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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
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百千の定にかわたれし剋 感想


資料

情報整理用

今作の公式ページ

地図

黒色の線:街道
水色の線:船を必要とする経路
緑色の線:商人は滅多に使わないような危険な経路
青色四角の地:光陣営の影響が強い地域
赤色四角の地:闇陣営の影響が強い地域
緑色四角の地:中立な地域(両陣営を受け入れたり、技術第一だったり)
灰色四角の地:中継地、記載が無い箇所は陸地、海の場合は海と記載
黒色四角の地:人類が統治していない地域
赤の点線:今作の舞台

筆者個人的にオススメする人物像

今作はエウシュリー作品の中でも国家関連と主人公の動きが連動しているため、以下のようなタイプの人達にオススメ。
・政を運用する作品が好きな人
  ↑主人公はその立ち位置にいないが、大きく影響を与える
・国のいざこざを見るのが好きな人
  ↑シンプルながら結構綺麗に国がガタガタ鳴る
・『神採りアルケミーマイスター』の舞台が好きだった人
  ↑18年前となってはいるが同じ舞台であるため

全く別の作品としては
『現実主義勇者の王国再建記』
『プレカトゥスの天秤』
『鈴蘭の剣』
辺りが好きな人。(全部媒体やシステムは異なるが)

逆にランス系統辺りのプレイヤーは色々な事情で難民となってエウシュリー作品に流れ着いている可能性が高いが、作品の毛色が違うので同じテンションではオススメできない。

恐らくモデルとなっている作品として『オクトパストラベラー』がありそうとは思うが、筆者は体験版をプレイして、購入後積んでいる状態なのでその点は不明。

シナリオ(と付随するゲームシステム)

共通部分

筆者個人としては近年の作品の中で『封緘のグラセスタ』(2018年発売)と同じくらい好きな物語でした。
複数の都市と複数のダンジョンを舞台にしているため、方向性として近年の作品とは結構異なるコンセプトで書かれているように感じます。
それぞれの街や村を選択した後にその場所の行きたい場所を選ぶ画面があるゲームシステムは『戦女神VERITA』(2012年発売)以来のはず。(魔導巧殻はここで記載したい内容と若干異なる)
12個ほどの街や村があり、その内9か所で品ぞろえの異なる店があり、他1か所は店はないものの他の一部の箇所でもできる狩猟や釣りのミニゲームができるようになっています。(残り2か所はイベント用で訪問のみ)
地図でそれぞれの各街や村がどういう立ち位置にあり、どういう問題を抱えて、あるいは抱えるかといった部分に説得力を持たせています。
問題の発生は街や村に由来するものもありますが、仲間キャラ由来のものも多々あり、それらの問題に対し主人公達はダンジョンを巡ったり、戦闘を行って解決していくというのを繰り返して、共通部分のシナリオは進みます。
この繰り返す部分は発生している箇所全てを好きな順で選択し、進めるようになっていて、その順番が前後しても物語が崩壊しないように独立した作りとなっています。
この順番が前後しても問題が発生しないようにしている部分が若干シナリオ作成の幅を制限しているようにも感じますが、各都市を主軸に置くというのは近年不足していた世界観表現という観点で良い作用をしています。

個別ルート

最終版で共通部分が終わり、それまでの選択肢の結果から大きく3ルートに別れ、そこから1つのルートが2つに分かれる計4つのルートと結末となります。
その内の2ルートに分かれる方は両方ともその後に実行する内容が少ない且つほとんど同じであるというのが少し勿体ないと感じました。
できればその後も見てみたい気がしますが、両方それぞれ修羅な道となっていて、そうなると不評になるとも思うので、仕方ないのかなとも。
主人公マルクがそう至ったのは『幻燐の姫将軍2』(2009年発売)や『戦女神ZERO』(2010年発売)辺りを遊んだプレイヤーはこの理不尽さを理解できるのだろうけれども、納得するかは恐らく別なのかと。
そしてこの辺りを遊んだプレイヤーは全体数としてはそこまでいないとも予想しているので。
恐らく物語は想定されているけれどもそういうユーザーからの評価という観点からギリギリで未来をまだ不確定にした結末にしたのではないだろうか。
残りの2ルートは片方が正史へ至る道筋で結構長く、もう一つは綺麗に終わらせる結末となっています。
この2つは共通部分のとある1か所の選択肢で分岐し、これまた大きく国の有り方が異なる結末を迎えるのですが、
綺麗に終わる方は全容を把握したうえでこうなればスッキリ終わるのにという構成になっており、
正史は18年後で同じ舞台となる『神採りアルケミーマイスター』(2013年発売)に繋がるようにするために、かつ正史としてふさわしく各街を絡めた構成となっていました。

