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Jリーグ公式記録員がマリノスvsレッズで思ったコト
・はじめに
今回の件で、ツイッターにたくさんのツイートをしましたが、途中からリプ形式になるコトが多くきちんとまとまっていないのと、たくさんのツイート自体も今から読むと適切ではないと思われる表現があったりしたので、ここらで、Q&A形式でまとめてみたいと思います。
まず、私はJクラブで公式記録のボランティアをしています。
(つまり公式記録員です)
公式記録を付け始めてまだ2年、公式記録員としてはまだまだ未熟です。
ですので、まだよく分からないコトもありますが、分かる範囲でまとめたいと思います。
・公式記録員って試合中は何してるの?
→ノートパソコンに入っている公式記録用のシステムに(公式記録員が決めた暫定の)公式記録を記録しています
試合中、ピッチ上で発生した、得点などの情報を(暫定的に)決め、ノートパソコンに入っているシステムで記録します。
そうすると、ノートパソコンとネットワークで繋がっているJリーグデータセンターにデータが送信され、Jリーグデータセンターから各有料?速報サイトにデータが送信され、各有料?速報サイトに情報が表示されます。
と、同時に、得点の場合はインカム(無線)で運営関係者(オーロラビジョン担当を含む)に(公式記録員が決めた暫定的な)得点者を伝えます。
・得点者は誰が決めるの?
→暫定で公式記録員が決め、試合終了後にマッチコミッショナーさん&主審さん&運営責任者さんがOKを出せば(公式記録用紙に署名が入れば)そのまま公式記録となります
えー、これ、皆さん、主審さんや審判団の皆さんが決めると思っている方が多いと思いますが、勘違いです。
さらに某有名選手が誤解した、「運営が決める」という表現も誤解を招く表現です。
得点者はパッと見で誰もが分かるような得点の場合は、公式記録員が特定した得点者がそのまま公式記録となります。
微妙な場合で、マッチコミッショナーさんや両チームの関係者の皆さんが見直したいと思った場合は、試合終了後にマッチコミッショナーさんを中心にDAZNの映像を見直し、公式記録が正しいか確認します。
※但し、微妙な場合でも、公式記録員もDAZNの映像で確認しているので、公式記録員が特定した得点者がひっくり返されるコトは、ほぼありません
と、頑張って文章を書きましたが、ツイッターで分かりやすくツイートをして下さっている方(私がリスペクトしている方々!)がいらっしゃいますので、引用させて頂きます。
まず大前提として審判団に得点者を特定する職能はありません。そのため審判の内心は公式記録に影響しません。またそれ以前に、ボールに触れていない選手にオウンゴール(あるいは得点)がつくのは公式記録として失格じゃないですか?という率直な印象もあります(笑)
— 竹内達也⚽️📝クラセン取材中@群馬 (@thetheteatea) July 16, 2019
たとえば、神の手ゴールがあったケースを考えるとわかるんじゃないかな。主審は頭でゴールしたと思い込んでいたとしても、公式記録はヘディングシュートではなく、「その他」の部位でのゴールとして記録される。これは審判に得点記録を決定する権限はなく、そこは第三者の仕事だから。
— 川端 暁彦 (@gorou_chang) July 16, 2019
要はこういうコトです!
・試合中には発表された得点者は公式記録だよね?
→試合中の記録は全て暫定で、試合終了後にマッチコミッショナーさん&主審さん&運営責任者さんがOKを出せば(公式記録用紙に署名が入れば)確定となります
これも皆さん、速報サイトに得点者が表示されればそれが公式記録、もしくはスタジアムのオーロラビジョンに得点者が表示されればそれが公式記録、とお思いかもしれませんが、厳密には違います。
速報サイトやオーロラビジョンに表示された得点者は、試合中に公式記録員が特定した暫定の得点者です(クラブによってはオーロラビジョン操作者が独断で判断して表示しているかもしれません)。
正確には、試合終了後にマッチコミッショナーさん&主審さん&運営責任者さんが公式記録用紙に署名して初めて公式の得点者となります。
※実際には暫定の得点者が変わるコトはほとんどありませんので、ほとんどの場合は試合中に表示された得点者がそのまま正式な得点者となります
こちらも、ツイッターで解説して下さっている方がいらっしゃいましたので、引用させて頂きます。
「運営が決めること」ってのはゴール直後のスタジアム内での得点者発表(場内アナウンス)。
— Kiyo | 元Jクラブスタッフ (@k06io) July 14, 2019
そしてスタジアム内での得点者発表は暫定の記録であって公式記録ではない。
選手からの質問が「スタジアム内での得点者発表」に関する内容だったとしたら主審の言ってることも問題発言ではない。
・試合中に公式記録員が得点者を審判団の皆さんに伝えているの?
→直接的には伝えていませんし、伝えようという意識もありません
まず試合中は、公式記録員は記録室(通常、スタジアムのそれなりに高い所)にいて、審判団の皆さんはピッチ上もしくはピッチ脇にいます。
なので、物理的に無理なのはお判り頂けると思います。
それじゃぁインカム(無線)では?と思う方もいるかと思いますが、それやったらお互いにうっとおしくて仕事にならないと思います。
(だいたい審判団のインカムのチャンネルすら知りません)
なので、直接的には伝えていません。
そして間接的にも通常は伝えません。伝える必要がないので。
そして今回、なぜ公式記録員が暫定的に特定した得点者が審判団の皆さんに伝わってしまったのか?
