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私はずっと嫌われ者だった ~ ② 先生が原因で始まったいじめ ~
カウンセラーのふーみんです。
ここでは、今まで誰にも詳しく話したことのない、子どもの頃にいじめられた経験を、生まれて初めて公表しています。
その理由については「はじめに」で語っていますので、そちらから読んでみてくださいね。
さて……今回は、担任の先生が原因でいじめに発展した話を書こうと思います。
実は、1話を書いてみて思ったことがあって……
私のいじめられた体験みたいに書いているけれど、いじめられた行為としては、無視されたとか、よってたかって何かを言われたとかだけ(と記憶している)なので、
「私は単に嫌われ者なだけであって、いじめられた……と被害者ぶって言うのは違うのかな?」
ってすごく考えたんですよね。
だって今のいじめってもっとすごいでしょ?
だから私のってそもそもいじめに入るのかどうなのか?
そこの区別がつかなくなってしまっています。
これって、親の虐待とか折檻とかと同じ感覚なのかなって少し思うんだけど、私の親はすぐ手が出る人でね。
今の時代だったら、あれは「しつけ」ではなく「虐待」ではなかったのか?って思うところもあるんだけど、どこからどこまでがしつけで、どこからどこまでが暴力になるのか、当の本人は線引できなくて……。
うちの親はすぐに手が出るのが当然。
頭に来たら追い出されるのも、押し入れに閉じ込められるのも当然……
なんて思って生きて来てしまったから、私は親から虐待を受けたとか思ってないんですよね。
それと同じで、自分以外の人の場合は
どんなことがあってもいじめる側が悪い!
と強く思うのだけど、自分のこととなると、私が嫌われ者だから、あの程度の無視やひどいことを言われるのも仕方ないのかな、なんて思ってしまって、本当にいじめられたと言っていいのかどうかの区別が今ひとつつかない。
ただ……今回書きたいと思っていることだけは、今でもものすごく心に傷が残っているし、あの先生がそんなことしなければ私はいじめられなくて済んだと思っているから、この話だけは「いじめられた」と表現させてもらいたいって思います。
と長い前置きからやっと本題に入りますね。
担任はものすごく怖いおばちゃん先生だった
私が小5の春に転校した学校は2クラスしかない小さな学校だった。
このとき担任になった先生が、5年生から見たら「おばあちゃん」にしか見えない女性の先生。
ただ、今、色々なことを振り返って見ると、きっと40代後半だったのではないかな……と思う。
私が小中学生の時代は、親から見たら先生は「先生様」。
先生の言うことが一番。
親が先生に意見するなんてことはあり得ないし、「先生に叱られた」なんて言おうもんなら、「先生に叱られるようなことをしたあんたが悪いんでしょ」と二重に叱られてしまうような時代だった。
そんな時代だったからなのか、それともその先生が特有だったのか……。
とにもかくにも怖い先生だった。
言っちゃぁ悪いが、顔も言動も「鬼ババ」としか表現できないくらいの雰囲気の持ち主だった。
この先生の一番の問題
この先生の一番の問題が、昔はよくありがちな
「給食は残さず食べなさい」
というものだった。
好き嫌いのない人ならさほど問題ではないかもしれないが、私は好き嫌いが元々多い方で、加えて「どうしても受け付けない」というものがある。
今はこんなこと言ったら、それ時代が先生からの虐待って問題になるよね。
私の時代はどうして残さず食べなきゃいけなかったんだろう。
今は、本当にうらやましい時代になったってつくづく思う。
とは言っても……
この先生、
自分では残してた
んだよね!
これが私はどうしても許せなかった。
最大の難関は金曜日
普通、給食と言えば今でもパン食だと思うけれど、私の学校は毎週金曜日がごはんの日だった。
ごはんの日には決まって漬物が添えられていた。
私は生まれながらに漬物が大嫌いで、その大嫌い度も
触れない
漬物を入れた容器は絶対に使えない
触った箸が近くにあるのも嫌
レベルの、肉体的には漬物にアレルギーはないけれど、精神的にはものすごいアレルギーがあった。
今でも、臭いも思い出すくらい嫌だったのが、きゅうりとキャベツの浅漬け。
それとたくあん。
きゅうりとキャベツの浅漬けは、きゅうり自体が嫌いだから、教室中にきゅうりの臭いが充満するのも嫌だった。
もちろん今でも食べられない。
それでもまだあれは無理やり食べていたかなぁ。
もちろん、口に入れた途端「オエッ」としながら
(お食事中のかたがいたらスミマセン)
一番の難敵はなんと言っても「たくあん」だった。
ごはんの日についてくる「たくあん」は、必ず2切れ。
これを絶対に食べなきゃいけなかった。
あんな、口に入れても溶けないもの。
触れないのに噛んで飲み込めと言う。
できるわけがない。
でも食べないと、食器を片付けることもできない。
私は無理やり口に押し込んでみた。
瞬間、当然のことのように「オエッ」となる。
耐えられなくて、トイレに走っていったこともある。
それでも無理に食べたのか?
