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同窓会マジックなんて所詮は
成人式の会場で、中学の頃多分ちょっと好きだった子を見かけたけれど、今恋人が居るのを知っているので声はかけなかった。そういうものだよなと、人混みの中で見つけたあの子に背を向けた。学年同窓会は、地元の居酒屋でやった。“成人式マジック”というのは、私が想像していたような可愛いものではなかった。濃いめに作られた酒を飲みながら、皆それぞれ懐かしい話をしていた。気がつくと私は店の1番隅っこの卓で壁にもたれかかりながら、前に座る男女のやり取りを見て笑っていた。遠方の大学に進学した同級生の彼女が、花束を渡すためだけに飛行機をとって来てくれたらしい。いい話。いい話で終わらせたいので、頼むから私の友人とベタベタくっつかないでくれ。うわ、今友達に「可愛い」って言ったな。何も信じられなくなりそうだ。そんなことを考えていたら、いつの間にか面倒な学歴厨に絡まれてしまった。逃げた先の卓で楽しく飲んでいたら、昔告白してくれた子からホストの営業をかけられそうになり、また逃げた。嫌な記憶の上書きだった。「オレオレ!分かる?」と声をかけてくる子に限って分かる。「え、もしかして」をわざとつけて回答する。そんなふうにしていたら、同窓会は終わった。二次会は、中3のクラス仲があまり良くなかったのもあって、今も仲がいい友人と2人でカラオケに行った。3時間ひたすらあの頃LINEミュージックにしていた曲を歌って、「もうみんなで集まること無いんだろうね」「これで最後って、呆気ないね」なんて言いながら帰った。翌日、昨日一度も話さなかったのに、4ヶ月だけ付き合った人からフォローリクエストが来ていた。
「そういうものだよな」