プロダクト開発やリモートワークを経て考える、チームの生産性を高める働き方について。
GANMA!(ガンマ)というマンガアプリを運営しています、コミックスマート株式会社の福西です。はじめましての方も含め、覗いていただきありがとうございますmm
このnoteは「モバイルアプリマーケティングアドベントカレンダー2020」の10日目の投稿です。お声がけいただき感謝です。今回のnoteでは、チームの生産性を高める働き方について、日々試行錯誤をする中でも手応えを感じていることをお伝えできればと。
マーケティング活動にしても、プロダクト開発にしても、事業経営にしても、アウトカムにこだわりアウトプットし続けるために大切なことは、一人でできることが限られているからこそ、「チームの働き方の設計」だと強く感じています。
課題を要約しすぎない。
1つ目は、チームで持ちたい考え方について。
「生産性を高める」と聞くと、ついつい効率改善に目が行きがちでは?
同じ資源からリターンを高めるためにはどうするか。これも同じくらい大切です。
チーム活動において、課題はわかりやすく成形(要約)されているほうが何となく時間効率の良さを感じます。気にする範囲が限定され、それだけ考えればいいからです。
ですが、事業成長にとって大事なのはロックされた課題に対する施策(アイデア)だけでなく、課題の発見や設定、もしくは解釈についても超重要です。
もし、課題を要約しすぎてしまっているな、チーム内で相手に要約を求めすぎているな、と感じることがあれば、チームで現場検証してみることをオススメします。ファクト(データ)を一緒に眺めて気づいたことを書き出す・話し合うを行い、課題の発見プロセスを時間共有してみると、ロックされた課題に対してアイデアを出すよりも、探索的なアイデアが生まれたりします。
GANMA!チームはリモートワークになったことで、チームでの現場検証がしやすくなりました。Google Analyticsのユーザーエクスプローラの機能を活用し、zoomの画面共有を行いながらユーザーの動きを一緒に観察します。そこから考察し、課題や施策を話し合います。実際のアプリ画面でその行動をなぞってみることだってできます。発見の連続ですので、ぜひ試してみてください。(チームが対等に話せるという観点でも、とても良いです。)
また、課題は必ず何かに依存します。競合、社会環境、仕様…スキルセットやマインドセットにも影響を受けます。日々変化しているということです。だからこそ、スケジュールを設計することが大切になってきます。
スケジュールを設計しよう。
2つ目は、チーム活動のスケジュール設計について。
必要に迫られて予定を入れることを「スケジュール設定」とするのであれば、予め必要性を考えてチームの活動を推進するための予定を「スケジュールを設計する」とし、好んで使っている言葉になります。「カレンダーをデザインする」とも言ったりします。
当たり前のことではありますが、マーケティング活動も、ソフトウェアプロダクト開発も、事業そのものも、明確なゴールテープがあるわけではありません。変化への適応、成長へのトライが常に求められます。継続活動なのです。
変化を認識するためにも、より良い課題設定をするためにも、探索的なトライを増やすためにも、施策のクオリティを高めるうえでも…兎にも角にも定期的な会議体(定例会やセレモニー)の運営は、とっても大事です。
日々試行錯誤の連続ではありますが、スケジュール設計と運営に関する学びを、事例とともに共有させていただきます。何か一つでも参考になれば幸いです。
1) 頻度と共に、年間実行回数を意識する
時間は有限です。且つ、チーム活動は複数人の時間を投資します。ですが、慎重になり過ぎて遠慮しすぎるのも良くありません。頻度を決めると年間実行回数が決まります。この回数を意識すると優先順位をつけやすくなります。
・毎日 → 年間で約240回
・毎週 → 年間で約52回
・隔週 → 年間で約26回
・毎月 → 年間で12回
・四半期 → 年間で4回
・半期 → 年間で2回
回数が多いほど、アジェンダコントロールに要するコストが高まり、運営難易度が高まります。言い換えれば頻度が少ないとちょっと気楽になってしまいます。自分の失敗談としては、安易に「毎月」を選択してしまうことです。『その領域は重要性と現ステージを考えたら本当に年間12回でよいのか?』と自問自答をすると、コトの必要性で頻度設計を判断できるのでオススメです。
2) 月曜日を避ける
月曜日はハッピーマンデー制度によって祝日になることが多く、スケジュールのリスケやスキップが発生します。頻度が隔週のものほど注意です。スケジュールによって得られていた推進力(強制力)がなくなると、施策進捗が1ヶ月遅れるなんてことにも。
(月曜日に定例会がないと計画休暇も取りやすくなりオススメです。)
3) 帰り道をリモートで再現する
これはリモートワークならではになります。打ち合わせ後の帰り道がリモートワークだとありませんでした。アポイント先からの帰り道、会議室から自席への帰り道などなど…。そこにあった何気ない会話やキーワードは、本音だったり本質だったりする大切なものでした。これをリモートワークで再現しようと試みたことが、定例が終わった直後にSlackでスレッドを立てることです。
【テレカン後の帰りしなスレッド】
プロダクト定例(週イチ)
--月--日(火)
@会議参加者を全員メンション
URL:定例で使ったアジェンダ兼議事録のGoogleドキュメント
(挙がったキーワードなど抜粋しつつ…)
気づき、質問、言い忘れた、ついでにこれも等あれば、ドシドシスレッドにコメントしてね!
