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徳富蘇峰:宣戦の大詔

2024年12月31日(火)

日米政府を動かした民間日本人

民間人の正体は、徳富蘇峰。(本名:徳富猪一郎)

彼は、戦前の日本言論界を動かした巨星。13歳の時に熊本から上京し、
明治の時代の変革の渦中で、彼の才能は輝きを放ち始めた。

国民新聞社社長としての業績を超え、
日本新聞会、日本文学報国会、大日本言論報国会の会長を務め、
71年間にわたり「日本言論界の艦橋」に立ち続けたのだ。

彼は多くの日本人に愛された。

彼の著書『大正の青年と帝国の前途』は、100万部を突破するなど、
彼の言葉は多くの日本人の心を揺さぶり続けた。
『昭和国民読本』や『必勝国民読本』もまた、
発売から数ヶ月で120万部のベストセラーとなり、
夏目漱石の『吾輩は猫である』の20万部をはるかに超える売り上げを
記録した。

芥川龍之介、正宗白鳥、菊池寛、松本清張、遠藤周作など、
時代を代表する偉人たちも彼の思想に影響を受けたとされている。

さらに驚くべきことに、徳富蘇峰の影響力は言論界にとどまらなかった。

ついには、時の政府をも動かす存在となっていったのだ…

こうして、天皇陛下の意志を伝える開戦詔書に、
一民間人が手を加えるという前代未聞の出来事が、ここに始まった。

しかし、彼の言葉には、
時に政府すら動かすほどの力があり、
彼の長年の主張はあまりにも、
日本の開戦理由の核心をつき、アメリカに不都合な情報だった。

次の日の出来事を境目に、誰もが知っていた徳富蘇峰の名前は、
プツリッと日本中から消え始めることになる。

アメリカが揉み消した「裁判書類」の謎

その日、東京裁判の法廷が緊張で息を呑んでいた。

徳富蘇峰は、彼の最後の大仕事を果たすため、
ある重要な文書を日本の弁護団に手渡した。

それは戦争の真実を世界に訴え、
東條英機を含む「戦犯」とされた者たちの無実を主張するための、
魂を込めた裁判供述書だった。

この文書には、
日本が自衛のために戦ったという信念と、
アメリカによって不本意な戦争に引きずり込まれたという主張が、
力強い言葉で述べられていた。

しかし、法廷での彼の供述書は、
衝撃的にも読み上げられることはなかった。

ウェッブ裁判長やタヴナー検察官の反対により、
徳富蘇峰の声は封じられ、その内容は闇に葬られた。

この供述書は、あまりにも強烈に真実を暴いた文章で、
アメリカにとって都合の悪い「不都合な真実」だったのかもしれない。

戦後のアメリカは、徳富蘇峰の存在を疎んじ、
「危険な日本人」として、彼の言論活動を封じ、
厳しい監視の目を光らせた。
彼の言葉がいかに強い影響力を持っていたかを、
アメリカは恐れていたのだ。

そして、A級戦犯のレッテルを貼られた徳富蘇峰は
彼の著作とともに日本中から没収され、
闇に葬られることになった。

その為、私たちは夏目漱石の名は知っていても
「徳富蘇峰」という一時代を動かした人物のことを
知ることはなかったのだ…

日本から消えた徳富蘇峰の記憶

あなたはどう思いましたか?

国民からも愛され、政府からも信頼され、
戦前の日本人であれば誰でも知っていた有名人でありながら、
一方で戦後アメリカに危険視され、
歴史の闇に葬られた徳富蘇峰という人物について
お分かりいただけたのではないでしょうか 。

しかし、徳富蘇峰は戦後タブーとされ、
ほとんどの歴史教科書から忽然と姿を消しました。

そのため彼の功績が後世の日本人に伝えられず、
逆に「戦争犯罪人」「日本のゲッベルス」などといった
悪評だけが広まってしまったのです。

しかし徳富蘇峰を無視して、日本の歴史を語ることはできません。

『大東亜戦争肯定論』の著者で、
小林秀雄・江藤淳と並ぶ文芸評論家の一人である
林房雄は次のように述べています。

「徳富蘇峰は、今一度詳細に研究し直すべき重要人物である。
彼自身、明治大正昭和の重要な側面を代表する一個の歴史である。
彼を無視し、避けて通ることはできない」

また稀代の政治思想家・坂本多加雄(学習院大学教授)は
こう述べています。

「徳富蘇峰は、明治大正昭和の三世代にわたり言論活動に従事した、
近代日本を代表する言論人のひとりである」

林や坂本が述べたように、
激動の三世代を生き抜いた徳富蘇峰は、
存在自体が「近代の歴史」そのものです。
つまり彼が体験したこと、見聞したこと、感じたことが
そのまま近代日本の等身大の姿を表しているといっても
過言ではないのです。

