救助ヘリ

第3話 : 「みんなは無事か?」

13日未明、千曲川が決壊したという知らせが入った。

決壊ポイントは農園からほど近いところにあり、農園のある赤沼も浸水が進んでいた。
農園はすでに、事務所や倉庫、そして畑も水没しているという情報が入ってきていた。

スタッフはみんな無事だろうか...?
農園の近くにあった高齢者福祉施設が孤立し、自衛隊の救助を待っているという情報もある。

あの地域は高齢の住民も多い。
避難準備や移動が自由にできないだけでなく、携帯やインターネットなどを使ったことがない人達に、避難情報は十分に伝わっているのだろうか...。

なかには、インターネットはおろかテレビや新聞なども毎日チェックできていないお年寄りもいるだろうし、避難を手伝ってくれる家族がいない人はどうしてるのだろうか...?

自衛隊による空やボートを使った救助活動は日が暮れるまで続けられた。
身内や知人の安否も分からない不安が頭と気持ちに暗い影を落とす。

それでも、ただただ不安に飲まれるわけにはいかない。

りんごを買ってくれたお客様に向けて、農園の現状と、当面の発送停止、販売中の商品の停止をすぐに知らせなければならない。

「何かしていなければ」という気持ちに突き動かされるように働き続けた。

決壊発生直後からの千曲川での仮堤防の構築作業、ポンプ車による水抜き作業のおかげで、ようやく農園から水が引きはじめたのは14日になってからだった。

次回は「手伝いに行くよ!!」へつづく

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