それはこちらの記事にまとめられています。
簡単に書けば、審判団の方が運営担当者に聞いた、というコトです。
・今回は宇賀神選手のオウンゴールじゃないの?
→今回の得点者は仲川選手となります
審判団の皆さんの頭の中は「宇賀神選手のオウンゴール」なんだから、公式記録も「宇賀神選手のオウンゴール」なんじゃないの?と考える方がいらっしゃるようですが、
あの場面、オフサイド及びハンドリングの可能性を否定した状態で、DAZNで映像を確認すると、ボールに最後に触ったのは仲川選手で、仲川選手がボールに触ったコトによりボールの方向がゴール方向に変わって、ゴールラインを越えているのは分かりますよね?
その場合、仲川選手のゴールとなるコトも分かりますよね?
そういうコトです。
なので、試合中に審判団の皆さんが認識している得点者と公式記録の得点者は違う可能性があります。
こちらも、ツイッターで解説して下さっている方がいらっしゃいましたので、引用させて頂きます。
記録は「判断」より「事実」が優先するのだと思います。「主審がオウンゴールとしたからオフサイド」という内面的な判断より「オフサイドを見逃された仲川がゴールを決めた」という外形的な事実が勝るといいますか。対して「宇賀神のオウンゴール」は完全に事実と反します。
— 竹内達也⚽️📝クラセン取材中@群馬 (@thetheteatea) July 15, 2019
まず大前提として審判団に得点者を特定する職能はありません。そのため審判の内心は公式記録に影響しません。またそれ以前に、ボールに触れていない選手にオウンゴール(あるいは得点)がつくのは公式記録として失格じゃないですか?という率直な印象もあります(笑)
— 竹内達也⚽️📝クラセン取材中@群馬 (@thetheteatea) July 16, 2019
・審判団が誤審したら、公式記録上は審判団が誤審した前提で記録するんじゃないの?
→誤審しようが何だろうが、審判団の皆さんの判定は正しい前提で、公式記録を作成します
仲川選手のゴールと認定されている場面、DAZNで確認すると、当然「オフサイド」っぽく見えますし、「ハンドリング」っぽく見えます(苦笑)。
でも、それで勝手に公式記録員が「オフサイド」や「ハンドリング」なんて考えて手を止めていたら仕事になりません。
公式記録員は公式記録上に記録される全ての事象(得点等)を出来る限り正確に出来る限り早く記録するのが仕事です。
なので通常の場合は、審判団の皆さんがゴールの判定を下した瞬間に、公式記録員は「オフサイド」や「ハンドリング」等の可能性を頭から消去して作業に没頭します。
※ちなみに蛇足ですが、仲川選手のゴールの場合、ゴールが決まった側のエンドを担当している副審さんがステイしているのが見て取れるので、この場合、公式記録担当は、DAZNの映像から何が起こったかを把握するようには努めますが、審判団の皆さんが明確にオフサイドもしくはゴールの判定を行うまで、システム上には何も記録しないコトになります
・公式記録って訂正されるコトはないの?
→訂正されるコトもあります
私がJクラブで経験したのは、公式記録員同士で「さっきのは・・・」と確認しあって、その場で即、訂正というパターンです。
しかし、聞いた話では、試合終了後に関係者がうんぬん・・・で、結局、修正が入ったという話しを聞いたコトが(あくまでも聞いた話です)。
他、私は経験したコトがないのですが、↓のようなツイートもありましたので、いろいろなパターンがあるのかな?と思います。
※良く見ると、手書きで修正されています
鹿島2-2広島
— 岡島智哉(スポーツ報知) (@OJ_Hochi) June 30, 2019
会場を熱くさせたブエノの奮闘。
報われず、本当に残念。
27DFブエノ
「試合に出られたことはすごく嬉しかった。もっともっと試合に出られるように、もっともっと練習を頑張りたい」 pic.twitter.com/sI1wYeizIf
・おわりに
今回のマリノスvsレッズの試合で起きた騒動って、一部のファン・サポーターも、一部の選手も、一部のメディアも、
ここまで書いてきたコトを知らなかった為に、騒動が大きくなったと思っています。
そして一部のメディアは、いたずらに間違った情報を流し続け、
そして某有名選手はツイッターで騒動を煽り、、、本当に残念でした。。。
でも、そんな中、
竹内記者(https://twitter.com/thetheteatea)は正確な情報をツイッター及びゲキサカ(https://twitter.com/gekisaka)の記事で提供し続け、
さらには3級審判員である攻劇さん(https://twitter.com/18kogekisoccer → https://twitter.com/kogekidogso)は受験勉強中なのに貴重な時間を割いて審判員の立場から情報を発信して下さいました。
心から感謝します!
それと、ツイッターでも書きましたが、再度、ここでも書かせて頂きます。
「運営=公式記録員」
ではありません。
「公式記録員は運営の一部」なのです。
そして、公式記録員から直接的に審判団に何かを伝える事はしていません。
その辺の前提を共有して頂けると大変助かります。
最後に、私のサッカーツイッターは「https://twitter.com/fubie12」となっています。
ツイッターの方もよろしくお願いします。