誌だとか、あるいは住まう工夫だとかの雑誌は昔からある。また鑑定評価のような専門的な雑誌も出ている。それから不動産研究という雑誌は不動産や住宅についていろんな問題に関して、一般的な背景を研究する雑誌であり、その主題は新築である。結局不動産流通に関しては今までほとんど何もなくて、しかもこれからわが国で住宅の総戸数が総世帯数を上回って、あるていど量的な充足ができた段階では、中古市場というものを今後積極的に切り開いていかなければいけない重要な分野であることは誰もが認めているところ」
「ところが、それに関する専門媒体というものは今までまったくなかった。どちらかというと、新築に片寄っていた不動産関係の雑誌というものから、流通を中心とした媒体で足りない所を補っていく意味で、非常に重要な役割りを果たせる媒体になるということで、この『月刊不動産流通』を企画した人に敬意を表するとともに、是非成功させていかなければならない」(終)
以上になります!さすが不動産流通専門誌、創刊号から濃い話がばっちりと。個人的には、「この頃から”(笑)”って使われてたんだ~」などと考えながら当時の雰囲気を感じていました。(笑)
インタビューの最後には石原氏が不動産流通専門媒体の必要性についても言及されていました。この度2024年1月号をもって通算500号となる月刊不動産流通、41年間創刊から続く意志を継承しながらも、常に時代に合った不動産業唯一の専門誌として皆様と共に進化し続けていきます。
最後までお読みいただきありがとうございました。今後とも月刊不動産流通をよろしくお願いいたします。
(月刊不動産流通 編集部)