競技クイズルール群

※これはエイプリルフールのネタ記事です
ここでは競技クイズルール群について検討する。
群の定義はWikipediaより引用する。

集合G とその上の二項演算μ: G × G → G の組 (G, μ) がであるとは、以下の3つの条件を満たすことをいう:
1.(結合法則)任意の G の元 g, h, k に対して、μ(g, μ(h, k)) = μ(μ(g, h), k) を満たす

2.(単位元の存在)μ(g, e) = μ(e, g) = g を G のどんな元 g に対しても満たすような G の元 e が存在する
このような e は存在すれば一意であり、G の単位元という。

3.(逆元の存在)G のどんな元 g に対しても、μ(g, x) = μ(x, g) = e となるような G の元 x が存在する

このような x は存在すれば一意であり、この x を g の G における逆元といい、しばしば $${g^{−1}}$$, あるいは演算を加法的に書く場合には −g で表される。


次のような集合Gと二項演算μ: G × G → Gは群である。

G={正解でnポイント、誤答でmポイント(m,nは整数)}

g=正解で$${n_g}$$ポイント、誤答で$${m_g}$$ポイント
h=正解で$${n_h}$$ポイント、誤答で$${m_h}$$ポイント
とするとき、
μ(g,h)=正解で$${n_g+n_h}$$ポイント、誤答で$${m_g+m_h}$$ポイント

まずはこれを確かめていく。
1.(結合法則)
g=正解で$${n_g}$$ポイント、誤答で$${m_g}$$ポイント
h=正解で$${n_h}$$ポイント、誤答で$${m_h}$$ポイント
k=正解で$${n_k}$$ポイント、誤答で$${m_k}$$ポイント
とすると、
μ(g, μ(h, k)) 
=μ(g, 正解で$${n_h+n_k}$$ポイント、誤答で$${m_h+m_k}$$ポイント)
=正解で$${n_g+n_h+n_k}$$ポイント、誤答で$${m_g+m_h+m_k}$$ポイント)
=μ(正解で$${n_g+n_h}$$ポイント、誤答で$${m_g+m_h}$$ポイント),k)
=μ(μ(g, h), k)

2.(単位元の存在)
g=正解でnポイント、誤答でmポイント
e=正解で0ポイント、誤答で0ポイント
とすると、
μ(g, e)
= 正解でn+0ポイント、誤答でm+0ポイント
= 正解でnポイント、誤答でmポイント(=g)
= 正解で0+nポイント、誤答で0+mポイント
=μ(e, g)
となるため、eは単位元である。

3.(逆元の存在)
g=正解でnポイント、誤答でmポイント
に対し、
x=正解で-nポイント、誤答で-mポイント
とすると、xは集合Gの要素でありかつ、
μ(g, x) 
=正解でn-nポイント、誤答でm-mポイント
=正解で0ポイント、誤答で0ポイント(=e)
=正解で-n+nポイント、誤答で-m+mポイント
=μ(x, g)
となるため、xは逆元である。

以上より、(G,μ)は群である。
これで単純な正解と誤答で点数が変動するルールは群として定義できた。


次のような集合Gと二項演算μ: G × G → Gは群である。

G={正解でn◯、誤答でm×(m,nは整数)}

g=正解で$${n_g}$$◯、誤答で$${m_g}$$×
h=正解で$${n_h}$$◯、誤答で$${m_h}$$×
とするとき、
μ(g,h)=正解で+$${n_g+n_h}$$◯、誤答で$${m_g+m_h}$$×

これが群であることの証明は①とほぼ同じであるため省略するが、
◯や×が負の値を取るように拡張すれば群として成立することがわかる。
これで正解数で勝ち抜け、誤答数で敗退するようなルールは群として定義できた。


次のような集合Gと二項演算μ: G × G → Gは群である。

G={正解でn◯、誤答でm×、連答でp◯(m,n,pは整数)}

g=正解で$${n_g}$$◯、誤答で$${m_g}$$×、連答で$${p_g}$$◯
h=正解で$${n_h}$$◯、誤答で$${m_h}$$×、連答で$${p_g}$$◯
とするとき、
μ(g,h)=正解で+$${n_g+n_h}$$◯、誤答で$${m_g+m_h}$$×、連答で$${p_g+p_h}$$◯

