ベースメントにある窓井戸(window well)の話をしよう。
カナダのベースメントに興味のある皆さん、こんにちは。そんなものに興味がある人なんてあまりいないと思っていましたが、先日、ベースメントについて書いたこちらの記事
有料記事でしたが、たくさんの人に購入いただき、中には、「おすすめ」までしてくれた方もいて、本当にうれしかったです。
もしかして、ベースメントの記事は需要があるのか? そう思った私は、ベースメントシリーズ、第2弾のこの記事で、さらにマニアックに掘り下げて、窓井戸の話をすることにしました。
窓井戸とは?
窓井戸は、英語の window well の直訳です。「採光窓」と説明しているサイトもありました。
window well は、地面より低い位置にある窓のまわりに作るくぼみや囲いのことです。
地階の窓周りにほどこされることが多く、窓の周りに空間を作って、自然光を取り入れたり、雨風を防いだり、虫の侵入を防いだり、窓が傷まないようにしたり、住宅の断熱効果を上げたりします。緊急時の脱出口としても利用できるそうです。
ここから脱出しなければならない緊急時がどんな時なのか、私には想像つきませんが。
下の写真でわかるように、私の部屋は地表から20センチほど上に出ていますが、大部分は地下です。私にとっては、窓井戸のフェンスのおかげで、道行く人からのぞかれなくてすむという利点もあります。
朝方、私の寝室の窓からは、前の歩道を歩いている人の肩から上だけが大きく見え、すぐそばを歩いている錯覚に陥りますが、実は、歩道は、けっこう窓から離れています。
窓井戸がないベースメントもある
以前住んでいたベースメントには窓井戸はありませんでした。前の家は窓全体が地面より上にあったし、古い家だったからだと思います。
娘もベースメントに住んでいますが、やはり窓井戸はありません。
最近、建築された家で窓井戸のあるものは、私の家のように、メタルの囲いがしてあることが多いです。ジョンの家もそうでした。
囲いに使われている金属は、錆びないタイプで、何もしなくても30年ほどもつと、販売サイトにありました。
こんな囲いがあると日光が入らないと思うかもしれませんが、先日の記事にも書いたように、充分太陽の光が入ります。
人によっては落ちると危ない
たまに動物や子どもが窓井戸に落ちることがあります。この家には子どもはいないからその心配はありませんが、冬場はウサギが落ちるかもしれません。
私が住む街では、冬場、白いジャックラビットをよく見かけます。朝早く、外に出ると、そこがまるで自分たちのテリトリーであるかのように、何匹かでふつうに民家の庭にたたずんでおり、私の姿を見ると、さーっとどこかに走って行ってしまいます。
もしウサギが落ちたら、自力では這い上がれないだろうし、仲間(ウサギ)を呼んだところで、彼らにも何もできないので、カヴィ(家主)に取り出してもらうしかありません。
この家の賃貸契約を結ぶ時、カヴィに質問をしました。「あのフェンス(窓井戸の囲いのこと)を越えて中に入り、外から窓の掃除をする必要がありますか?」と。
私はどんな時でも、掃除のことに気が回るんです。カヴィは、「あ~、でも、きみは、中に入ったら出られないと思うから、僕がします」と答えました。
そうでしょうね。小柄な私は子どもサイズなので、窓井戸の中に落ちたら、たぶん、一生這い上がることができません。
空だけでなく、もっと地表に近い景色も見たい人は、窓井戸のあるベースメントには住まないほうがいいでしょう。
でも、景色なんて、ドアを開ければ、嫌というほど見られるので、窓から見えなくてもどうってことありません。それにこの家の地表に近い部分は芝生しかありません。
カヴィは「そのうちフェンス(家の敷地を囲うもの)も作りたい」と言っていましたが、フェンスなんて見てもしょうがないし。
カリフォルニアの青い空
室内で、窓から離れたところから、窓の外を見ると、金属のフェンス(窓井戸を囲うもの)しか見えませんが、窓に近づけば、空を見ることができます。
この写真は別の日に、寝室から撮影したものですが、この日は天気がよく、私は「カリフォルニアの青空みたいだなあ」と思いました。
カリフォルニアなんて行ったことはないけれど。
日本で住んでいた実家は平屋だったので、窓からは、地面からすべて見えたわけですが、私は地面に近いところよりも空を見るのが好きでした。
高校生のとき、畳のある部屋にこたつを置いて、寝転がって窓から空を見ていました。秋だったので、さえざえとした青空と柿の木が見えました。
ある土曜日の午後、いつものようにこたつで寝転がって、窓から空を見ていたら、ラジオからアルバート・ハモンドの「カリフォルニアの青い空」が流れてきました。
この曲、ミドルテンポでまったりした感じがしますよね?
なんとなく、カリフォルニアでのんびりしている雰囲気。だから、私も、「ああ、私が見ている空もカリフォルニアの空みたい(まったり~)」と思ったんです。
でも実は、この曲は、俳優として成功することを夢見て、田舎からハリウッドに出てきた若者が、何ひとつうまくいかず、やけくそになっている心情を歌ったものです。
It never rains in California, but girl don't they warn ya. It pours, man it pours. (カリフォルニじゃ、絶対雨が降らないっていうけど、でも、君、聞かなかったかな。いったん降ればすごい土砂降りなんだ)。
ザ・モップスの「たどりついたらいつも雨ふり」と似たようなものです。
だから、今は、「ああ、カリフォルニアの青い空みたい」、と思うとき、「でも、実は、人生は晴ればかりじゃなくて、雨の日も多いんだよね。みんな大変なんだよね」とも思っています。