キャラクター(と付随するゲームシステム)

マルク

今作の主人公
主人公という立ち位置は継続しない限り無知である必要があるため、自分の職と住んでいる街以外はほとんど知らない。これは他社作品でいうところのルーンファクトリーの主人公が大体記憶喪失となっているのと同じ理屈。没入感のために仕方ないのだろう。しかし近年の中では一番知識が少ないような。

更に今作は主人公の目的と物語開始時点で持っている能力が歴代主人公の中で恐らく最も噛合っていないようにも感じました。
これは歴代作品を大体遊んだ筆者個人の想像ですが、ゲームシステムは恐らく主人公の元々の能力や目的、手段と関係があるのではないのでしょうか。戦闘システムだけを切り取っても、指揮系統の能力が高くて多方面と戦争をする目的があれば国盗りSRPG、国盗りSRPGの中でもリアルタイムで指揮をとれるか、単純に陣形を決めて突っ込ませるだけかと異なったり、指揮系統の能力が高くても目的が1国や1部隊、野生の魔物単位だけであれば四角形や六角形のマス目のSRPGとなったり、自分のパーティだけでダンジョンを巡るのであればRPGとなったりする。(他4種類くらいあるけど割愛)
今作は一番最後の自分のパーティを編成するRPGタイプとなるのだが、歴代RPG主人公3人、『セリカ』、『リウイ』、『ジェダル』はそれぞれ化け物みたいな強さと肩書を持っていたり物語の過程で所持することとなる。それに対しマルクは後の世で工匠や鍛梁師の基礎となる料師(猟師という職に採取能力を合わせた材料を収集する職)という肩書のみで、気質か指揮能力が足りないからかSRPGではなくRPGで、同時に戦闘できるパーティは自分含める含めない関係なく5人で、かつ陣形は並列5人固定で前衛後衛のみ。『セリカ』は若干作品によって異なるが、前中後衛かつ同じ列に複数人可能でサポートを二人から三人設定できる神殺し。『リウイ』は『セリカ』と異なりサポートは二人までしか設定できる作品が無いが、そもそも主体はSRPGでRPGの作品にSRPGを持ち込む半分魔人の国王(又は継承して元国王)、『ジェダル』は最大25人で戦えるヤバい戦闘民族で国王へと至る。という歴代主人公と比較するとRPGのシステムが完全に解禁されていないかつステータスもそこまで高くない。正史を含めた半分の結末では歴史に名を残さない一般人で終わるという点からも恐らくわざとそうデザインされているように感じます。一応ターン制という今まで行動の遅い魔法職を1ターン内で動かすという面は強みかもしれませんが、物理に脆い魔法職を守る術が編成や能力で取得することが無いため、そういった部分でも活かせていない。むしろ素早さを持ち味とした人物が1ターンという枠に収められてしまう面が目立っているかもしれない。

それでいて本人はあまり重要視していない秘めた能力があり、それが『視覚察知』と『スニーキング』。料師として一人前であれば恐らく持っていて、相棒のルイリも備えている『気配察知』や『行動追跡』の能力は作中で何回か二人の能力で活躍しているが、ソロモン魔人が遠見の魔術で見ているのを『視覚察知』するのはソロモン魔人曰く怖いレベルらしい。また、『スニーキング』もヴァスタール神殿に単身で乗り込んで物色して気が付かれずに帰ってくるということをこともなげにしでかすのも正直どうかしている。後述するセテアのエンディングではそれを完全に発揮していて潜在能力としては恐らくこちら側の能力が主体となるシステムであればもしかしたらとは思わなくない。