これが群であることの証明も①とほぼ同じであるため省略する。
これで連答つきのルールが群として定義できた。
当然、連答でポイントの変動が変わるルール、連誤答での変動、3連答以上での変動も同様に群として定義可能である。

④'
(?)次のような集合Gと二項演算μ: G × G → Gは群である

G={正解でn◯、誤答でm休(m,nは整数)}

g=正解で$${n_g}$$◯、誤答で$${m_g}$$休
h=正解で$${n_h}$$◯、誤答で$${m_h}$$休
とするとき、
μ(g,h)=正解で+$${n_g+n_h}$$◯、誤答で$${m_g+m_h}$$休

これが群であることは自明ではなさそうだ。逆元の存在が怪しい。
ただし、−m休を次のように定義すればどうだろうか。
m休:次のm問の間、自分の回答権が剥奪される。
-m休:次の問題の前に自分専用問題がm問追加される。
この時、1休-1休は次の問題の回答権が剥奪となるが、次の問題の前に自分専用問題が1問追加されるため、結果として自分専用問題の回答権が剥奪される。−1休+1休も結果は同じである。
このように休を定義すれば、やはり①と同じく群として定義可能である。改めて記載する。


次のような集合Gと二項演算μ: G × G → Gは群である。

G={正解でn◯、誤答でm休(m,nは整数)}
ただし、
m休:次のm問の間、自分の回答権が剥奪される。
-m休:次の問題の前に自分専用問題がm問追加される。

g=正解で$${n_g}$$◯、誤答で$${m_g}$$休
h=正解で$${n_h}$$◯、誤答で$${m_h}$$休
とするとき、
μ(g,h)=正解で+$${n_g+n_h}$$◯、誤答で$${m_g+m_h}$$休

これで休みの概念も群として定義できた。

余談であるが、−1休を説明するために丁度良い動画があるので紹介する。
これは正解で+1ポイントかつ-1休と言えるだろう。

⑤'
(?)次のような集合Gと二項演算μ: G × G → Gは群である

G={正解でn◯、s回目の誤答でsm休(m,nは整数)}
ただし、
m休:次のm問の間、自分の回答権が剥奪される。
-m休:次の問題の前に自分専用問題がm問追加される。

g=正解で$${n_g}$$◯、s回目の誤答で$${sm_g}$$休
h=正解で$${n_h}$$◯、s回目の誤答で$${sm_h}$$休
とするとき、
μ(g,h)=正解で+$${n_g+n_h}$$◯、s回目の誤答で$${sm_g+sm_h}$$休

この主張は正しくない。何故ならばs回目の誤答というものが定義されていないからである。
ただし、これの解決は単純で、誤答を数える変数を導入すれば良い。


次のような集合Gと二項演算μ: G × G → Gは群である。

G={正解でn◯、誤答でt□かつ□m休(m,n,は整数)}
ただし、
m休:次のm問の間、自分の回答権が剥奪される。
-m休:次の問題の前に自分専用問題がm問追加される。

g=正解で$${n_g}$$◯、誤答で$${t_g}$$□かつ□$${km_g}$$休
h=正解で$${n_h}$$◯、誤答で$${t_h}$$□かつ□$${km_h}$$休
とするとき、
μ(g,h)=正解で+$${n_g+n_h}$$◯、誤答で$${t_g+t_h}$$□かつ□$${km_g+km_h}$$休

例によって証明は省略するが、これで得点状況や誤答回数に応じてポイントの獲得が変動するルールも群として定義できた。

今回解説した①〜⑤を用いれば、abcのルールは競技クイズルール群であることがわかるであろう。ルールが特殊な下記については、是非考えて見て欲しい。
・連答つき5◯2×クイズ
・10 up-down
・Freeze10
・Swedish10
・10by10

今回の解説はここまでとする。
次回はアタック25の競技クイズルール群を検討する予定である。


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