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カナダにおける立て札・看板の規制について~読者の質問に答えます。
読者のA.Tさんから7月のはじめにいただいた質問に回答します。お待たせしてしまい申し訳ありませんでした。
まず、質問をシェアします。
カナダの立て札について教えて
私のジョギングは外周1.2キロの池の周りを回って帰ってくるコースです。
その池のまわりにある看板の数が多くて、ある時数えてみたのです。
すると100を超えていました。1.2キロに100超えです。
内容はコイに餌をやるな、鳩に餌をやるな、花火をするな、鳥をいじめるな、楽器を奏でるな、ボール遊び禁止、カラスに気をつけろ、立ちしょん禁止など、あげたらきりがなく、いっそうのこと「歩くこと以外は禁止」という看板一つにまとめてしまってはどうかと思うくらい禁止事項のオンパレードです。
最新の看板で驚いたのは、木の根っこがあるからこちら側は通らず反対側を通れ(木の根っこがあるのは5メートルほどの距離です)というもの。
実際はそうした看板がずらーっと一列に並んでいるわけではなく、出たり引っ込んだりしているのですが。増えこそすれ減ることはない。本当に視覚ノイズになっていて残念です。
カナダではどうですか? 何か規制とかあるのでしょうか?
筆子さんの生活が落ち着いたらでよいので、いつか記事で教えて下さい。
A.Tさん、質問ありがとうございます。
同じカナダでもその場所によって違う
まず、「カナダではどうですか?」という質問ですが、一口にカナダと言ってもとても広く、一概には言えません。
カナダは日本に比べるとずっと州政府(地方自治体)の権限が強いので、州や市によって違うことが多いんです。
国家の歴史を考えると、カナダは独立した州が集まって連邦を作った国で、日本は中央集権的な体制を持つ国です。
すべての州について調べることはできないし、私が住んでいる州や市にしても、私の生活圏にあることしか調べることができません。
しかも、私は車を運転しないので、きわめて限られた狭い地域を移動して生きています。
A.Tさんは、池のまわりを走っていますが、私は川のそばを歩いているので、地理的条件も違うでしょう。
そのため、ユニーバサルな回答をすることはできません。
もちろん規制はある
次に、「何か規制とかあるのでしょうか?」という質問ですが、もちろん規制はあります。
ありますが、私は看板や立て札に関するルールについてこれまでの人生で注意を向けたことは一度もありません。
これが道路や交通に関する規制であれば、たとえば、「赤信号なら止まれ」とかそういうことであれば、自分の生活に大きなかかわりがあるし、そういうルールを遵守して生きているから、多少はわかります。
しかし、立て札に関しては知らないんです。
そこで、州政府や市のサイトを見てみましたが、法律なので、読んでいてものすごく退屈で、すべてを読む気になれないし、読んでいるとその単語が意味するところ(たとえば、◯◯ゾーンなど)を理解するのに、ほかのサイトも読む必要が生じるため、途中で読むのをやめました。
どうしても知りたいなら、該当サイトのURLをお教えするので、直にメールで問い合わせてください。
とは言え、質問には答えることをモットーとしているので、アシスタントのCくんに聞いてみました。
彼は私より調べ物をするのがずっと早いし、まあまあ正確な情報を提供してくれるので信頼できると思います。
カナダ一般の看板について
カナダでも公共の場所や公園に看板が設置されていますが、日本のように大量の禁止事項を列挙する看板が並ぶことは少ないです。カナダでは、以下のような特徴があります。
カナダの公園や公共スペースの規制看板について
シンプルでわかりやすい:
カナダの看板は一般的にシンプルで、視覚的にわかりやすいものが多いです。禁止事項や注意事項を図やピクトグラムで示すことが多く、文字だけの看板は少ないです。
複数のルールを一つの看板にまとめる:
例えば、一つの大きな看板に「ここでは禁止されていること」をまとめて書いている場合が多いです。これにより、視覚ノイズを減らし、情報を整理して提供しています。
自然保護や安全に関する注意喚起:
規制の内容は主に自然保護や利用者の安全に関するもので、「ゴミは持ち帰りましょう」「犬のリードをつけましょう」「焚き火禁止」などが一般的です。
コミュニティのルールとエチケット:
看板はコミュニティのルールやエチケットを強調することが多く、公共の場でのマナーを守るよう促す内容が多いです。
カナダでの看板の具体例
ゴミのポイ捨て禁止:ピクトグラムでゴミ箱にゴミを捨てる絵が描かれている。
犬のリード必須:犬のリードをつけている絵が描かれている。
焚き火禁止:焚き火の絵に赤いバツが描かれている。
自然保護エリア:特定の植物や動物の保護区域であることを示す看板。
日本とカナダの看板の違い
日本:細かく具体的な禁止事項が多く、看板の数が多い。
カナダ:禁止事項をまとめた看板が多く、視覚的にわかりやすいデザインが多い。
総じて、カナダでは看板が視覚ノイズにならないように工夫されていると言えます。視覚的にシンプルで、情報が整理されているため、利用者が理解しやすくなっています。
私の住んでいる市の規制