ルイリ

ディスナフロディ神権国(トキヤ武将国)代表
ゲームシステムとしては固有武器に復活が付いているのが特徴。
行動や発言は『神採りアルケミーマイスター』の『レグナー』のような、『封緘のグラセスタ』の『ユトレ』のような、そうでもないような感じ。主人公に知識を授ける良き相棒。彼のエピソードは彼が故郷に戻るか否かという内容となっており、ミケルティの隣接国の一つであるディスナフロディ神権国がどういったところかをうかがえる内容となっている。いつかこちらを舞台とした作品も見てみたい。
マルクとルイリでマリオ&ルイージ?配色にしているけど。

ソフィア

リヤマ代表/イーリュンの信徒
ゲームシステムとしてはRPGで重要な回復職。SP自動回復能力を持つスピリットリングという装備品は彼女に持たせると凄く回復アイテム節約になる。
行動や発言は『封緘のグラセスタ』の『リリカ』に近いが、『リリカ』の場合は生まれも育ちも貴族という側面から元々の知識が高い。実現可能な理想という方向で見た場合、『ソフィア』の方が夢見がちな印象がある。しかし、過去に発生した村人たちとイーリュン神殿との出来事から色々理解した部分があるのか、頭がお花畑という訳ではない。

シャルロット・アルベール

サンタリア代表
ゲームシステムとしては幅広い属性魔法攻撃のできる魔術師。『封緘のグラセスタ』のミクリを彷彿とさせるような脆さが弱点だが、あちらはジェダルの最大25人戦闘システムやザルドネという肉壁がいたので火力に回せたのにそれをカバーできるスキルも戦闘システムも無いので若干使いづらい。進行に影響する好感度システムもあり、戦闘不能にさせると好感度が減ることもあって戦闘メンバーに選びにくい。ただし、ドロップアイテムを収集する場合はおまじないという支援魔法を使うと楽になるので活躍の場がある。
行動や発言は貴族ではあるがサンタリアの貴族の中では異端者で魔法研究家。正直サンタリアにいるよりはメフィ公国に引っ越した方が幸せになりそう。メルキア帝国のディナスティ領はこの時点でまだ魔法研究領として継続しているか不明だし、魔術匠合がそれなりに強いエリヌヌはこの時期ではよろしくないので現時点で候補になりそうなのはその辺り。ただし正史でも恐らくサンタリアにいると思う。(後述するあのルートで砲撃に巻き込まれないことを祈る)

ロラン

一応アムレント代表ではあるがそれよりも王族代表
ゲームシステムとしては後衛の弓使い。別に彼が嫌いだからという訳ではないが戦闘ではあまり運用しなかった。それだけ5人という枠は少ないのでマルクの戦闘システムの犠牲者ということにしておこう。
本名はローランド・ジルテリィ。
行動や発言はお忍び王子、正直金髪で赤い服を着た吟遊詩人の王子といえば軌跡シリーズのオリビエを彷彿とさせる。ついでに従者の『ナルセス』もミュラーを彷彿とさせる。2つの個別ルートでは最終版で離脱しますが、立場的に仕方のない事だとは思う。

ルーデンステルグ・レビエラ

ユイドラ代表
ゲームシステムとしては最強の物理防御&物理攻撃(能力値的には2番目くらいだが技も強さに入れた場合)。少ないSPをアイテムで補えば間違いなく最後までPTにいる。魔法防御だけ少ないのでそこは復活戦法を取るか、他のキャラにする必要があるかもしれないが、物理攻撃をする敵の方が多いためあまり気にせず運用できた。
仲間の中で唯一『神採りアルケミーマイスター』に名前だけ登場する人物で、作中でも結構重要な立場となっている。工匠という制度の祖であるというエピソードや、ユイドラ鉱脈のデモンズゲートを封じるエピソードがあり、『神採りアルケミーマイスター』と繋がりが多い人物となっている。
工匠の中で実質的に一番位の高い匠貴へと至った後、この数年以内で亡くなっている。義息となる可能性にある『ウィルフレド』は作中最終的に匠貴へと至るのだが、その道筋のようなものを感じる。

