酒類提供の自粛要請と立ち飲み日高
マンボウが、僕の住んでいるさいたま市で令和3年4月20日から始まりました。5月11日までの予定とのことです。「まん延防止等重点措置」のことをマンボウと呼ぶのはよろしくないと政治家たちが言っていましたが、僕の家族はみんなマンボウと言っています。僕も、言いやすいのでマンボウという略称を使ってしまっています。もう一生ぶんのマンボウという言葉を、口から発したような気がします。
さらに4月28日からは、飲食店に対して酒類提供自粛の要請が出ています。僕がその情報を知って真っ先に心配になったのは、立ち飲み日高のことです。立ち飲み日高は酒を飲むための店であり、ソフトドリンクはなんとウーロン茶しかありません。コーラすらないのです。酒が出せないとなると、そこではウーロン茶しか飲めないことになります。
僕は立ち飲み日高が一体どうするのかについて予想をしました。立ち飲み日高は、巨大な日高屋グループの端っこに位置する存在であり、休業してもそんなに痛くない。さらに協力金をもらうことができる。だから立ち飲み日高は、4月28日から5月11日まで完全休業するだろう。
そして僕は4月28日になると、立ち飲み日高の状況確認に行くことにしました。ついでに、いま話題の外飲み・公園飲みの実態についても調査しました。
最近は外飲みが、外飲みを一度もしたことがなさそうな人たちによって厳しく非難されていますが、10年以上外飲みを続けている外飲み愛好家の僕としては、ぽっと出の迷惑系外飲み勢と一緒にされたくありません。非常に心外です。僕は友人と外飲みをするとき、マスク飲食を行っているし、決して大きな声は出しません。公園は居酒屋と比べたらとても静かな場所なので、声がよく通り、大声を出す必要がないからです。多くても4人で外飲みをやっています。これなら全く問題ないように思えます。しかしぽっと出の外飲み勢のマナーが悪すぎることで、我々のような紳士的な外飲み愛好家まで冷やかな目で見られてしまいます。とてもつらいです。外飲みをしている人の中には、我々のような紳士的な人間もいることを心に留めておいてほしいなと思います。
そんなわけで、僕はまず自宅近くのコンビニに行きました。酒は普通に売られています。それから大宮駅前の繁華街のコンビニにも行きました。そこでも酒は普通に売られています。4月28日の時点では、外飲みの自粛を求めるような貼り紙もありませんでした。そして僕は鐘塚公園、通称「ソニックシティ前公園」に向かいました。
この公園にはもともと飲酒禁止の看板が立っていますが、外飲みの自粛を求める貼り紙がいくつか貼ってありました。しかしそもそも、さいたま市の公園で飲酒を禁止するのは、どのような根拠に基づいているのでしょうか。条例が適用されるのだとしたら、飲酒禁止条例みたいなものがあるのでしょうか。もしあれば、それは憲法第13条の幸福追求権を侵害し無効なのではないでしょうか。
公園の貼り紙を確認してまわった僕は、いよいよ立ち飲み日高に向かって歩き出しました。胸の鼓動が高まります。もし店が開いていたら、ウーロン茶を飲みながら焼き鳥の皮タレを食べよう。そう考えながら立ち飲み日高の前にたどり着くと、僕の予想通り、店は完全休業していました。予想が当たったけれど全然うれしくありません。僕は近くにある似たような店舗、大衆酒場日高にも行ってみました。その店にも同様な休業の貼り紙が貼ってありました。僕はしょんぼりしながら、行きつけのメイドカフェへと足を向けました。
メイドカフェハニーハニー大宮店は開いていて、酒の代わりにノンアルコールビールなどを提供していました。僕はノンアルコールビールのオールフリーを飲みながら、「禁酒がはかどるなあ!」と思いました。酒があれば何時間でもメイドカフェにいられる僕ですが、酒がないと2時間もすると店の外に出て走り出したくなりました。そのため僕は2時間くらいで店を出て、今度はアフィリア・ブルジュールに向かいました。アフィリアはどんな対応をしているんだろう、と気になったので。
結論としては、ハニーハニーと同じくノンアルコールビールなどを酒の代わりに出していました。僕はアサヒドライゼロを飲みながら、魔女っ子たちと歓談しましたが、やはり「酒なし」だと女の子との会話を心から楽しむことができません。身体はずっとカチンコチンに緊張していました。
60分くらいで閉店時間が来て店を出た僕は、ふたたび「ソニックシティ前公園」へ向かいました。外飲み勢の動向を確認したかったためです。居酒屋で酒を出していないから、そのあとに公園で飲む人は少ないだろう。そう予想していましたが、行ってみると、そこは思った以上に「居酒屋ソニックシティ前公園」になっていました。たくさんのベンチがほとんど人で埋まっています。
僕は自販機でコカ・コーラを買ってベンチに座って飲みながら、「警備員が来て一悶着起こらないかな」と期待していました。でも警備員はなかなかやってきません。「来てほしいときに来ないで、来てほしくないときに来る人たちだな」と思いました。先日などは、警備員が白い長い棒を持って外飲み勢を威嚇して歩いていたので震え上がりました。コカ・コーラを飲み終えた僕は、警備員と外飲み勢との戦いを見物するのをあきらめて家路につきました。ちなみに僕は、4月28日以降も酒を出して朝まで営業しているお安いガールズバーを知っていますが、絶対に行きません。絶対に。