雑音しかないプレー中の景色【耳が聴こえにくい私が意識していること】
Hola!
どうも、野寺風吹です。
今日は、耳が聴こえにくい私がどんな感じでサッカーやフットサルをしているのかを書きたいと思います。
そもそも聴力はどれくらい?
聴力はdB(デシベル)で表し、その数値が大きいほど聞こえにくいことを表しています。
障害を持っていない方であれば、一般的に0~20dB程度だと言われています。
私の聴力は左耳が75dB、右耳が105dBぐらいで、障害者手帳でいうと一番軽い6級に該当します。
75dBの目安でいうと救急車のサイレン、105dBの目安でいうと自動車のクラクション程度の音量じゃないと聞こえないようです。
こうやって聞くと一番軽い等級だと言っても、補聴器を付けていなければ相当聞こえにくいことがわかるかと思います。
補聴器を付ければ左耳はおそらく30~40dB程度まで改善されますが、右耳は付けてもほとんど聞こえないので、付けていません。
そのため、私は左耳だけで生活しており、右から話しかけられても気付かないことが多々あります。
聴覚障害にも種類がある?
これはあまり知られていないのですが、聴覚障害は
・伝音性難聴
・感音性難聴
の二つに分類され、そのうち感音性難聴が全体の95%を占めます。
私は感音性難聴に該当します。
伝音性難聴:外耳や中耳に問題があり、音量をうまく増幅できない。 補聴器を付ければ解決することも多い。
感音性難聴:内耳や聴神経に問題があり、音をしっかり認識できない。補聴器は音を増幅するだけで音声識別までは出来ないため、解決できない。
分かりやすい例を挙げた動画があったので、こちらをご覧ください。
まず、ここで世間一般的な認識の誤りが生じています。
こちらの動画でもわかるように、「聴覚障害者が補聴器を付けたら聴こえるようになる」という認識は全くの間違いです。
実際には、言語として認識できていない音を大きくさせているだけにすぎず、口の動きや表情、手話からも文脈を読み取ったり、断片的に聞こえる単語を拾って判断しています。
障害が比較的軽度の私でも、相手がマスクを着けて喋っていたり、暗い時に喋っていたり、私の注意が向いていない状態で不意に声をかけられたりしても、ほとんどなにを言っているかわかっていません。
たまに「聞こえていないフリすんな」と言われることがありますが、意識が話しているほうに向いていなければ音声として認識できないので、本当に聞こえていないことがほとんどです。
ずっと口の動きなどに集中することに疲れて休んでいると、話についていけなくなっていることが多々あります。
サッカー中の景色
次はサッカーのプレー中の話に移りたいと思います。
基本的に、今やっているポジションはFWです。つまり、一番前の攻撃的なポジション。たまに守備の時はボランチと言われる二列目のポジションでやっているときもあります。
サッカー中で、一番悩むのは守備の時が多いです。
一番前のポジションだから、守備はそこまでやらなくてもいいんじゃ?と思う人がいるかもしれません。しかし、最近のサッカーは前のポジションでも守備が出来ることが大前提になっています。下の記事が分かりやすいので是非参考にしてみてください。
サッカーは11人で組織として守るため、各ポジションにそれぞれの役割があります。FWの役割は主に1stプレスと二度追いでしょうか。相手がボールを保持しているときに、一番最初に守備のアプローチをかけるのが僕の役割です。
前線の守備と後ろの守備が連動しないとボールが奪えないですし、パスコースも切らないといけないため、基本的には後ろの選手が「ゴー!(行け)」「ステイ!(待て)」「つぎー!(次ボールが出たら行け)」「右を切れ!」「もっと絞れ!」「もっと右!」というような指示をして、前線の選手を動かすことが多いです。
後ろの選手は頑張って声出してくれていると思うんですが、これらの指示は僕には全く届いていません。先ほど言ったように、雑音でしか聞こえていません。
コーチなどの声も応援の声も雑音でしか聞こえていません...。
相手のヤジももちろん聞こえていません(笑)
じゃあ、僕はどうしているかというと…
・ルックアップして、自分の視覚情報で判断する。
・普段の練習からコミュニケーションを取り、個人としてもチームとしても行くか行かないかを感覚的に判断する。
この2つにあるように、大体自分の判断で行くしかないです。
上手くハマるときもありますが、失敗してしまうことも多いですね。
僕の場合、この自分の認知判断の部分を他の人よりも向上させられないと、一向に守備力が上がらないし、試合にも出られないと思っています。
こればっかりは普段の練習で意識して研ぎ澄ませていくしかありません。
攻撃の時は、守備ほど不便は感じていません。
相手の足音や、味方のコーチングは聞こえていませんが、それでもなんとか自分の状況判断でなんとかなる部分も多いです。
守備も確かに大切ですが、どれだけ攻撃の面でチームに貢献できるかということも大切にしています。
フットサル中の景色
次はフットサル中の景色です。
フットサルは、一見ミニサッカーのように思われがちですが、強度も戦術も全く異なるスポーツです。コートが狭い分、一つのミスが失点に直結しやすいという特徴もあります。
僕は、去年まで大学部活動と並行して、関東二部の社会人フットサルチームにも所属していました。
そこで一番苦しんだのが、やはり守備面。
実際、監督にも守備に不安要素があると結構言われていたと思います。
そのチームの基本的な守備戦術は、「2-1-1」の陣形で前からプレスをかけていくY字プレスと言われるディフェンス。ゾーンディフェンスなのでマークの受け渡しを基本をとしていて、コーチングの声が非常に重要です。(下の動画が分かりやすいので、ぜひ見てみてください。)
ところがどっこい。
いくらコートが狭くなったと言っても、やはり僕の耳に入ってくるのは雑音ばかり…
僕は基本的に前のポジションをやることが多かったので、受け渡して前に残るか、ついていくかの判断を自分でやらなければいけないのですが、やはり苦戦していました。
そんな中で意識していたのは、1stプレスのスピード、球際の強さ、切り替えの早さ、プレスバックなど本当に意識やフィジカルでどうにかなる基本中の基本です。
ちなみに、デフフットサルはみんな補聴器を外しているので、コーチングの声が全く届きません。そのため、デフフットサル日本代表の基本守備戦術はオールコートマンツーマンでした。受け渡しをほとんどせずに、ひたすら自分のマークについていく。たぶん、バスケやフットサルをやった経験がある人ならその過酷さがわかると思います...。
フットサルで攻撃の時も、サッカーと一緒で守備の時ほどは不便を感じていません。基本的には得意なシュートを、どうやって打てるようにできるかを常に意識しています。
出来ることと出来ないことの整理が必要
結局、これまでの記事でも書いてきたように、出来ることと出来ないことの整理が一番重要なんじゃないかと思っています。
コーチングの声を聞こえるようにする!というのは無理な話なので、
・フィジカルや技術といった個人でのレベルアップを図る。
・状況の認知判断力を上げる。
・普段からチームメイトとコミュニケーションを取り、直観的な判断でプレー出来るようにする
ということを意識しています。
僕はこれからも高いレベルのチームでプレーしたいと思っているので、自分に守備戦術を合わせてもらえるぐらいの圧倒的な選手になるか、個人守備での状況認知判断をもっと上げるかのどちらかが必要だとヒシヒシと感じています。
これからもしっかり高みを目指していけるように精進します!
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