エルネス

一応ラキメル代表ではあるがそれよりも光陣営代表/マーズテリアの神官戦士
ゲームシステム上では物理魔法、攻守の両方でバランスが良く、パーティにいれて活躍はする。特に防護の結界という支援魔法は敵の攻撃能力が高い場合に張り続けられれば攻略できるようになることがある。戦闘前に防護の結界を張っておくのも有効。
ストーリー全体を光寄りにしていたのは彼女がいるからなのかは分からないが、マルクと他数名では闇寄りになっていたようにも思えるので重要な人物かもしれない。マーズテリアの布教原理は中々面白かった。また、キャラクター情報欄にはベルリア王国から来ていると記載されているが、作中でベルリア王国という名称は一切出てきていないような。(内海と面している地域で釣りをしているという描写はあった)

アルヴィナ

アムレシィ代表
ゲームシステム上ではエルネスと似ていて物理魔法、攻守の両方でバランスが良く、パーティにいれて活躍はする。こちらの方が攻撃寄りではある。
性格的にヴァスタール信仰者に見えたがそうではないと知って驚く。(明言が無いだけ?)ただしヴァスタールの神格者を心の師としているため、性格からそう見えるのは仕方ないと思う。

ヴェラ

ユソル部族国代表
ゲームシステム上では『ルーデンステルグ』に次ぐ攻撃性能を持っていて、魔法防御がある分こちらの方が耐久力がある。こちらもSPは若干少ないためそれを補えば無茶苦茶強い。
アマゾネスの国であるユソル部族国から色々な世界を知るためにミケルティ王国へ出向き、傭兵をしている。エピソード的には全員戦士であるユソル部族国にまつわるものと、読書と執筆に関する内容の2つあり、戦士でありながら頭脳もあるという彼女のポテンシャルが高さがうかがえる構成となっている。

セレストラヴィ

カレンリ代表兼レイシアメイル代表
ゲームシステム上では攻守両方の魔力が高く、魔法攻撃をしてくる敵や、魔防の低い敵には有用。(ただ、どの敵が魔法攻撃をしたり、魔防に弱いかとかあまり分からない感じで進めたので活躍させれなかった)
レイシアメイル関連のイベントは少なく、代わりに精霊関連と食に関するエピソードで構成されている。(ただ、筆者は精霊学が苦手故、あまりよく分かっていない。)今作の仲間キャラの中で唯一の亜人。

アセリア

先史文明代表
ゲームシステム上では仲間にするルートとしないルートがあるという、特殊な立ち位置にいるキャラで、攻撃力と攻撃範囲が広く、無茶苦茶強い。
『碧王の庭園遺跡群』という『神採りアルケミーマイスター』であるルートでは重要な場所でスリープ状態だったところを起こして仲間にする展開となる。心のある機械人形という造形からか、『魔導巧殻』の『アル』に近い感じに見えた。ただし、まだ戦争や内乱が起きていない状態で、貴族の屋敷を焼き払うのは正直驚いた。

ルードルフ・エアハルト

ラキメル代表
ラキメルの貴族で実質的な領主。模範的過ぎる領主で、作中仲間キャラ以外の男性の中では一番好印象。今回の動乱で正史では独立してラキメル公国となる経緯がしっかりしていて非常に良かった。ちなみに作中マーズテリア信者という話は聞かなかった気がしたが、どうなんでしょうか。装いとしては服のカラーリング的にマーズテリア感がありますが。

