2023年5月27日12:33
ネオコンとは「ネオコンサバティズム(neoconservatism)」の略語です。
アメリカ的な民主主義思想・政治思想を、
場合によっては武力を用いてでも世界に広めていこうという思想です。
他国との協力や合意に向けた交渉を嫌って自国の理念や国益を
一方的に推進しようとする、
いわゆるユニラテラリズム(一国主義、単独行動主義)の側面を持ちます。
元々のルーツは、
ソ連のスターリン的な共産主義に幻滅したロシア系ユダヤ人のトロツキストたちが、民主主義に宗旨替えして理想の国家や世界を建設しよう
としはじめたところにあるとされています。
大きな特徴は2つです。
一つは「武力を用いてでもアメリカ的な民主主義を
世界にあまねく広げていくべきである」という思想というか信念が
根底にあることから、自ずと軍需産業と強い結びつきを有していること。
軍需産業の側からすれば、ネオコンが政治の舵を取ることが自動的に
自分たちの利益増大に直結しますし、
ネオコンの側も軍需産業からお金を引っ張ってくることができるので、
両者の間には相互依存的な関係が成立します。
このことはロシア – ウクライナ戦争の構造を読み解くうえでの
一つの重要なポイントになる。
もう一つの特徴は、
圧倒的にユダヤ系の理論家的な人々が大半を占めていることです。
イェールやハーバード、MITといった名門大学の出身者が多く、
その多くは修士課程はおろか大抵は博士号を持っている
超エリートでもあり、理論面での修練を十二分に積んだ人たちです。
それほど優秀な専門家や理論家が集まっていることも、
ネオコンの大きな特徴の一つです。
ネオコンはスターリン主義的な体制への反発からアメリカに移って
民主主義に鞍替えした人々であるため、
ソ連を許せないのはもちろんのこと、
ソ連崩壊後のロシアに対しても強い不信感を抱いている。
このネオコン勢力における現在の「スター」が、ケーガン一家です。
今のアメリカの政治を動かしているのが軍産複合体と、
それに支えられそれに益する主義主張を持った人々であるという点は、
アメリカの外交政策を見る一つの視座としてとても重要です。
それを抜きにして、アメリカが自らの国益に資する合理的な判断を
行っていると考えてしまうと、大いに見誤ってしまいます。