冗長化電源によるサーバ群(データセンター)への給電設計
電源冗長化とは
冗長電源(UPS:無停電電源)とは、複数の電源を並列接続して、データセンターの稼働を停止させないことを目的とした予備電源です。さらに、人為的ミス、機器のハードウェア的故障、配線トラブルなどの場合に、「N+1冗長電源」と「1+1冗長電源」のような高い安定性をもつ冗長化構成が用いられます。
1+1冗長電源
1+1冗長電源とは、複数の同じ電源ユニットを並列接続する冗長構成です。各電源ユニットに電源ケーブルを用意して独立給電を図ります。
N+1冗長電源
N+1冗長電源では、必要な電力供給を複数台(N)の電源に分担させ、残りの電源1台を冗長電源とした冗長構成です。コストが1+1冗長電源より比較的に安価な一方、耐障害性は劣る。
例えば、下記の図に示すように:4台の電源ユニットで給電する場合に、電源ユニット1台が故障しても正常稼働できます。
しかし、もともと待機であった電源を起動する間に、2台だけで電力供給しなければならない場合、3200Wしか給電できなくて電力不足によるシステムダウンが発生しかねません。
ネットワーク拡張を見込んだ電源設計のポイント
電源容量の上限を超えたら、給電システムは過負荷に陥り運転できなくなります。それを防ぐために適切な電源設計が必要で、機器の導入に応じた検証を行います。
増設に伴う給電の過負荷
ラックマウントPDU(許容最大電流20A程度)が1個ついている場合に、サーバー3台だけを実装すれば問題なく稼働しますが。サーバーの稼働状態によって電力消費も異なります。特にフル稼働状態のサーバー群、給電システム(電源タップ)は過負荷になりやすく、分岐ブレーカがトリップするかもしれません。
デュアル(二重化)給電でも過負荷が起きる
AとB電源から電力供給する場合、B電源だけでも必要な電力を供給できる容量と性能を計画しておく必要があります。正常稼働なら問題なしだけれども、1つの電源がダウンすれば全ての負担はB電源に転嫁されてしまい、
B電源が過負荷になり、システムダウンを引き起こします。そのため、片方の給電負担を50%以下に抑える必要が出てきます。
最大20Aの電力供給を行う電源タップは故障にあった場合、片方でそれ以上の電力を供給しなけれならない恐れがあります。そのため、障害発生を事前に想定してピーク電流を超えないように対策を講じる必要が出てきます。