ルクレツィア・リヴォルタ

アムレシィ代表
アムレシィの筆頭貴族でヴァスタール信者。アムレシィはラキメルと同じく港という物流を左右する土地を持っていて、なおかつ隣接するヴァスタールを国教としているネリィール王国と交流があるからか、『ルードルフ』とは犬猿の仲。思想は『ルードルフ』とは対立していて、正直どちらも正論であるが故に見ていて面白かった。ちなみにこの容姿でシーンが無い。

セドリック・ジルテリィ

第一王子
タイミングや情勢が異なれば主人公へといたれたかもしれない王子。一番きれいに終わるルート以外は、正史で島流し、他2ルートで処刑されていて、不憫。とはいえ、正史では色々解放されている感がある。それと『神採りアルケミーマイスター』で重要な立ち位置と言えなくもないのでまあ。
彼の言葉として、「民が国家に向ける感情には、大まかに分けて2つの種類がある。身の安全の保障と、尊厳の保証だ。」「どちらか片方が欠けただけでは武装蜂起は起こらぬのだ。」というセリフの辺りはドリフターズの序盤に信長が言うセリフを大分マイルドにした感じで、有能さが見えただけに表舞台から消えるには惜しい人物だった。

ヴィオレット・ジルテリィ

第一王女
処刑となるルートはともかく、贄になるルートは正直かわいそすぎる。物語の役割として贄にすることと正史の刑の重さで政治にかかわらなかった故に追放のみとなること以外ではラキメル関連のイベントで登場するくらいで影が薄いのも不憫。できればのちの作品でも活躍してほしい。正史では贄とならないが、贄として用意された登場人物という側面が強いからか、『幻燐の姫将軍Ⅱ』のセリーヌを思い出す。性格はこちら側はとても快活となっているが。

トキーグ・ジルテリィ

国王
今作の元凶その1。
おそらくエウシュリー作品を多く遊んだプレイヤーからは公式HPを一通り読んで予想通りとなったのではないだろうか。『戦女神VERITA』闇ルートの『リウイ』とほとんど同じことをしている。(しかも贄対象が娘でリウイの場合は殺害した本人という負い目がありそうだがそれが全く無い人物)恐らく儀式の内容も同じで、ただ、それよりも効率がいいからか、あるいはネリィール王国の協力からか、はたまたリゼットの魂に関するものなのか、儀式の軸となる贄以外の魔力に変換するために使う多くの贄がそこまでいらないのはコストパフォーマンス的に良い儀式であるからかもしれない。もしくは『ミレイア』からもらった『ヴァスタールの杖』に多くの贄と同等の魔力などが詰まっているのかもしれない。この『ヴァスタールの杖』は『冥色の隷姫』のヴァスタールの教皇からもらえる『闇神殿の錫杖』と同じものだろうか?トキーグ/ミレイアENDでは彼の思惑通り王妃『リゼット』が『ヴィオレット』を贄に彼女の体に憑依する形で復活。娘を犠牲に復活して、他の子ども達も処刑されてるという、あんまりすぎる結末となる。しかも跡継ぎが(孫達も巻き込まれていれば)王家は存続できないので実質的にミケルティ王国は崩壊となる。

セテア・ジルテリィ

第二王女
正直元凶と呼びたくない。
元凶のトキーグとは別の思惑で動く別陣営として中々良い動きをしていた。別陣営というのは他のエウシュリーの作品でもよく使う手法であるが、後述する精神異常の可能性があるとはいえ、今までの作品同様目的や行動原理がしっかりしていたように感じる。正史ではその影響で彼女の願い通りジルテリィ王家は表に立たなくなる。けれど代償で記憶が消えたり(ついでに妹の能力が消滅するのは)いつものエウシュリー正史としては生きているだけマシとするかもしれないが、悲しい。逆にセテアENDでは『セドリック』や『ヴィオレット』が処刑される代わりに彼女の幸せが見れてよき。こちらでも彼女自身がジルテリィ家を終わらせようと、跡継ぎを作らない方針で、これに異を唱えれば主人公マルクに暗殺される恐れがあるため、ミケルティ王国はほぼ崩壊確実となる。しかし、王として国のルールを多少捻じ曲げ、母である『セルマ』を傍に仕えさせることができれば、もしかしたら『セルマ』の言葉次第で存続できるかもしれない。ただし、おそらくミレイア関連から王妃『リゼット』殺害後、神性由来の精神異常をきたしている可能性があり、そこをどうにかする必要がある。しかも己の罪と向き合う必要もあるのでそこも難しいか。(恐らく主人公マルクも同様)