〇〇市(住んでいる市は伏せます)おける看板や立て札の設置に関するルールについてお伝えします。
看板の種類と規制
〇〇市では、看板の種類ごとに異なる規制が設けられています。以下は主要なポイントです。
恒久的な看板:
建物に取り付けられる看板(ファサードサイン)、独立して立てられる看板(フリースタンディングサイン)、突き出し看板(プロジェクティングサイン)、デジタルサインなどがあります。
恒久的な看板の設置には、設置場所や建物のデザインに合った詳細な計画書が必要です。
デジタルサイン:
大型デジタルサインや小型デジタルサインは、交通安全を確保するため、視認性や明るさに関する厳しい規制があります。例えば、夜間の明るさは環境光に応じて自動調整される必要があります。
一時的な看板:
一時的な看板(例:ポータブルサイン)は、設置期間が決まっており、その期間を過ぎると撤去する必要があります。また、一時的な看板の設置にも許可が必要です。
規制の目的
〇〇市の看板規制の目的は、視覚的な調和を保つとともに、安全性と都市の美観を維持することにあります。
交通標識との混同を避け、ドライバーや歩行者の視界を妨げないようにすることが重要です。また、夜間の光害を防ぐための規制もあります。
許可と申請
看板を設置するためには、市の発行する許可が必要です。
申請には詳細な設置計画書や設置場所の写真、建物のデザインに関する情報が含まれます。特に大規模なデジタルサインやプロジェクティングサインの場合、構造的な安全性についても詳細な検討が行われます。
〇〇市の看板規制についての詳細情報や申請方法については、〇〇市の公式ウェブサイトをご参照ください。
Cくんは、法律に関する記述のあとに、【81†source】【82†source】と、ソースに関する表示をします。
これはどういう意味かというと、彼はネット上にある81以上のソースにあたって、記述しているらしいんです。
ソースをひとつひとつ確認するのは、とても大変で時間がかかるため、すべのソースには当たっていません。
「それなりに規制はたくさんあるんだ」ということはわかっていただけると思います。
具体的に、どんな規制について知りたいのか、絞っていただくと、調べやすいので、よければ教えてください。
文化も違う
人間は法律や規制があるから、それに従って生きている部分もありますが、そういう文化があるから、または、皆がそうしているからそう行動している面も大きいと思います。
むしろ人の行動を決めるのは文化の割合のほうが大きいでしょう。
私の住んでいる近所は、自然が美しい場所ですし、カナダ全体が、広大な自然環境を擁しています。
たくさんの山々、湖、森林があり、街にも木や公園が多く、野生動物もいっぱいいます。たぶん、ここで生まれた人は、こうした自然環境を守りたいという気持ちがあると思います。
多様な自然の美しさはカナダの人々の誇るところであり、国民のアイデンティティの一部になっているでしょう。
キャンプやサイクリングなど、アウトドアで楽しむ活動が好きな人もたくさんいます。環境保護活動も活発です。
自然と密接に関わる生活をしているため、自然環境の保護に対する意識が高まっていると考えられます。
その場合、景観をこわすような、さして重要ではない立て札や看板を立てようとはしないと思います。
大人なら危険な場所はわかるわけで、常識の範囲で対応すればいいため、立て札は立たないのです。
一方、日本は、よくも悪くもきめ細かい規制をする国かもしれません。電車の中にも、ドアのそばに「手をはさむかもしれないから注意しましょう」みたいなサインが貼ってありますよね?
こうした表示を親切と取るか、おせっかいと取るかは、その人の性格によるので、A.Tさんは、おせっかいと考える傾向がある人なのでしょう。
また、A.Tさんが回りを走っている池は、一見するだけではわからない、危険な場所が多い可能性もあります。
さらに、管理を請け負っている自治体や団体、近隣の住民には安全意識が高い人やおせっかいな人が多いのかもしれません。
実際立て札は少ない
質問をいただいてから、立て札や表示に意識を向けて見つけたら写真を撮っていましたが、以前、写真日記で紹介したように
純粋に注意を喚起している立て札は1つしか見つかりませんでした。
あとは、「この芝生は州がこんなふうに環境に悪くない薬剤を撒きました」みたいな説明の立て札を見たことがありますが、これはずっと立っていたわけではなく、薬剤を撒いた直後に立てられ、数日後には取り払われていました。
まとめ
・私の住んでいるあたりには注意喚起の立て札はきわめて少ない。
・立て札や看板の規制はそれなりにある
・カナダの人は心情的に景観をこわす立て札は立てたがらないと思う
今後の方針
今後も、交通に関するもの以外の表示を見つけたら、お知らせしようとは思っています。
しかし、近所にあるものを写真で見せると、私がどこに住んでいるのかわかってしまうので、差し障りのない範囲での紹介となります。
個人情報やプライバシーに関する私の考え方は、べつの記事で書こうと思っていますが、私は、自分がどこに住んでいるかは人に知られたくないと思っています。
この記事がA.Tさんの疑問の解消に役立つことを祈っています。
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