それ以上の記憶は、私にとって辛過ぎるのか、どう対処したのかあまりよく覚えていない。
泣きそうになりながら、口にたくあんを入れて「オエッ」とする姿は、小学生の男の子たちにとって、かっこうの餌食だったのだろう。
気づいたら「たくあん」というあだ名が付けられた。
「やーい、たくあん~」
「たくあん口に入れて泣いてやんの~」
と笑われた。
口に入れるのどころか、触るのも嫌なものをあだ名として言われる。
正直、これはものすごく辛かった。
お陰で私は今でもこの「たくあん」という響きは嫌いで、滅多にこの言葉を言うことはない。
今、こうやって書くのもものすごく気持ち悪くなるし、吐き気もしてくる。
これだけはあまりにも辛かったので親に訴えたけれど、親から先生に
「給食を残させてください」
とか、
「うちの子になんてことをしてくれるんだ!」
なんて言えない時代。
でもも親もさすがに可哀想と思ったのか、
「体調悪いので、4時間目が終わったら早退させてください」
と早退させてくれたことも1~2回あった気がする。
って、早退するならするで
「たくあん嫌いだから帰るんだろ~。ズル休み~!」
って、クラスの男子に言われたけど。
結局、もうたくあんネタで私をからかうのが当たり前になってしまっているから、どんな形であれ私に「たくあん」っていう言葉を浴びせるんだよね。
この先生は結局、5~6年生の2年間担任だった。
クラス替えはあったけれど、私は残念ながら卒業までこの担任から離れられなかった。
その2年間の間には、たくあんが出てきた日は一度や二度ではなかったはず。
たくあんだけではなく、他にも嫌いなものはあったので、それをどうやって最後まで乗り切ったのか……
今となっては記憶がないけれど、私は今でもあの小学校時代の給食の時間は苦痛な思い出しかない。
後日談……
この話には数十年後に後日談がある。
私は小・中学校でずっとクラスメイトに嫌われていたと思ってはいるのだけど、地元に住んでいるせいか、同級生との付き合いは細々と続いていて、中学3年のクラス会には参加している。
ずっと嫌われ者だと、いじめられて来たと思って来たのにどうして?と思う人も多いと思うが、これにはちょっとした理由がある。
その理由についてはまた後述するとして……
クラス会の席で酔っ払った同級生が私に向かって「たくあん」という言葉を口にして笑った。
彼は小学生時代、私をからかっていた一人だった。
私にとっては一番触れて欲しくない、言って欲しくない言葉。
そりを彼は、何の遠慮もなく、子ども時代と同じように私にその言葉を投げかけ、たくあんを食べられないことを持ち出して、そして昔のことをまた笑った。
彼とは小中同じだったから、私の「たくあん事件」のことを覚えていたのだった。
私自身が、もうこのことで誰にからかわれていたのかすらハッキリ覚えていなかったのに、彼はちゃんと私をからかったことを覚えていたのだった。
私から見たら、いじめの犯人が自首して来たようなものだったのだけど……
私は言われた直後、すぐにその場から帰った。
他の同級生は中学から一緒になった人がほとんどで、このことを知らなかったため、私は理由も告げず、ただ「彼が嫌なことを言った」ということだけを告げて帰った。
私が帰ったあと、酔った彼に、「あんたが何か悪いことを言って怒らせた」と言ってくれたらしい。
翌日、彼から電話が掛かってきた。
「ごめん。俺、酔っ払って悪いこと言った?」
「私が言われたくないことを言った」
「あぁ、たくあん? あー、あれねー」
彼はまだ笑った。
私は唖然とした。
私にとっては、もう口にもしたくない言葉なのに、彼にとっては全然大したことではなく、大人になってからでも、ちょっとした「からかい」の言葉でしかなかったのだ。
「私はそれを言われるのが本当に嫌なの。もう二度と言わないで。
今度言ったらぶん殴る」
私はそれだけ言うのが精一杯だった。
彼はきっと、私の本当の痛みには気がついていないんだと思う。
私はそれで相当嫌な思いをし、大人になっても
「給食を残すなって言われて、たくあんを無理やり口に入れて『オエッ』となっちゃっとトイレに駆け込んで、それを男の子たちにからかわれたんだよね」
なんて、誰に言えないのに、私を傷つけ続けた当の本人は、全然悪いと思うどころか、大人になってもそれをネタにしてからかう……その程度のこととしか思っていなかったことに、私はダブルで傷ついた。
きっと、軽いいじめって、いじめる方といじめられる方に、これだけの気持ちの差があるんだろうな。
人間って不思議なもので、相手に大きな悪気がないとわかったからって「あ、そうだったんだ」って許せるものでもなく、逆に、「私はあんなに傷ついて、その傷をずっと抱えて来たのに、あんたにとっては大人になっても笑えるネタなんだね」と思うと、もっともっと傷は深く広くなる。
彼は浅はかな人ではあったけれど、根が悪い人ではないのは長い付き合いでわかっていたので、好きも嫌いもなく、それからも長く友だちはやっているけれど……
人の傷の深さがわからない可哀想な人だというレッテルは、今でも私の中から剥がされてはいない。
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