ミレイア

ヴァスタールの神官/闇陣営代表
今作の元凶その2。
『天結いラビリンスマイスター』の『ルーチェ』同様ヴァスタール関係のエルフ(向こうは使徒ではあるが)。最後に直接戦うまでずっと力を使わずに言動だけで国を壊しにかかった凄い面白い人物。扇動の言動も今現在現実で起きている問題を彷彿とさせて結構怖さを感じた。セテアにリゼットを殺すための毒薬を受け取れるように流したり、トキーグに妻復活というエサをぶら下げて兵の動員とそれに伴う税収を増やし、結果動乱を起こさせたり、他国の保有する兵器を裏で受け取ったり、これぞ国を使って物語を組む時の悪役と言った感じですごく良かった。トキーグ/ミレイアENDでは恐らくマルクはヴァスタールの指輪から神性由来の精神異常をきたしているのだろうけれども何を思っているのかは少し気になった。

オセ

今作のソロモン魔神 57番
今作の裏ボスに該当する。ミケルティ王国建国に大きくかかわった魔神。他のソロモン魔神、アスモデウスやアムドシアスについて言及したりする。正史で出会っているかは不明だが、『神採りアルケミーマイスター』ではアスモデウスが言及しなかったりしている所から恐らく出会っていなくても出会っている時と同様に何処か別の場所に行っている。

アラナ

今作のラギールの店の店員
可愛いという以外あまり感想は無い。
それはそれとしてラギールの店復活は個人的に嬉しい。
今後も継続してほしい。

ガリオ

ヴァスタールの神格者
あまり出番は無いが、今後の作品に期待。
『天結いラビリンスマイスター』の『ルーチェ』同様ヴァスタールの神格者ではあるが、おそらくこちらの方が純粋な神格者。(他の信仰から移っていなさそう)

王子王女に仕える騎士・護衛・補佐官

●レオナード・オスヴァル
●ヴァルター・フリック
●ルフィナ
●ナルセス・アンリテラル
それぞれ王子王女に仕えていたり、関係がある人物。
レオナードは騎士団長兼セドリックの師
ヴァルターはセテアと悪だくみする副騎士団長
ルフィナはヴィオレットの護衛
ナルセスはローランドの補佐官となっている。
しかし、王族が主体の物語ではあるものの、主人公達とは大きくかかわることが無く、ナルセス以外と終盤戦う可能性があるくらいの関係性。

サンタリアの貴族

●モーリッツ・ハーゲン
●クレーメンス・エシュナー
モーリッツ・ハーゲンは良識のある貴族代表で、クレーメンスはその反対。物語を構成するうえで必要な人物ではあるもののあまり出番は無い。
モーリッツはシャルロットの知り合いであったり、セドリック王子と内密に打ち合わせしていたり、ルードルフとルクレツィアが同席する貴族会議でまとめ役をしていたり重要な場面で活躍。クレーメンスはセテア派に付き、配下の騎士を動かしてヴィオレットをヴァルターに引き渡したり活躍した。王子王女に仕える者達も同様だが、全員現国王のトキーグを見限っている。
他にサンタリアの貴族として、ルーデンステルグの両親がいたりするが、こちらはルーデンステルグのエピソードのみの登場となっている。
『神採りアルケミーマイスター』のあるルートではソルガッシュの砲撃がサンタリアの貴族街を襲うことになるが、おそらく誰かは巻き込まれているだろう。(特に『クレドリアムス・エシュナー』の父親と思われるクレーメンスは)

