「自分探し」ならぬ「自分なくし」のススメ
フルスタックマーケティング株式会社の代表取締役CEO・清水優志(@fsm_shimizu)です。
企業のマーケティング活動を支援しています。
最近、この3年くらいのアウトプット偏重だった日々を反省して、1日3冊くらい本を読んでいるのですが…
星野源さんが雑誌『POPEYE』で連載していた企画を書籍化した『星野源雑談集1』という本がけっこう面白くて。
この本の中で対談している、みうらじゅんさんの「自分なくし」という考え方がぶっ刺さったので、今日は「自分なくし」について書こうと思います。
1994年に始まった「自分探し」
僕(29歳)にとって、「自分探し」は非常に身近な言葉のひとつです。
わかりやすい使用例は「世界一周しながら自分探し」とか「しばらく休職して自分探し」などでしょうか。
うがった見方をすれば「逃げるときの言い訳」「自由を正当化できる便利な言葉」なんて印象がある言葉です。
そもそも、この言葉がよく使われ始めたのは1994年ごろからだそう。
以下は、朝日新聞の紙面で「自分探し」が使われた記事の本数の推移です。
僕は1994年生まれなので、「自分探し」とともに人生を歩んでいるといっても過言ではないですね…。
2004年ごろにピークを迎え、それ以後は使用回数が減ってはいるものの、1990年代〜2000年代に青春時代を過ごした方は嫌でも目にしていた言葉だと思います。
自分らしさの檻の中でもがいてる
いつの時代もそうですが、特に青年期にはいわゆる「アイデンティティの危機」に直面します。
自尊心が下がり、人生の目的を見失い、感傷的になり、不安におそわれていてもたってもいられなくなる… なんとなく思い当たる人もいますよね。
Mr. Childrenは、「自分探し」ブームの黎明期である1996年に、名曲『名もなき詩』で「自分らしさの檻」という言葉を使って、当時の人々の心理状態を表現しました。
この歌詞にもあるとおり、「自分らしさの檻」は「知らぬ間に(自分で)築いてた」ものなんですよね。
なのに、それに囚われてしまい「自分ってなんなんだっけ」「自分はなんのために生きているんだっけ」と考え込んでしまう。人間とは不思議なものです。
「自分なくし」のススメ
さあ、そんな「自分探し」をしてしまいがちな我々ですが、『星野源雑談集1』の中で、みうらじゅんさんは以下のように喝破しています。
「自分らしさ」は思い込みであり、実態はないこと。
「自分らしくないこと」をしてみることで、「自分らしさの檻」から自由になれること。
「自分らしさの檻」の中にいるときが、一番しんどいこと。
対談というリアルな場で、これだけシンプルでわかりやすい言葉で「自分なくし」の大切さについて語れることに驚くとともに、感銘を受けました。
そして、自分自身も最近「自分なくし」をした経験があったのだということに気づきました。
ここからはちょっとだけ自分の話をします。
人生で初めて、坊主にしてみた
今年の7月に起業するにあたり、これまでの怠惰な生活を卒業したいなと思って、自分の中でいろいろ新しいルールを作りました。
早寝・早起きをする
お酒を飲まない
週に3回以上は運動をする
坊主にする
特に「坊主にする」は人生で初めてのことで、男性の中ではどちらかというと髪が長いほうだった僕にとっては大きなチャレンジでした…。
なんで坊主にしたのかというと、遊びたくなったり、怠けたくなったりしたときに、坊主の自分を見て気を引き締められるからです。
(髪を洗ったり乾かしたりする時間を節約できて、それ以外のことに時間を使える、という嬉しいおまけもあります)
そんなこんなでもう半年以上、坊主生活を続けているのですが、これがいい「自分なくし」になっているのです。
坊主じゃなかったころは、自分の話をするのも、自分の感情を表現するのも、かなり苦手でした。
意味もなく自分の中にハードルを設けて「こんな話は面白くないんじゃないか」「自分の気持ちなんてどうでもいいんじゃないか」と思ってしまっていたんですね。
他人と距離を取って自分を守る、プライドみたいなものでしょうか。
でも、坊主にしたら「かっこつけたい」みたいな変なプライドがなくなり、吹っ切れて、自分の体験を人に共有したり、素直に感情を表現したりすることが抵抗なくできるようになりました。
勝手に作っていた「自分らしさの檻」を壊せたのではないかと思っています。
向いてないことをしてみる
そんなわけで、「向いてないことをしてみる」というのは、けっこう再現性の高い「自分なくし」の方法なのではないか、と実感しました。
さすがに、いきなり坊主にするのはなかなか難しいと思いますが…
1人では行けないと思っていた場所に行ってみるとか、苦手な人に会ってみるとか、普段だったら断る誘いに乗ってみるとか。そういうことから始めてみると、何か新しい気づきがあるかもしれません。
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