「本物に触れる」ことが、自分で答えを導き出す力になる
さて、昨日に続いて「本物に触れる」ということについてです。
先日、毎月のご相談をいただいている方と、共感者を増やすためにマイストーリーづくりをしていました。2時間位、じっくりお話を聴かせていただいた中に、ある八ヶ岳の偉人についてのお話がありました。
その方は、薮内正幸さんという動物画家さんで、八ヶ岳に美術館があり、福音館で子ども向け絵本などの、動物画を描いていた画家さんでもあります。
なんといっても、動物の姿が非常に正確なことが世界中から称賛されているそうです。
案外、動物の姿を描くのは難しいようで、立派な記念館に飾られているフクロウモチーフの足の形がじつは違う...なんてこともあるようで。
薮内正幸さんが子どもの頃、動物がとにかく大好きで、この時期のテーマとなる動物を決めて、ライオンならライオンになりきってみることで、動物の本質を捉えていたそうです。
高校時代は進学校に在籍されていたそうですが、勉強するよりも、動物の絵をひたすら描く日々。
それを認めていたご両親が、とっても素晴らしいのだと思います。
その頃、福音館では日本には今までなかった子ども向けの動物図鑑を作ろうという企画が立ち上がり、薮内さんへ是非協力してほしいとのお声がかかりました。
結局、図鑑の企画は途中でなくなってしまったそうなのですが、福音館の様々な動物の絵本を描くお仕事を務められたそうです。
薮内さん自身は、全ての動物をしっかりと見たことがあるわけでは有りません。ですが、様々な動物をじっくり観察したことで(ときに、なりきってみることで)、本質的なルール・構造が「分かった」のだと思います。だから、見たことがない動物の骨が、どうなっているかも、考えて答えを導くことができる。
「本物に触れる」「本物から学ぶ」そうしたことって、自分の中に大事な辞書のように残っていくのでしょう。自分で考えて、答えを導き出すって、今、子どもたちに(大人にもですが)求めがちなことは、そうした体験から可能になるのだなと思います。