貨幣の真実に「気が付く」
2022-09-03 09:08:19
自民党の城内実議員が、藤井先生の「東京ホンマもん教室」に出演された際に、積極財政の「正しさ」を理解する際のキーワードは、「気が付いた」 と、語っていらっしゃいます。
MMTが説明する貨幣の理論は、単なる現実であり、正しい、間違っている、○○説、「○○によると」ではありません。気が付くか、どうかです。
銀行預金は、誰かがおカネを借りる際に、借り手の資産、銀行の負債として発行される貨幣です。
政府が国債を発行し、支出すると、我々の銀行預金が増える。西田昌司参議院議員の国会質疑の際に、日本銀行が認めたように、銀行からの借り入れによる預金創出、国債発行と支出による預金創出、共に信用(貨幣)発行です。
変動為替相場制の独自通貨国にとって、自国通貨建て国債の発行は、単なる貨幣発行(支出先の預金を増やす)。金利が上がるならば、中央銀行が買い取ればいい。
中央銀行が保有する自国通貨建て国債は、永遠に借り換えるだけ。利払いは、連結決算で相殺。
ただ、これだけの話というか「事実」なのですが、「納得」しない。つまり「気が付かない」人が少なくない。
まあ、誰だって、自分が間違えていたことを認めるのは、嫌ですもんね。分かりますが、早く気が付きましょう。
「気が付いた」お一人である宮内義彦氏が凄いのは、「過去に自分が間違っていた際に使われたレトリック(※財務省の)」や「心境」を語ってくれるところです。
『宮内義彦×井上智洋「通貨を必要なだけ出せば景気はよくなる」
「政府は累積赤字を返済しなくてもいい」失われた30年を取り戻す唯一の手段
◆財政再建主義に陥ってしまった日本
【宮内】ご専門の先生を前にして恥ずかしいのですが、私はほんの数年前まで、「赤字財政というのは非常に問題だ。ここまで借金していいのだろうか。現実的に見て、もう返済できないのではないか」と深刻に考えていました。
当時は講演などで、「これだけの財政赤字をつくると、選択肢は二つしかない。一つは踏み倒すか、もう一つは国民に負担をお願いして返済するか。国が踏み倒すわけにはいかないので、返済するしかない。しかし、これほど赤字が巨額になると、本当に返済できるかどうかわからない。数十年にわたる財政再建計画をつくり、申し訳ないが次の世代にも営々と返済してもらう。それにプラスして年数%程度のインフレを恒常的につくり出して、多少でも負担を減らす。それぐらいのことしかできないだろう」という話をしていたものでした。
日本では今や国が何をするにも財政の制約があり、「日本という国を自身で防衛しないといけない」という国家としての基本的なところでも、「防衛予算はGDPの1%しか出すべきではない。それ以上支出すると財政がおかしくなる。あとはアメリカにお願いするしかない」という話で、「仕方がない」と諦めていたわけです。
しかしよく考えてみると、これは本末転倒です。まず「日本という国がある」ことが先であって、国民の生活が守れなかったら財政も何もない。お金がいくらかかったとしても、国防だけに留まらず、国民生活を守らなければならないのです。
今は一事が万事、逆の発想になってしまっています。たとえば、日本政府の教育支出はGDP比で先進国の中で最低レベルと言われています。日本人の教育は後れを取っているのです。日本がこれから世界で競争していくためには、もっともっと教育に力を入れなければいけない。ところが大学の予算など毎年、「どうやって削ろうか」と議論しています。
防衛や教育だけでなく、いろいろなことが「財政再建」というひと言のために予算を取れずに後回しになったり止まっている。日本は「財政再建至上主義」とでもいうべき国になってしまっています。それが現実です。(後略)』
宮内氏と井上氏は、後略後に、
「どうしても「借金」を返した形にしたいなら永久債を発行すればいい」
という議論をされていますが、確かにその通りではあります。ついでに、永久国債を無利子で発行すればいい。
もっとも、その種の「新しいこと」をせずとも、日銀が日本国債を保有した時点で、事実上の永久国債です。
国民民主党は、日銀保有国債の永久国債化を公約に掲げていました。
「日銀保有国債は、返済・利払いが不要(連結決算のルールにより」
を、国民の大多数が共有するか、あるいは政治的に、
「日銀保有国債を永久国債に切り替える」
個人的にはどちらでも良いです。実現するならば。
いずれにせよ、城内議員や宮内氏が「気が付いた」貨幣の真実を多くの国民が共有しない限り、財務省主導の財政破綻論、緊縮財政至上主義を最終的に打ち砕くことは不可能だと考えているのです。
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