各地域

ミケルティ王国コテエリル

王都サンタリアに近いかつ、他の隣接都市と異なり背後関係が無いが故に徴収という名目で騎士に襲撃された街。この襲撃が主人公マルクを立ち上がらせた要因となっており、今作は8都市の中でこの街以外からは確かに主人公は出ないだろうという説得力がある。
防衛上は街道沿いに行った場合、南からならば川とそれを渡れる橋があるくらい。北側は騎士の常駐するリヤマが陥落しない限りほぼ安全。
狩猟と革工芸都市となっている側面がマルクとルイリの料師という情報を補っている。18年後の『神採りアルケミーマイスター』ではあるルートで王政復活関連のシナリオがあり、王政支持側となるがマルクたちはどうなったのだろう。

ミケルティ王国リヤマ

未開の地で魔物が多く流れてくるデジェネール地方に近いということもあり、騎士が常駐する辺境の街。織物が工芸品としてある。
防衛上は騎士がいることと、コテエリルと隣接すること以外特にない。
ソフィアが聖女として扱われていたり、現時点でのイーリュンの教会の扱いなどは見たかった。

ミケルティ王国アムレント

コテエリルとユイドラの間にある自然要塞都市。傭兵業が盛んとなっており、ヴェラが滞在しているのはそういう理由がある。
防衛上は周りが森だったり防壁があったりと結構強固。
近辺に結構深くて奥地に高レベル体の敵が登場するアムレントの樹海がある。

ミケルティ王国サンタリア

貴族が多くいたり、政が行われる王都。
防衛上は河の中州にあり、なおかつ防壁もあるためかなり強固。ただし、海に面した河がそれなりに大きく、おそらく船が通れることから、実は海賊に弱かったりするのではないだろうか。とはいえ、北と南にそれぞれラキメルとアムレシィがあるため両街からそっぽを向けられなければ連携できて恐らく安全。と思ったら今作正史ではラキメルが公国として独立したため、闇陣営と深いつながりのあるアムレシィか、サンタリアのみで海側の防衛をする必要が出てくる。『珊海王の円環』ではあるルートにてヤバい海賊がヤバい船でユイドラめがけて突っ込んでくることになるのでその場合は恐らく最初に潰されそうとは思った。

ミケルティ王国ラキメル→ラキメル公国

マーズテリアとパルシ・ネイの2つの光陣営と深くつながっている北の交易港。
防衛上は都市の中にマーズテリア神殿があり、軍神マーズテリア神殿騎士がいることが強い。海かデジェネール地方を挟んでいるとはいえ、立地的にベルリア王国と近いというのも恐らく影響すると思われる。
『ルードルフ』が健在でい続けるならばおそらくは安泰だろうという感覚があるが、『神採りアルケミーマイスター』では地図上では町が見えない状態なのでどうなっているかは正直分からない。ただし、国としては存在し、『神採りアルケミーマイスター』ではアペンドの『ロカ』のストーリーで船団が本来到着する予定だった国兼自体解決後の行先として名前が出てくる。

ミケルティ王国アムレシィ

南のネリィール王国と隣接していて闇陣営の影響が大きい開運交易都市。紹介文ではテール・ユンと友好的となっているがほとんどその情報は無かった。
『ルクレツィア』がヴァスタール信徒であり、隣接したネリィール王国の影響がある限り現状そのままだろうとは思っている。
『神採りアルケミーマイスター』ではアペンドの『ロカ』のストーリーでネリィールに漂着してしまった船団の問題解決を非公式に仲介を打診してきている。

ミケルティ王国カレンリ

南にユイドラ、北に河を挟んでデジェネール地方、東にレイシアメイルと言った精霊加護の都市。
防衛上は堀と川が周囲にある感じで、デジェネール地方方面は大きなレイシア河川があり、フェマ水門があることくらい。後は後年レイシアメイルと不仲となる部分が不安点。

ミケルティ王国ユイドラ

アムレントとディスナフロディ神権国の間にある鉱山商業都市。
防衛上は防壁があるくらいであまり強固な感じがしないが、コロシアムがある都合上と隣接するユイドラ鉱脈がある関係で住人が屈強なイメージがある。
『神採りアルケミーマイスター』の主人公が住む街であることから元から知っている情報が多いプレイヤーもいると思われる。

