神の計画についてケチな人間が考えてみる
持って生まれた性質はなかなか変えられない。
「常識とは18歳までに身につけた偏見のコレクション」
ってアインシュタインが言っていたとか。たぶん、私の基本的性質・偏見って「ケチ」なんだと思う。
若いときはお金に対してケチだった。今もだが。ブランド物には興味がないし、機能性重視。車もバイクも自分で直している。信用できないどこかの工場の人に金を払って直させるより、そのお金で工具を買って自分で直したほうが、次回同じところが壊れても自分で直せるからって。出番の少ない特殊工具も数万円なら躊躇なく買う。とはいえ、ベアリングプーラーだの、エアコン修理用の真空ポンプや真空ゲージだの、スライドハンマーだの、素人レベル以上、プロ未満だが。バイクのエンジンぐらいは何度かバラして組み立てた。
そんなケチな私でも、他人のためのブランド物は年に数回躊躇なく買っていたりする。女性物のバッグなんか無駄に高いとおもうけど、ざっくり50万以内なら、その日の思いつきで銀座に連れて行って「じゃあ、それ買ってあげるよ」って。彼女に貸した700円、いつ返してくれるのってきいたら「普通そんなこと聞く?」なんて言われて、大喧嘩になって別れた20代の自分からは想像できない。
やっぱりそれでもケチ要素は抜けきれていないと思う。そのバッグだって何かの喧嘩をしたあとに買っていたりする。喧嘩の修復に時間がかかるぐらいならお詫びの印として数十万円で済むなら安い。この「安い」はお金じゃなくて時間を指しているんだと。
年をとるたび時間の価値がどんどん上がって行っている。お金をかけずにその結果を得るのに果たして何時間かかるか。ソープランド通いは私にとって、ゴールを得るために無駄な時間を徹底的に排除した結果なのかもしれない。
「16時間の貸し切り」・・・という話を耳にした。ざっと計算したら、40万!え?私の1ヶ月のソープ代を1日で使っちゃうの?えっ?ええっ?って帰りの車で恐ろしくなりながらハンドルを握っていた。
私がバッグを買うための40万はある程度の見返りが保証されているが、ソープランドの40万はただの意地っ張りだし彼女もそれに同意していたようだった。いやまてよ、これは浅はかな考えかもしれない。私には想像もできない、彼には確固たる見返りがあるのかも。女性がブランド物のバッグをご褒美だと自分に買い与えて自己肯定感を得るように、彼も40万を1日で使ってしまうことで、「俺ってビッグな男だな」という自己肯定感を得ていたりするかも。見返りとしての自己肯定感が、40万を軽く取り返すほどのビジネスを推進しているとしたら、かなり安い。習い事に通うなどの自己投資のための40万と同じようなものだ。
突き詰めていくと、物事を、お金や時間で損得を考えている事自体がまだ青いんじゃないか。それは、お金も時間も、大昔、頭のいいリーダーが、社会を支配するために作ったシステムだろう。
先月辞めてしまった大好きだった彼女から学んだことのひとつ、時間の感覚は長くも短くもなる。会えない時間は感覚的には2.5倍ぐらい長くなり、会っている時間は110分が60分ぐらいに感じるようになっていた。お金の価値だって、昨今の物価高で、1000円ではファミレスでランチが食えなくなってきている。時間もお金も資産と考えたら、価値が変動するリスク資産を心の拠り所にしていたら精神的に参ってしまうなって。だったら、生まれてから死ぬまで、いちばん大切なものは何だろうかって。
寝起きでスマホをひらいてスマホを左にスワイプするとおすすめニュースがでてきてうっかり読んでしまった下の記事、「神の計画」なんて言葉をいまさら知ったよ。
たしかに、社内のインド人は残業していた。真面目アピールなのかわからんが、パワーポイント工業のエリート社員に気に入られていた。同志である先輩エンジニアは65歳ぐらい(年齢は明かしてくれない)だが、定時で帰っていた。インド人は文字だらけのコンソールを深夜まで叩く。先輩エンジニアはExcelVBAを書き続けている。エリート社員様はパワポとOutlookをマルチモニタでずっと開いている。どちらも30代時から頭はすっかり禿げ上がっていたよ。髪の毛がなくなるほど打ち込む価値のある仕事かどうかは甚だ疑問だ。
「神の計画」か。お金を稼ぐとか、時間を大切にするも、結局、一体何が大切なんだろうって。人と人との関わり?恋人?家族?自然?地球環境?宇宙?
リーダー格が社会を支配するために作ったシステムと考えてしまうと、どれも賛同できない。