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「スキ」を採用したいハナシ
ゲーム系のグラフィックス制作会社は例年12月頃まで、新卒募集をしている事が多い。
これは学生さん達がデザインポートフォリオを準備するのが、夏休み以降になる事が多いからなのだが、気づけば2020年もそんな時期になったんだなと。
この時期になると、社内外から「採用基準ってどんな感じですか?」的な質問をされる機会が多く、決まって「しっかりと好きなモノ/コトがあるデザイナーです。」と答えている。
一般的にグラフィックデザイナーの採用は一にも二にもポートフォリオの出来不出来による所が大きく、中身はよっぽどひどくない限り問題になることは少ない気がする。
でも、ウチではそうではない。
もちろんポートフォリオは大事な要素のひとつだが、
基礎力をみる以上の加点はしないよう心掛けている。
ここで基礎力を見ているのは、どんな人でも、最低限仕事についてこれるスキルが足りていないと、「自分は役に立てていないのはないか?」と、ポッキリと折れてしまう事があるからである。
それでは、なぜこんなに「スキ」を重宝がるのか?
まず、働くという行為は「仕事」と「労働」にわかれると思っている。
各々に従事する人を「クリエイター」と「ワーカー」と呼ぶことにする。
クリエイターは
「誰かのニーズを満たす為、自分の持てる価値を提供出来る人」であり、
ワーカーは、
「主に収入を目的に体力/知力を駆使して働く人」である。
結論から書いてしまうと、ウチでは「クリエイター」採用したいと考えているから、「スキ」があるデザイナーを採用したいと思っている。
ワーカーではきっと感動体験は作れないし、何よりもこの機能均一化した(クオリティに大差ない)世界では、今の生活水準を守りながら働き続けることさえ出来ないと思う。
ただ労働するだけで、高い価値を生むことなんてありえない。
もしあったとしても、それは一時的なニーズの高まりによるもので、すぐにそうでなくなるのは明白なのでは。。。
まず株式会社キャラバンズのミッションは「感動体験をデザインする(提供する)」という事で、提供するものは、CGデザイン素材ではなく、それを見た、受け取ったクライアント/ユーザーの”心を動かす体験そのもの”である。
つまり、「このデザインいいですね!」「やっぱり御社に頼んで良かったです!」「思ってたよりずっと良い!」と感じて頂ける体験を提供している。
これが自分たちの武器であり、(今のところ)未来を切り開いてくれるツールである。
◆楽しく働く。
しっかりとした「スキ」がある人は、やはりその「スキ」をベースに仕事や会社をチョイスしているので、仕事を楽しめる確率が高い。
(法人格との相性が良い可能性が高いと言ってもいいかも。)
周りからみても、楽しそうに働いている人間を見ているのは気持ちがよい。
これはクライアント側からみても、きっと気持ちが良いことのはずで、
ただ単純に納品物だけを黙黙と制作されるよりも、自分が関わった作品を楽しんで一所懸命制作してくれる人間とつくりたいはずだ。
そもそもただ作るコトは、遠くない未来に自動化の波にさらわれてしまうだろうが。。。
あと、楽しく働いている人間には色々と教えてあげたくなるし、
情報もあつまるだろう。
しっかりとした「スキ」がある人は、もちろん自分が作るものにもこだわりがあるので、しっかりとハンドリングしてあげれば、細部まで気を配った、クオリティの高いデザイン制作物をつくりあげてくれる。
あと、彼ら(彼女ら)は「スキなモノ」をベースにコミュニケーションを取ることが多く、決して上手ではないが、先輩デザイナー達と密な盛り上がりを見せる人間が多いように感じる。
結果として、チームに打ち解けるスピードも早い。
スキな事がある人間は、インプット量が多い。
偏ってしまわなければ、これはチームにとって非常に貴重なことだと思う。
驚くべき行動力(考察力)で、到底自分では思いつかない体験や価値を
共有してくれることが数多く存在するからである。
少なくとも、自分は会社帰りに2.5次元イベントに行こうと思えないし、
サイリウムの良し悪しの知識なんて、決してたどり着くことは出来ない。
でも、いろんな体験を共有してもらえると、知見が深まるだけでなく、
なんだか自分もインプット量を増やしたくなるのはなぜだろう?
ここまでくると「好きなものがしっかりとしている。」事が「仕事を楽しめる。」ことへと繋がり、「感動体験を提供する。」事が出来るようになる
という道筋が、なんとなく見えてきたのではないかと思う。
さあ、今年はどんな才能と出会えるのか、
そしてその新しい出会いが、会社をどのように変えていくのか?
本当に楽しみな季節になってきた。
それでは良い一日を☀