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思い通りにならない現実を受け入れるマインドセットの作り方

今回は読者の質問に回答します。

先日、ブログ『筆子ジャーナル』の以下の記事を読んだ読者、ゆゆさんから質問をいただきました。

私、筆子が20代後半に大量のものを断捨離するに至った経緯を振り返る『ミニマリストへの道』シリーズの1本です。

過去、私が空虚な気持ちを埋めるために買い物を繰り返していたことを述べ、特に「給料が安い」「デッドエンドジョブ」「太っていること」「恋人がいない」という状況に対する不満が買い物依存につながったと考察した記事です。

記事では、断捨離をして、物を減らしながら、考え方を変えたら心の中にあった黒いものが減り、最終的には、「思い通りにならない現実」を楽しむ余裕が生まれたと結論づけています。

この記事について、ゆゆさんは複数の質問をされていましたが、お便りの最後にこう書かれていました。

生きている限り、自分の思い通りになることなんて、決してないという現実をきちんと理解し、思い通りにならないことを楽しめるまでの思考も御教授頂きたい

「思い通りにいかない現実は理解するもなにも、その通りなので、現実をそのまま受け入れれば、私のような心境になります」。

こう返事をしたところ、「ピンと来ない」という返信をいただいたので、この記事で、もう少し詳しく、期待に沿わない現実を受け入れるコツを説明します。


はじめに:思い通りにならない、それが人生

生きていれば誰にでも「思い通りにならない」と感じる瞬間があります。それは自分だけではなく、すべての人に起こっていること。この当たり前の事実に気づくことが重要です。

たとえば、私なら、毎日質のいい記事を書いているつもりでも、Googleのアルゴリズムの変更ひとつで、読まれる記事、まったく読まれない記事が生まれます。

昔書いていた記事より、今書いている記事のほうが高品質だと自分では思いますが、アクセスに関して言えば、昔のほうがずっと多かったです。

プライベートで例をあげれば、先日、歯の記事を書きましたが、歯が悪い人生なんて、もちろん求めていないのに、歯医者に行くたびに悪いところが見つかります。

最近は、娘の体調が思わしくありませんが、これにしても全く歓迎できない状況です。

サラリーマンなら、希望していた部署に変われない、行きたくない場所への転勤を命じられる、提案したプロジェクトがいとも簡単に却下される、思ったように昇進も昇給もしない、嫌いな上司のもとで働くしかない、ということは、よくあることです。

主婦だと、「勉強しなさい」「ゲームはやりすぎないで」と子供に言っても全く言うことをきかない、今日は自分のやりたいことができると思っていたら、突然姑から用事を頼まれて、何もできなかった、ということがあるでしょう。

この世界には自分でコントロールできることと、できないことがあります。

これは、好むと好まざるとにかかわらず、人の世の常、もしくは人生の大原則なので、この世の中で生きていきたいなら、この原則はそのまま受け入れるべきです。

私も、65年の人生で、期待どおりに進まないことはいくらでもありましたが、自分の思ったようにいかないからこそ、人は成長します。

なんでも自分の好きなように展開するなら、努力や工夫のしどころはまるでないので、自分を成長させる必要性もありません。

「現実を受け入れること」は、単にあきらめることではありません。それは自分自身と向き合い、新たな可能性を見い出すことです。

上手に現実を受け入れれば、人生の質は大きく変わります。ストレスが軽減され、心の余裕が生まれ、予期せぬ発見をして、楽しめる機会が増えるでしょう。

では、具体的にどのようにして「思い通りにならない現実」と向き合い、それを受け入れていけばよいのでしょうか。

1.うまくいかないことに対するストレスが増える理由

この世界は自分の希望どおりには進まないので、思ったようにいかないとき、がっかりしたり、悔しかったりするのはふつうのことです。

でもそれは、思う側、つまり私たちの方に原因があります。

人間の本能的な欲求

人は本能的に安全で快適な環境を求めています。この本能は、「すべてをコントロールしたい」という心理につながります。

これは進化の過程で、危険を避け、生存を優先するために身につけた本能です。

人間は、未知や予測不可能な状況に対して強い不安を感じるものです。私も経験がありますが、転校したときや、進学してはじめての学校に行くとき、新しい職場に出向くときは、すごく不安ですよね。

逆に、どういうふうに進むかはっきりわかっているとき、つまり、いつもの日常を送っているときは安心感があります。

ただ、いつもの日常の枠内でも、計画通りに物事が進まない状況や、予測していなかった出来事に直面すると、強いストレスを感じます。

そして「自分には力がない」とか、「なぜ自分ばかりこんな目に遭うのか」と感じたりします。

こうした感情は、さらなるストレスを引き起こします。

このストレスの背景にあるのは、「状況を思い通りに進ませたい」「コントロールしたい」という欲求です。

そこで、欲望をうまく管理すれば、希望どおりに進まないことに対して、そこまで強いストレスを感じなくてすみます。

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