だからこそ徳富蘇峰のことを全く知らないままでは、い
つまで経っても正しい歴史が見えてこないのです。
等身大の日本の姿が掴めないのです。

それどころか、アメリカや左翼学者によって都合のいいように
捻じ曲げられた「ウソの歴史」を、
あたかも真実であるかのように錯覚してしまう危険性も潜んでいるのです。

そこで今回、
私たちが教えられてこなかった真実の歴史を解き明かすために、
徳富蘇峰の研究家である杉原志啓先生と共同で
徳富蘇峰の書籍を現代に蘇らせました。

書籍名は、『宣戦の大詔』です。

これは、徳富蘇峰が開戦をみた昭和十六年十二月八日の当日、
政府より発表された戦争にあたっての「詔書」の意義を説いたものです。

徳富蘇峰研究家の杉原志啓先生は、この書籍についてこう述べています。

大枠でいえば、あくまで蘇峰その人の「皇室中心主義」と日本論、
そしてこの大戦にいたるまでの歴史的経緯をまとめたもので、
要するに蘇峰の本領のひとつであるジャーナリスティックな
歴史論のひとつにほかならない。
また、その「論」自体も、大戦勃発以前から主張していた
かれのさまざまな議論を、とりわけ昭和期になってからの
多くの著作で訴えていた歴史解釈を、
いわば簡潔・平易に総合大観したようなものといってよい。

つまり、開戦詔書に直接手を加えた徳富蘇峰が、
「日本が戦争に至ったわけ」を直接解説した
貴重な文章であるということです。

この『宣戦の大詔』を読めば、
戦後、長年に亘って議論されてきた
「なぜ日本は戦争をしたのか」という問いの答えを
解き明かすヒントが見つかります。

『宣戦の大詔』著:徳富蘇峰

詔書 ......3

序 ......6

【 第 一 】米英膺懲と歴史的必然 ......16

【 第 二 】皇国と皇民への自覚 ......18

【 第 三 】世界無比の国体と皇道 ......19

【 第 四 】皇道の本源 ......25

【 第 五 】 日本の国性たる包容 ......29

【 第 六 】 有史以前の日本と祖先 ......34

【 第 七 】『神代紀』と皇謨の広大 ......39

【 第 八 】 日本国家の特殊性 ......41

【 第 九 】 日本の忠孝と支那の忠孝 ......45
【 第 十 】忠孝一本の日本 ......48

【第 十 一】忠孝と儒教 ......52

【第十二】明治維新と尊皇攘夷 ......57

【第十三】日本の攘夷と正当防御 ......60

【第十四】皇政維新と皇政復古 ......63

【第十五】尊皇攘夷と条約改正問題 ......67

【第十六】尊皇攘夷の意外なる到着点 ......70

【第十七】実力解決の条約改正 ......72

【第十八】有史以来の日本と朝鮮 ......75

【第十九】争地としての朝鮮 ......77

【 第 二 十 】明治政府と朝鮮問題(一)─ 木戸孝允の主張 ......79

【第二十一】明治政府と朝鮮問題(二)─ 西郷南洲の達見 ......83

【 第二十二 】日本歴史と世界の光たる日本 ......86

【 第二十三 】日本の完全独立と朝鮮 ......90

【 第二十四 】隣国支那の欧米依存 ......93

【 第二十五 】日本と露英米三国 ......96

【 第二十六 】豊太閤と図南の大志 ......99

【 第二十七 】幕末に於ける露国と英国 ......102

【 第二十八 】東亜に於ける英国の悪辣 ......106

【 第二十九 】日清戦争と英国 ......109

【第 三 十 】日清戦役後の親英論と親露論 ......113

【 第三十一 】日英提携策と独逸(一) ......118

【 第三十二 】日英提携策と独逸(二) ......121

【 第三十三 】日英同盟と予の観察 ......124

【第三十四】日英同盟より日露開戦へ ......128

【第三十五】日本の発展と天佑 ......131

【第三十六】日露戦役と英国の所得 ......134

【第三十七】幕末に於ける米国 ......138

【第三十八】米国の東洋進出 ......141

【第三十九】独逸皇帝とルーズヴェルト ......144

【第四十】米国の排日と東亜への魔手 ......146

【第四十一】世界大戦と日本の骨折り損 ......150

【第四十二】日英同盟の廃棄と四国条約 ......153

【第四十三】華府会議とロンドン会議 ......157

【第四十四】国際連盟脱退及び歴史的因果律 ......160

【第四十五】日本を売った英国の応報 ......164

【 第四十六 】米国の横暴と大東亜戦争の応報 ......167

【 第四十七 】大東亜戦争と米英の徹底的駆逐 ......171

【 第四十八 】大東亜の指導者としての三条件 ......175

【 第四十九 】日本魂を養え ......178

【第 五 十 】忠良なる皇民を作れ ......181

【附録 】註釈 ......185

『宣戦の大詔』解説 ......207


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