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カナダの歯医者事情:クリーニングを専門医から地元の歯医者に変えた理由
ここ9年ほど、インプラントをしてもらった歯医者で定期的にクリーニングをしていましたが、今年から地元の歯医者でクリーニングをするようにしました。
直接のきっかけは、去年の秋、インプラントをしてくれた先生が、自分のビジネスを顧客ごとほかの歯医者に売ったことです(先生は歯医者業は引退した模様。大学の教授でもあるので、そちらは続けているかもしれません)。
先日、地元の歯医者でクリーニングをし、おまけをもらったことをつぶやきました。
このとき、「近いから変えたんですよね?」というコメントをいただいたので、改めて地元の歯医者に変えた理由を説明します。
カナダの歯医者は専門ごとに分かれている
最初にインプラントの歯科医と地元の歯科医の違いを簡単に説明します。
インプラントの歯科医院は、私が2015年の暮れから、インプラントをするのをきっかけに通い始めたクリニックで、地元の歯科医院は、日本でいう、普通の街の歯科医院で、それ以前はこちらでクリーニングしてもらっていました。
インプラントについては、以前ブログで詳しく書いています。
カナダの歯科医療は、日本と違い専門分野が細かく分かれています(医療は全部そうです)。
一般歯科医(General Dentist)が幅広い治療を行うのに対し、特定の分野に特化した専門医が存在し、必要に応じて、一般歯科医が患者に専門医を紹介します。
私がこれまでクリーニングしてもらっていた歯医者は、Periodontist(歯周病専門医)でした。
Periodontistは、歯周病(歯ぐきや歯を支える骨の病気)の治療やインプラントの手術を専門とする歯科医で、一般の歯科医とは異なる高度なトレーニングを受けています(その分、費用も高額です)。
この歯医者に初めて行ったとき、まずディープクリーニングをしました。
麻酔を打って、かなり深いところまでクリーニングするもので、口中血だらけになりながら、長時間、施術を受けました。
その後、抜歯⇒インプラントと進み、その後は、インプラント治療後のメンテナンスを兼ねて、長年そこでクリーニングを受けていたのです。
しかし、今年から地元の歯医者(私にインプラントの歯科医を紹介した歯医者で、20年近くお世話になっている)でクリーニングをすることにしました。
理由は主に4つあります。
1. 地元の歯医者の方が近い
歯医者に通う際、通いやすさは重要な要素の一つです。
私がこれまで通っていたインプラントの歯医者は、片道15キロ、車で18分の距離にありました。
一方、新しく通うことにした(というか、普段の治療はここで行っている)地元の歯医者は、片道8.5キロ、車で13分と、より近い場所にあります。
これまでの通院は、主に娘が送迎してくれていました。
しかし、娘が24日から新しい仕事を始め、オフィス勤務となるため、今後は自由に休みを取れるかどうかわかりません。
その場合、Uberで通うことになります。
Uberの片道料金は、
地元の歯医者:約16ドル
インプラントの歯医者:約21ドル
これにはチップが含まれていないため、往復で考えるとかなりの出費になります。
定期的に通う場所は、できるだけ近い方が時間もお金も節約できるため、地元の歯医者に切り替えることにしました。
施術そのものの料金は、すべてコードで決まっているらしいので、違いはないと思います(未確認)。
2.支払い方式の違い
もう一つの大きな理由は、支払い方式の違いです。
インプラントの歯医者は、患者が施術後に、治療費を全額負担し、その後、保険会社に申請して払い戻しを受けるシステムでした。
このやり方は英語で "Reimbursement" または "Pay and Claim" と呼ばれます。
実際は、保険会社への請求は受付の人がやってくれていたので、数日待てば、私の口座に保険がカバーする分が振り込まれました。
一方、地元の歯医者は、治療後に保険適用分を差し引いて支払うやり方です。
こちらは "Direct Billing" または "Assignment of Benefits" と呼ばれます。
この場合、歯科医院が保険会社に直接請求し、患者は自己負担分のみを支払えば済みます。
インプラントの歯医者での支払いは、保険金が戻ってくるまでの間、一時的に大きな出費となります。
インプラントをしたときは、支払いが大きくなり、クレジットカードを2枚使って、なんとか支払いましたが、分割払いでもなく、自分でもよく払えたと思います。
地元の歯医者はその場で自己負担分だけ支払えばよいので、金銭的な負担を軽減できます。
ずっと利用している歯医者などで、頼めば支払いを待ってもらうことや、分割払いも可能だと思います。
娘もこの歯医者に行っていますが、まだ大学生だったとき、「お母さんの方に請求を回しましょうか?」と言われたことがあるそうです。
3.担当している歯科衛生士は同じ
私がインプラントの歯医者でお世話になっていた歯科衛生士は、地元の歯医者でも勤務しています。
そのため、彼女を指定して予約すれば、クリーニングの技術や使用するツールに違いはありません。
先日、地元の歯医者で本人に確認したところ、「やることは、全く同じだし、数人だけど、ここで、Dr.D(インプラントの歯医者)の患者のクリーニングもしている」と言われました。
同じ歯科衛生士でも、歯周病のクリーニングができる技術のある人といない人がいるそうです。
私の歯科衛生士は、そういうトレーニングを受けているし、インプラントの医者のところで、ずっと私のクリーニングをしていたので、私の状況にも詳しいです。
実際、先日行ったときは、歯周ポケットの測定もお願いしたところ、2年前のデータを用意して見比べてくれました。
4.地元の歯医者はサンプルをくれる
最後に、地元の歯医者でクリーニングすると、毎回、医院の電話番号がついた歯ブラシや歯磨き粉、フロスなどのサンプルをくれます。
ずっと前ですが、名前入りのボールペンをもらったこともありました。
カウンターには、チョコレートやお菓子も置いてあり、自由に持っていけるようになっています。
また、ここでお世話になっている先生(女医)の息子さんと私の娘は同い年で、同じ高校出身なので、先生と子供の話をすることもあります。
娘は2023年の夏に、結腸の感染症にかかってから、下痢が治まりませんが、決まったファミリードクターがいなかったため、先生(歯医者)が心配し、自分の主治医を紹介してくれたこともありました。
このような事情から、今後クリーニングは地元の歯医者でやってもらい、必要を感じたら、歯周病専門医の検診を受けようと思っています。
*****
私がインプラントを入れたのは、2016年の夏です。そのとき、医者に、「今後5年間、インプラントの経過を見るが、5年大丈夫だったら、たぶんその後も大丈夫でしょう」と言われました。
でも、歯茎に問題があった私は、ずっとここで3ヶ月毎にクリーニングを受けていて、ようやく、2年ぐらい前に、「4ヶ月毎にしてもいいよ」と言われて、年に3回になりました。
去年は、引っ越したのと、インプラントの医者が新しい医者に変わったので、年に2回クリーニングを受けただけですが、今後は、年に3回、クリーニングしようと思っています。
歯医者代がかなり高額なので、節約したかったら削るべきですが。
娘は、「何もかも医者の言うとおりにしなくてもいい」と言いますが、基本的に素直な私は、医者の指示に従ってしまうのです。
でも、遠いクリニックまで行くのが嫌だったので、数年前に、Dr.Dに「地元の歯医者でクリーニングを受けてもいいですか?」と聞いたことがあります。
このとき、Dr.Dは、「うちの歯科衛生士は特別な訓練を受けているから、ここでクリーニングするように」と言いました。
正直、年に、3~4回のクリーニングが、私の歯と歯茎の状況にどれだけ影響を与えているのかわかりませんが、お金と時間が許す限り、クリーニングは継続しようと思います。
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