英検1級に合格するために、なにを勉強すべきか
縁側書生です。2019年に東大を卒業し、今は外資系IT企業で働いています。
今回、念願の英検1級に合格したので、体験記を書こうと思います。
受験の動機と英語のレベル
友人と比べて英語力で劣等感を感じていました。東大では、中の下くらいの英語力でした。
高2で準1級を取ったこともあり、英語はそこそこ得意な科目だと思っていましたが、東大に入って周りのレベルの高さに引け目を感じるようになりました。東大は帰国子女が多く、学部の2年生で半年〜1年の留学に行く人も多いです。私は体育会の部活に入れ込んでいたので、留学のタイミングを逃してしまい、周りとの差は開くばかりでした。3年生になった頃には、ゼミの同期の10人中8人に海外経験がありました。外資系企業の英語面接でまともに話せずに悔しい思いもしました。
流石にこれではまずい、と思い4年生の最後にNZに3週間の語学留学に行きました。語学学校の中では英語ができる方でしたが、現地の学部の授業に潜ったときには内容がほとんど理解できず、ネイティブ・実務レベルの英語力がないことに危機感を感じていました。
就職して最初に配属されたプロジェクトが、インドやフィリピンの方と一緒に仕事をするグローバル案件でした。当然コミュニケーションは英語で、当時は会議の内容を聞き取れないことが致命的でした。
TOEIC 就活時 : 820 → 留学後 : 875 (正確には覚えていない)
一次試験対策
英検1級では、とにかく単語を覚えること、語彙を増やすことが鍵です。
大問1の4択問題で、大学受験とは一線を画したレベルのボキャブラリーが必要になります。
ぶっちゃけ、それ以外は大学受験レベルの読解力があれば難なくクリアできると思います。
英検1級の単語帳なら好きなものを使えばいいと思いますが、僕はパス単を使っていました。旺文社の英検シリーズは公式アプリで音声が提供されていているのでオススメです。
暗記の方法について、1級レベルの単語帳になると、大半が知らない単語になってきます。また、既知の単語と紛らわしいものも多くあります。単に音源を聞き流しているだけでは、到底覚えられる量ではないので、まとまった時間を取って集中して頭に入れていきました。
毎日1時間ほど、1ヶ月ほどかけて単語帳の3分の2ほどを脳に流し込みました。
それだけでは定着レベルが低いので、筋トレ中や仕事中にBGMとして音源を流して無意識的に復習をかけました。
また、単語帳を暗記するだけではモチベーションが保たないので、海外ニュースのThe Economist を購読しました。
3ヶ月で10000円超となかなかに高額ですが、とにかく英語と記事の質が高いことが特徴です。英検1級以上の、本物のネイティブの語彙に触れられます。記事のトピックも国際政治・経済から環境問題、人権問題まで幅広く論じており、「お勉強」ではない実用的でエレガントな英語に触れられます。
最初は1記事を読むのに20回ほど辞書を引く必要があり、なかなか骨が折れますが、1級の単語を覚えていくと、少しずつスムーズに読めるようになります。
Economistを購読するもう一つのメリットが、記事によっては音声がついていることです。音声があるおかげで、シャドーイングやディクテーションができ、リスニング・スピーキングの対策になります。
Appleからアプリを購読するよりも、ネットで直で登録した方がアクセスできるアプリが多いので、直接契約するのがオススメです。
他には、フランクに英語を聞き流せるBBCのPodcastが無料で聴けるので、よく仕事中に聞き流していました。
本番の1ヶ月前に過去問を解いたところ、合格ラインを越えていたので、余裕を持って1次試験に臨むことができました。
一次試験本番
大問1の語彙が思ったよりも難しく、若干点数が伸びませんでしたが、1回目の受験で突破することができました。また、時間はギリギリでした。過去問で時間の感覚を身につけておいたのが功を奏しました。
ライティングでは、「日本は他のアジアの国と良い関係を結ぶべきか」という問題で、あとから見返すと大東亜共栄圏のような回答になってしまったことが気がかりでしたが、高得点を取れていました。論理的に型に沿って回答すると、高得点が取りやすいと思います。
リスニングは、普段から英語でインド人やフィリピン人と会議をしているので、聞き取りはほぼ問題ありませんでしたが、試験時間が長く集中力が切れてしまいました。
実際に受けた試験問題はこちら
二次試験対策
1次試験の合格通知が来てから対策を始めました。1次試験の単語の暗記が大変でモチベが切れていたのと、普段から英語でコミュニケーションをとっているから、と舐めてかかっていたので、1ヶ月ほど時間はあったもののほとんど勉強しませんでした。
二次試験の1週間前に過去問集を見て、「あ、これヤバイな」と気づきましたが、やっぱりモチベが上がらず、気付いたら試験前日になっていました。
流石にこのままでは落ちる、と思いとりあえず1回分の回答を眺めて、その日は諦めました
二次試験本番
試験当日。流石に焦りだしたので、電車の中で過去問と回答を眺めて口パクします。こういう時はマスクが便利です。
試験会場で順番が回ってくるまで2時間ほどあったので、2年分の過去問と答えを一通り読み終わります。(スマホは使えないので紙媒体の資料を持っていく必要があります)。
解答の方向性がある程度掴めたところで、本番の試験が始まりました。
自己紹介・雑談
→6個のテーマから1つ選び、1分間でスピーチを考える
→2分間でスピーチ
→QA
の順番で試験が進んでいきます。
テーマの中に2年前過去問と同じ問題があり、
「あ、これさっき答え見たやつじゃん、なんだっけ」
と考えているうちに準備の1分が終わってしまいます。
スピーチの構成がなにも決まっていない状態で話し始めることになり、論理構成がボロボロのスピーチをしてしまいました。ただ、QAの感触は悪くなかったので、挽回できたかな、という所感で試験会場を後にしました。
反省点として、やはり普段から英語でコミュニケーションをとっていても試験の対策は必要です。
1分間という短い時間で、テーマを選択し、論理構成を考えるのには慣れが必要で、訓練によって質を高める必要があります。
試験の結果も予想通りの得点でした。ギリギリでしたが、2次試験も1回で合格できてよかったです。
まとめ
英検1級は、準1級からはかなりストレッチしたレベル感で試験に臨む必要があると思いました。
特に1次試験の単語・語彙の部分と、2次試験のスピーチの部分は、しっかりと試験用の対策をしていないと危ないです。
英検1級は取ったからといって、昇格に有利だとか、就職に使える、ということは少ないですが、しっかり時間を取って単語を覚えるいい機会になりました。実際にはまだまだ友人の英語レベルには追いついていないと思いますが、劣等感は無くなってスッキリしました。これからは実務の中で英語力を鍛えていきたいと思います。
最終実績
勉強時間:100時間くらい
かかったお金:3万円くらい
結果:受験1回目で合格
カツ丼食べたい