Ⅰ-1.プロ・アマ・"エリジブル"~各用語の解説
訪問ありがとうございます。フィギュアスケートを考えるnoteです。
この記事では、フィギュアスケート選手の呼称について書いています。
フィギュアスケート選手を『プロ選手』とは呼ばない
まず大前提としてここを知らない方は多いのではないでしょうか。
(自分も専アカ作るまで知りませんでした…。)
彼ら現役選手のことは、正式にはエリジブルと云うそうです。
“フィギュアスケートって「エリジブル」というプロとアマチュアの間みたいな立ち位置なんです。“
承前)NumberWeb 2018/12/04 10:30 プロになって4年の鈴木明子が語る。「今もフィギュアスケートに片思い中です」 より引用
それでは、『eligible』という単語を辞書で引いてみましょう。
eligibleは形容詞。『適格で』という意味です。
これをフィギュアスケート選手に当てはめると、『資格を持つ』という意味合いになるでしょう。
競技会に出場する資格があるスケーターということですね。
それではこの『エリジブル』、『プロ』や『アマチュア』とは何が違うのでしょう?
『プロ』とは何か
『プロ』という言葉は何の略称か知っていますか?
『プロフェッショナル<professional>』という言葉の略称です。
では、『professional』とはどんな意味でしょう?
『職業上の』『専門的な』という意味です。
では、『職業』とは何でしょう?
生計を立てるために日常従事する仕事のことです。
では、『プロフィギュアスケーター』とは何者なのか?
それは、フィギュアスケートを滑ることで生計が立つ人物を指すでしょう。
『プロ』ではない=『アマチュア』…ではない!
『プロ』の意味を理解したところで、プロフェッショナルの対義的な言葉であるアマチュアについて考えます。
一節目で提示した通り、フィギュアスケート選手をプロ選手とは呼ばない。
それではフィギュアスケート選手は、<amateur=愛好家>としての面のみしか持たないのか?
違いますよね。
フィギュアスケートの選手は、大きな国際大会で入賞すれば入賞賞金がもらえます。
すなわち、フィギュアスケート選手は、報酬を得ずにスポーツを愛好する者=アマチュア、ではないのです。賞金という益が出ますから。
しかし、大会の賞金が出たところで、選手を続けるための諸経費に比べれば微々たる金額です。それに、入賞すれば益が出るだけであり、入賞しなければ無益です。
フィギュアスケート選手は稼げない
フィギュアスケートの現役選手は、スポーツに日々を捧げながらも、競技で生計を立てることは難しいというパラドックスがある。
なぜか?
そもそも『選手』は稼ぎすぎないよう、国際スケート連盟(ISU)が決めているようなのです。
Constitution & General Regulations(2018版)中のPDF90ページ目。
Rule102という部分があります。そのうち1.Eligibility Status - c).項目内に、『ショーとかに出てもいいよ、各国の連盟の規程内でね』『このルールは資格(でた!eligible!)に影響するものではないよ』『出ることの制限もできないよ』(超訳)、という文章でホッとしたのも束の間、"They may share payments received by their Skaters for participation in such noncompetitive events in consideration of past and present support of such Skaters, but with no more than 10%."という一文があります。文が長い。『スケーターがショー等で受け取った報酬を"They"=連盟はシェアする(かもしれない)、サポートするために。ただし10%以上をシェアしてはいけない』(直訳気味)と。
つまり、稼ぎの1割を連盟に取られる(可能性がある)ということ。
プロフェッショナルとは、前述の通り、その専門性を生かして生計を立てる人です。
フィギュアスケートを滑って食べていくには、当然黒字でないといけません。
しかし、主要大会を主催するISUが上記のようなルールを設けている。
ISUの子団体である日本スケート連盟(JSF)も当然似たような規程を設けていて、
ショーに出演する、メディアに出演する。オリジナルグッズを販売する、クラウドファンディングを行う、、、
これらの活動について、日ス連に登録された選手=現役選手は管理をされています。事前に連盟に申請を通し、承認されなければ活動が行なえません(この規程ではメディア出演について言及)。
逆に言えば、副業や臨時収入の稼ぎが多すぎてうっかりISUルール違反になるのを防いでくれているとも言える…のかな…?
これらの縛り、『プロ』に転向すれば従う必要はなくなります。
しかし代わりに、スポーツを行う=競技会に出場することは叶いません。
スケートで稼ぎを得る『プロ』化したら、結果的に『選手』ではなくなってしまうのです。
一見ややこしいこのISUルールは、オリンピックの根本の理念である『アマチュアリズム』に端を発すると言われているようです。
2020年現在では削除されているその決まりは、オリンピックで採用されている競技それぞれ、別々の基準が設けられています。
スケート競技については、4年に1度のオリンピックに参加するためには『プロではなく、参加資格を持つ(エリジブル)者である必要がある』と、ISUが基準を決めている、ということなんですね。
『プロ』と『選手(エリジブル)』、『フィギュアスケーター』
連盟やオリンピックの話題も飛び出し、だんだんややこしくなってきました。
それでは、ここまでの情報を一旦まとめましょう。
*プロフィギュアスケーター・・・フィギュアスケートで食べているスケーター。『選手』は『プロ』にはならないよう、国際スケート連盟が決めている。
*フィギュアスケート選手・・・各種大会に出るための資格を持つスケーター(『エリジブル』)。大会ごとに必要な資格が違ったりする。
*プロフィギュアスケート選手・・・規程では『選手』と『プロ』は併用できないので、呼称としては間違っている。
*アマフィギュアスケート選手・・・間違いワードとは言い切れないが、一般の『アマチュア』が意味するところの“無益の愛好家”とは一線を画する。
*フィギュアスケーター・・・FigureSkater。直訳でフィギュアスケートをする人。全般を指すことができる言葉なので、一度でもフィギュアスケート靴を履いて壁とお友達になったり、這って進むしかできなかった人も含めた全員が「フィギュアスケーター」であると言えるかもしれない。知らんけど
締め・次回予告
さて、ここまでご理解いただけましたでしょうか?
実務英語に親しんだわけではないので拙訳した部分もあり、もし文章の読解が違っていたら申し訳有りません。(ご指摘いただければ幸いです💦)
あまり長くなりすぎても読みにくいと思いますので、この記事はそれぞれの言葉の意味をおさらいしたところで〆たいと思います。
同項目の次回記事、『Ⅰ-1.フィギュアスケートを取り巻く事情~するスポーツ、みるスポーツ』では、中体連&高体連、スポーツ庁(文部科学省)などの統計情報から、『プロ選手』という言葉が生まれる土壌を考えてみたいと思います。
(やっと「FSを考える」らしく!)
次回は数字などのまとめる項目が増え、筆者が難しい顔( ・ὢ・ )になっています…記事の作成までしばしお時間いただければ幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。 YC
今回参考にしたWebサイト
Weblio辞書>英和辞典 https://ejje.weblio.jp/
国際スケート連盟 https://www.isu.org/
Home > Inside ISU > Rules & Regulations > Constitution & Regulations https://www.isu.org/inside-isu/rules-regulations/isu-statutes-constitution-regulations-technical
日本スケート連盟 https://skatingjapan.or.jp/
日本スケート連盟サイト内検索より、PDFファイル直リンク)競技者資格規程 https://skatingjapan.or.jp/assets/file/jsf/04kyougisyasikaku_02.pdf
JOC - オリンピズム | オリンピズムってなんだろう 第5回 時代とともに変わるオリンピック憲章 - アマチュア選手、プロ選手 https://www.joc.or.jp/olympism/education/20090402.html