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今日もじじいの顔が良すぎて尊い・其の漆

其の陸の続き、安土城クライマックスの場面から。何の因果かこの記事にいきなり辿り着き、己は何を云ってるのかさっぱり分からぬという御方は、其の壱から読んで頂きたい。
が、既に映画刀剣乱舞に興味がお有りならば、特に読む必要は無いので是非映画を観て欲しい!!!

ちなみに「映画刀剣乱舞」は大ヒットにつき上映期間が当初より延長されているのである!都内劇場では来週以降も上映されているところがある(2/13現在)。
応援上映もまた開催される。是非観に行ってほしい(でも初めて鑑賞される方は応援上映でない回をお勧めする)!!

ずっとじじいのターン!

 倒しても倒してもマドハンドの如く次々と現れる時間遡行軍に、傷つき疲弊しきる四人。
 まだ来るのか………とどうにか構え直す彼らにいよいよ時間遡行軍の大軍が襲いかかろうかというその時!

じじい現る!!

 先にも書いたがなんて美味しい登場の仕方であろうか。恰好良すぎだぞ卑怯なり三日月宗近。
 さらに、じじいは「は? とうとうボケちまったのかじいさん」と日本号ならツッコミそうなことを言い、かねてより骨喰に頼んでいたそれで、なんと皆を本丸に強制送還。
 この時の決意の顔、そして一瞬の笑みを浮かべる横顔が、それまでにも散々じじいに攻撃を喰らってきたというにも関わらず、突然横っ面をぶん殴られて正気に返ったかの如く「顔がいい………」としか語彙が無くなる(いや全く正気に返ってはいない)。

 本当にこのじじいは狡いのだ。狙ってるんじゃな? 狙っておるのか、そうなのかー!?と問い詰めたくなる。


 その後の場面の、桜乱舞の中の美しいスローモーション。
 皆を振り返り、その瞬間を見届けて満足気に微笑んで………からの、眼。
穏やかな春の陽射しから、己の真の姿の切っ先へ。好好爺から悪鬼へと変わって行く様を見守る間は、本当に息が出来ない。0コンマ1秒たりとも見逃したくない。
 あの視線だけで雑魚なら二、三振りは重傷を負わせられそうである。まさに「刀装瀕死の三日月宗近・特上」だ。

 らしくなく乱れた前髪の下からもう一度微かに笑い(この時の笑いは覚悟の笑いである)、一度がくりと垂れた頭を上げ、時間遡行軍と無銘を睨みつけて、お得意の自虐台詞を吐くのだ。

「○○………〇〇〇は〇〇〇○○○○〇〇ぞ」

 時間遡行軍(主に無銘)が一瞬ザワ………とたじろいだ雰囲気になるのが面白い。

 いや、もうこのじじいの決め台詞、絶対劇場で聞かないと後悔する。もしほんのちょっとでも「観に行けるとこに劇場あるけど、行くの面倒いからTSUTAYAで借りれる(若しくは、Amazonプライムで見られる・スカパーで観られる、AbemaTVで見られる、dtvで観られるNetflixで観られるなどとにかくなんでも良いが)ようになるの待とーっと」などと不埒なことを考えているなら今すぐ劇場に行け!!頼むから行ってくれ!

 この台詞は、今ツイッターのタグでネタの様に扱われているが、それは何故ならば物凄く「グッと来る」台詞だからなのだ。もう「頼むからこれだけでも聞いて帰ってくださいー!」と土下座したくなるような台詞なのだ。

 初めて私がこの台詞を聞いた時には、それこそ血反吐を吐きそうなほどグフッとなった。いや心では血反吐を吐きながら床を転げ回っていた。
 まだ人生に於いて刀で刺された経験はないしおそらく今後も無いだろうが、刀を腹に刺されたままぐりっと柄を一回転、いや刺されたまま「回」と書かれたような心持で、だ。

 しかし心で血反吐を吐き、のたうち回る重傷の私に追い討ち掛けるが如く、手負いのじじいはその美しい刀を、かくも凛々しく颯然と構え直して、こちらを見たのである。

「 ─────、 ──」

 無理無理無理無理無理ィ! もう(私が)無理だからやめてー!!
 監督!靖子様!!!そしてじじいーーーーーー!!!確実に私を仕留めようとしてきている!!!(していない)

 私の中の布袋寅泰は指から血を流し、号泣しながらフェルナンデスをかき鳴らしていたと思う(念のため云って置くが、この表現は盛っている。初鑑賞の私は主題歌が西川&HOTEIであることをエンドロールを見るまで全く知らなかった)。

 数十分前の、軽い気持ちでこの席に座った己を長谷部とばみの二刀開眼で斬りつけて欲しい。座席にゆったりと背中を預けてアイスティー飲みながら、などとそのような浮ついた心持で観るべきではなかった。床に平伏し「三日月宗近尊い」と念仏のように唱えながら観るべきであった。いやもう銀幕を直視することすら畏れ多い。五体投地したまま、ただその声を拝聴すべきであった。もし映画館の出口で「三日月宗近様についてお話を聞きませんか」と「三日月宗近教」に勧誘されていたら、私は一も二もなくついて行ってしまってその場で入信していたであろう。

三日月宗近とは、ことほど左様に尊い(以後ネタバレ全開になりまするが、御容赦を)

無理な方はこの場でウインドウまたはタブを閉じていただきたい。



 多勢の時間遡行軍相手に孤軍奮闘するじじいだが、戦闘開始の時点で既に中傷程度に手負いである。最初こそいつもの様に華麗な剣を振るっていたものの、次第に傷つき疲れ果て、彼らしくない荒れた太刀筋になって行く。単は紅に染まり、息は上がり、刀を真面に構えることすら儘ならない。ただ闇雲に振り回しているだけ。有体に云えば無様である。己がここを引き受けると皆を本丸に無理繰り追い返したも同然だというのに、この有様なのだから尚更だ。
 あの天下五剣の最高刀、三日月宗近の優美な姿はここでは微塵も見当たらない。

 だが………正直に告白しよう。
 美しいものが傷つき苦しみ倒れていく姿が私は大好物だ。美しい顔が苦悶に歪むのを見るのが性癖だ。
 おそらく靖子様もそうであるに違いない。
 (無銘を除けば)雑魚同然の敵に散々にやられ、汚れ傷つき、倒れゆく三日月宗近をあんなに時間を割いて追うのだ。絶対同志だと思う。
 **(そして皆も好きだろう?) **

 さらに無銘からは決定的な一撃を喰らわされる。流石に此処までかと、最期を悟ったように自嘲するじじい。
 そして………力尽きる。

 こういうのは良いところで「続く」となることに古より決まっているので、其の捌に続く。

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