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MTG 《巨怪の怒り》はなぜアルケミーで禁止されたのか

こんにちは。フヂヤマです。
今回のテーマは「《巨怪の怒り》はなぜアルケミーで禁止されたのか」です。
アルケミー再調整の内容をみるとともに、《巨怪の怒り》が禁止された理由と今後のアルケミー環境について考えたいと思います。
※あくまで筆者の個人的な意見を述べた記事です。ご了承ください。

いざ、冒険のはじまりはじまり

1.アルケミー再調整

今回筆者が気づいたことですが、実はアルケミー再調整はカードごとに目的とするフォーマットが分かれています。(影響は全体なのでややこしい)
・アルケミー向けの再調整:《心火の英雄》etc
・ヒストリック向けの再調整:《残響の力線》(主にアルケミー向けだが、こちらも該当するでしょう)
・ブロール向けの再調整:《有翼の叡智、ナドゥ》、《歪んだ看守、グレンゾ》

それでは注目カードをアルケミー視点で見ていきます。
すべての詳しいリストは上記公式リンクをご確認ください。

禁止(アルケミー)

・巨怪の怒り

とにかくトランプルと+1/+1ほぼ永久付与が強い。個人的に歴代ジャイグロ最強カードでした。

再調整

・残響の力線

調整:呪文コピーに追加コスト①を支払う必要が生じた。

予想通りの調整です。とはいえ影響は大きくほぼアンプレになったといえるでしょう。
どのみち、元の能力では遅かれ早かれ禁止されるのは明白だったので仕方ありません(元々アルケミーでは禁止されていた)。
最近のデザイン失敗カードの追加メンバー

デザイン失敗三銃士を連れて来たよ!

・心火の英雄

調整:1/1→0/1に

アルケミー1マナクリーチャーで抜けて強い性能で赤単とハツカネズミデッキは1ターン目《心火の英雄》、2ターン目《多様な鼠》が理想ムーブでした。ナーフ後もぎりぎりまだ使えそうですが、追加で《巨怪の怒り》が禁止されたのでデッキは大幅に弱体化したといえるでしょう。

・リバルド・シャンティ

調整:マナコストが2マナ→1マナに

・時代賛歌

調整:マナコストが5マナ→2マナに、初期強度が3→1に

マイナーな人気を集めていた合唱サイクルカードですが、超絶強化されました。2回目以降はマナレシオが普通にヒストリックやタイムレス級なのでやばそうです。

・有翼の叡智、ナドゥ

調整:能力誘発がクリーチャー毎に2回→クリーチャー全体で2回に

テキストを間違えたまま刷られたカード。適正性能になった。
アルケミーは関係ありませんが、一時期ヒストリックで回していたので供養。

ヒストリックナドゥデッキ、手甲がないので普通の強さだった


2.《巨怪の怒り》はなぜアルケミーで禁止されたのか

上記とあわせてお読みください。

Monstrous Rage is banned in Alchemy. In general, we want to avoid banning cards in Alchemy, but Monstrous Rage is a very tight design. It is challenging to adjust Monstrous Rage without making too small a change or rendering the card unplayable. We do not want the card to see play in Alchemy (and recognize there are less aggressive replacement combat tricks) but are happy with it continuing to be played in nonrotating formats like Historic and Brawl. So, we are deciding to take the unusual step of banning it outright in Alchemy.

公式サイトより引用

簡単な意訳
《巨怪の怒り》はアルケミーでは使ってほしくないが、このカードを再調整するのは難しい。一方で、ヒストリックやブロールでは適正カードである。そこで今回はヒストリック・ブロールへの影響を考慮してアルケミーのみで禁止した。


・《巨怪の怒り》を使う赤単とハツカネズミは強かったのか

赤単(再調整前)
赤白ハツカネズミ(再調整前)

・1ターン目《心火の英雄》、2ターン目《多様な鼠》の理想ムーブが環境の中で抜けて強いムーブ。対処できないと負ける。
・《巨怪の怒り》も強く、トランプル付与のせいでチャンプブロックもできないため、押し込み力が抜けていた。
・上記2点の動きが環境を歪ませていた。どのデッキも軽量インスタント除去を積み込む必要があった。
・上記の動き以外は両者とも普通のデッキ、継戦能力が高いとはいえず、《ウラブラスクの溶鉱炉》等、対ミッドレンジ用のサイドカードもない。特に赤単は除去を構えていればどうとでもなるデッキだった。
・《心火の英雄》や《巨怪の怒り》と同等の1マナはカードプールに存在しない(これよりも弱い代替カードはある)→これを調整すれば問題なしと判断された。

まとめ
赤単とハツカネズミはデッキ全体を見ると環境適正レベルだったが、1ターン目《心火の英雄》、2ターン目《多様な鼠》の理想ムーブと《巨怪の怒り》だけオーバーパワーで環境を歪ませた。今回の調整ではオーバーパワーの部分に調整が入った。

今回の再調整、ここで終われば一応成功でした。
しかし…

3.今後の環境について考察

・再調整前アルケミー環境 ※2024/11/19追記

・筆者の所感ではスタン>>再調整前アルケミー
・特に土地が弱く3色以上のデッキ構築が厳しい
・スタンのトップメタである青黒ミッド、緑黒ミッド、赤緑果敢はアルケミーではローテ落ちのためカードが足らず、組むことが難しい
・青系打ち消しコントロールがほぼいなかったため、序盤凌いで好きなことをやるミッドレンジが多く、近年にはないやや牧歌的環境

スタン使用可能でアルケミー使用不可能多色土地15種類+1
15種類の土地のかわりを1枚で背負うアルケミー土地
ダスクモーン期スタントップメタの3つ。アルケミーローテ落ちのカードは赤くなっている
《巨怪の怒り》はアルケミーで禁止された

・再調整後の環境

サンプルデッキ

・合唱強奪

リストは適当なのでご了承ください。

特徴
・以前の強奪はリソースあまり増えない、土地伸びない、砂漠デッキに相性が悪い、打ち消しも少ないと弱点の多いデッキだった
・合唱カード大幅強化により、超強力ドロー、除去を手に入れた
・アグロ弱体化により除去を積み込む必要がなくなり、代わりに打ち消しを積めるようになった

ヒストリック禁止ラインは1マナ3点インスタント
2マナインスタント2ドロー以上は《表現の反復》を超える

赤単とハツカネズミに対する再調整とはいったい何だったのかというくらい大幅に強化された合唱カード。正直ナーフしたカードとは月とすっぽんレベルで強いので合唱カードを使った青赤系デッキが流行しそうです。

再調整して環境のバランスを取るはずが、環境を壊す新たなカードが生まれた


4.おわりに

さて、今回のテーマであった「《巨怪の怒り》はなぜアルケミーで禁止されたのか」。当初の目的はアルケミー環境内のオーバーパワー部分を調整するのが目的であったのでしょう。それについては②で述べたとおりだと思います。しかし、合唱カードの調整でオーバーパワーをはるかに超える調整をしてしまいました。一体なぜこうなってしまったのでしょう。これについては調整を行った当事者にしかわかりません。

アルケミー(錬金術)はやはり禁術…

今回は以上です。
それではまた。

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