ふとした気づきに大きな発見があります。場所や機会をつくることで、確実に発見が増えます。これはものすごく良かったです。超オススメです。(参加していないメンバーへの共有にもなり、透明性も高まり、これまたオススメです。)
4)働き方の振り返りを取り入れる
GANMA!はスクラム開発を採用してプロダクト開発を行っています。チーム自体やプロセスを振り返る「レトロスペクティブ」を毎週行っています。これをビジネス側の事業定例(マネタイズ関連)に導入してみました。
毎週行っている定例会の中で、月間の1枠をプロジェクトチームの働き方の振り返りに充てています。数値のモニタリング、施策の振り返りも重要ですが、チーム自体・プロセスを振り返ることはチームの生産性を間違いなく高めます。
・この取組みは自発的でよかったよね
・ここの連携はスピードアップできそうだよねぇ何が課題だろう
・この視点を取り入れると良さそうだから今度○○さんに聞いてみよう
などなど…
マーケティングやマネタイズなどのビジネス定例では馴染みがないかもしれませんが、実は機会がなかっただけで設計するとたくさん課題が出てきます。向き合って一つずつ取り組むと、プロジェクト活動がレベルアップします。オススメなのです。
(おまけ)振り返りについて
3つ目は、チーム活動の振り返りについて。(このnoteでは簡単な紹介になるのでおまけ程度に。)
働き方の振り返りが、チームの生産性を高めることに繋がるのは明らかで、百聞は一見に如かずなのでぜひお試しくださいませmm
振り返りについては、必要性や方法論が書かれた本や記事がたくさんあります。今回はそれらを詳しくは触れず、GANMA!チームで取り組んだ中から学びを共有させていただきます。
1) YWTで振り返る
振り返りはKPT(Keep Problem Try)がメジャーに感じますが、2年くらい前からYWTで振り返っています。
Y:やったこと
W:わかったこと
T:つぎやること
毎週4人チームと5人チームのそれぞれで行っているのですが、週の出来事を忘れないうちに振り返ることができ、スケジュールの中に「考える時間」を習慣的に取り入れることができるため、週の出来事から得られる経験値が増します。
また、KPTよりカジュアルな印象があり、一緒に振り返っているメンバーが役職や職種など関係なくフィードバックしやすくなっていると感じます。
人数は5人が限界で4人が最適です。3人もオススメですが2人ではやったことがありません。30-45分かけて振り返っています。
2)リモートワークでは Google Jamboard をオススメします
オンライン付箋ツールだと思ってください。miroほど多機能ではありませんが、できることがシンプルだからこそ使い勝手がよいです。
・付箋内で改行ができないので自ずと文章になり温度感がわかりやすい
・付箋内で文字数制限があるのでムダに長くならない
たくさんのツールを試せているわけではありませんが、YWTなどの振り返りにおいてはJamboardで大きな不便を感じていないのでオススメしておきます。
3)ロングスパンでも振り返りをする「デカレトロ」
開発チームで取り組んでいる振り返りに「デカレトロ」というものがあります。「デカい + レトロスペクティブ」の造語です。半年に一度実施しており、チームという対象を自分たちで半期査定しているようなイメージです。
・毎日 : デイリースクラム
・毎週 : レトロスペクティブ
・適宜 : 大きなリリースごとに
・半年 : デカレトロ
・年間 : 事業計画や中期計画のアップデート
※前提として、GANMA!のスクラム開発は1スプリント1週間単位です。そのためレトロスペクティブは毎週行います。
半年という時間軸で振り返り機会を設計すると、自ずとチーム活動を俯瞰することができるのでオススメです。俯瞰することによって、週単位では気づけない発見を得られます。チームができるようになったこと、習慣化されたこと、取組みとして止めたこと…など。
これらを「なぜ出来るようになったのか?」「なぜ止める判断をしたのか?」という観点で振り返ることでチームとしての再現性を持ちやすくなります。チームの課題発見に加えて、チームが成長実感を得られる機会になるのでオススメです。
最後に
覗いていただいた上で、最後までご一読いただきありがとうございます!感謝ですmm
マーケティング手法も様々なテクノロジーも日進月歩であり、色褪せない基本や型があることもまた事実であると、今回アドベントカレンダーに参加しているみなさんの発信に触れて再認識しています。ここに、チームの活動をより良くするための取り組みを加えることで、変化の時代に成果を残し続けられるのではないか、とnoteを書きながら向き合い考えることができました。
チームは多種多様です。自チーム、職種横断のプロジェクト、事業会社とエージェンシーやパートナー企業、サービスとユーザー。どんなチームであっても同じことが言えるのではないか?と考えています。
終わりなき旅ではありますので、楽しみながら進んでいきます。共感していただけることあれば、今回を機にぜひぜひ意見交換・議論をさせていただき切磋琢磨させてくださいませ!
それでは引き続き、「モバイルアプリマーケティングアドベントカレンダー2020」をお楽しみくださいませ!
GANMA!は2020年12月12日に7周年を迎えることができます。今日までマンガづくりに伴走くださっている作家さん、GANMA!でマンガを読んでくださっているすべての方に、この場を借りて感謝申し上げますmm
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