ユソル部族国ソメカ

アマゾネスの国。女性によって作られる国とはこんな感じかという国。
防衛上は周りが山と森であるため対エルフ、対ドワーフでない限り有利となりそう。
過去作である『戦女神ZERO』に似たアマゾネスのスティンルーラがあったが、後にアヴァタール五大国の一つとなるスティンルーラ王国や女王国となっているあたりでは部族系統の狩猟者のような恰好ではなく、先進国の装いとなっている。それに対し、こちらは文明レベルが上がっていないように見えるが、そうなっているのは色々と経緯があるのだろう。通貨が使えないのも同様。スティンルーラもユソルもアマゾネス系統の国であるため女尊男卑となっているが、男卑となっているのはそれを束ねるレベルまで強くてたくましい男性がいないからとなっている。もしいればその男性が当代のみの王となるそうだが、現在はそういった人物の記録がレベルとなっていることを見ると長い年月該当者はいなかったのだろう。
個人的には『魔導巧殻』のユン・ガソル連合国の人達があの物語の後ここにきて元々の国の名前から少し拝借してユソル部族国を作ったのではないかとか妄想している。『ギュランドロス』とかまさにそんな感じの褐色肌で、もしそうならば『ヴェラ』はその末裔ということになるのか。
筋骨隆々な女性達とはいえ、流行というのに敏感なのか、流行りの修行場があれば遠くても赴き、そして廃れたら行かなくなるというエピソードは面白かった。
隣接する戦天女の滝はユソル部族国の女性達にとっては聖地で禁足地となっているが、今作でその風習はやめようとなり、『神採りアルケミーマイスター』では『ウィルフレド』達が訪れると無茶苦茶強いアマゾネス達と戦うこととなる。一体何があったのか。

ネリィール王国ケルテレス

久々のRPGで闇陣営の国を訪れることができてすごく楽しい。ヴァスタール神殿もある。
防衛上はヴァスタール神殿の神殿としての側面が強いデルギの魔宮はともかく、軍事研究拠点のデリメス魔宮で強化された兵士や『碧王の庭園遺跡群』から持ち出した先史文明兵器の運用ができればそれがそのまま兵力となる。とはいえ、ヴァスタール神殿勢力とネリィール王国勢力は微妙に繋がっていないようにも見えて一枚岩ではない?
アムレシィでネリィール王国への配達だとか、ユイドラから資源を密輸したりだとかそういった依頼があって危なさが全面に出ていて面白かった。ただ、依頼の言霊の樹跡調査が難しく、今作はそこだけ苦労した。システム面の話だが、コンティニューゾンビアタックで何とか撃破できたため、RPGシステムの作品では所持金ペナルティでコンテニューできるシステムは継続してほしい。
『神採りアルケミーマイスター』ではアペンドの『ロカ』のストーリーでここの兵士が敵として登場するが、公的には残らない戦いとなっており、もし大事となっていたら西方から光神殿勢力とネリィール王国が全面的に戦う可能性があったとか。(おそらくアムレシィもそれに巻き込まれることが予測され、極秘に解決するために動いた)

ディスナフロディ神権国

筆者個人の次回作で舞台にして欲しい国上位にいる国。(同じくらいなのはヴァスタールを国教とする闇陣営筆頭のベルガラード王国や光神殿の影響が強いと言われる西方諸国、メフィ公国とメンフィル帝国の間の国々)今作では国境の村であるケーナと、ルイリとナユエ関連のストーリーくらいの関係となっている。ケーナの向こう側にあるラカの村もまた気になる。
トキヤ武将国のナユエ関連から登場するユエラとその姉と思われる者の話が聞けたりして、どんな土地なのか興味が湧いてくる。ただ、国の在り方からして37もの国があるのに国盗りのような形にならなさそうというのが少し残念。RPGだと国が多ければ多いほど構成が難しくコストがかかるイメージなため、同じ時代のものはやっぱり無い感じだろうか。


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