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「ゼロギャンブル宣言」とは何だったのか (副題: Mリーグはギャンブル推進機構である)


Mリーグ発足時の「宣言」

2018年にMリーグが発足した時、世間一般の麻雀に対するイメージの変革、「負のイメージ」の払拭のために掲げた使命の一つとして「ゼロギャンブル」を宣言した。

Mリーグは、参加する選手に違法賭博との決別を課し、プロ団体をはじめとする麻雀界や関係企業等と密に協力しながら、麻雀に対する負のイメージを払拭し、娯楽・競技としての地位向上に努めます。

Mリーグの活動目的

やはりまだ麻雀がギャンブルと強く関わっている印象が強い中で、Mリーグのこの宣言は大きな意味を持つものだ。

Mリーガーに直接関係するところとしては、レートがある雀荘での勤務ができなくなる等である。

クリーンなイメージは浸透してきたか

何事においても、すでに物事に対して自分の見解や印象などを持っている人よりも、何も知らない人の方がイメージの変革を受け入れやすいことは自明であろう。麻雀で言うと、若い世代は後者で麻雀に対してのイメージをまだ確立していない人が多く、それより上の世代はいわゆる「負のイメージ」に近い印象を持っている人が多いだろう。

若い世代に関して言えばかなり麻雀というのは競技性があるマインドスポーツとして認識されていると言えるだろう。少なくとも即座に「麻雀」と「ギャンブル」を結びつけることはしないだろう。
上の世代に関して言っても、かなり意識が変わっているはずだろう。より身近になっているのではないか。

これらが「ゼロギャンブル宣言」からきているのか、それともMリーグそのもののおかげなのか考える必要がある。つまり、Mリーグという舞台で「ゼロギャンブル宣言」を初年度に行ったことが大きく影響しているのか、それとも継続的にアツいリーグ戦を繰り広げていることの方が影響しているのか、ということである。

麻雀ではないギャンブル

基本的に「麻雀ではないギャンブル」というと、競馬・競輪・競艇などの「公営競技」とパチンコ・パチスロの「遊技」の二つに大別できるだろう。

Mリーグの「ゼロギャンブル宣言」は麻雀を用いての賭博行為についての宣言である一方、麻雀ではないその他のギャンブルについては(今のところ)扱っていないことになっている。そのため、Mリーガーであっても競馬やパチンコのお仕事は受けている。

今回このテーマについて書こうと思ったのはKONAMIから新しく出るパチスロ機に直接Mリーグへの言及があるからである。

麻雀も競馬もパチンコもぜ〜んぶ同じギャンブル

麻雀格闘倶楽部覚醒のスペック表

件のパチスロ機のスペック表だが、目指すモードの名前が「究局Mリーグ」である。これは流石にまずいだろう。Mリーガーのみならず、麻雀プロは公営ギャンブルやパチンコを趣味とする人も多く、麻雀業界についてある程度知っているファンならそこまで過敏に反応することもないだろうが、世間一般にしたら公営ギャンブルやパチンコは麻雀以上に印象が悪く「絶対悪」のように扱われている。

2020年春にコロナが流行り出した時、別に他の人と話すわけでもなく黙々と台に向かってパチンコを打つだけのパチンコ店に真っ先に批判の矛先が向き、通常営業するだけで店名公開されたことを考えればどれほど嫌われているかわかるだろう。しかもタバコを吸う人が多いからパチンコ店の空気清浄・換気機能はそこらの施設よりも良いのに、である。

そんなパチスロ機に「ゼロギャンブル宣言」をしているMリーグが登場する協力ぶりを見ると、一般の方はこの宣言を「偽善」と思ってもおかしくはない。
確かに「麻雀」は「競馬」と違うし「パチンコ」とも違うが、普通に人は全て「ギャンブル」と考えているからである。ギャンブル要素があるものは全て「ギャンブル」というモノになるわけである。ギャンブルによって人生が狂う・狂わされた人は多くいるし、そうなりたくない人もほとんどなので、この考え方は普通である。

この感覚を共有できなければ麻雀の「負のイメージ」の払拭は永久に叶わない。

ギャンブラーはクズ、 プロ雀士もクズ

いくら麻雀自体のイメージはクリーンになっても、麻雀を打っている人がギャンブルをしていると、「やっぱり麻雀をする人ってギャンブルが好きな人が多いよね」となってしまう。だらしない、いわば「クズ」が麻雀打ちには多いというイメージの払拭も同時に行わなければならないわけである。

麻雀というゲームはギャンブル。麻雀打つ人はギャンブル好き。

このダブルマイナスを払拭しようとしている時に、麻雀以外のギャンブルとの関わりを積極的に持つようでは進展しない。

プロ雀士の趣味はコントロールできないため、「趣味欄に『競馬』と書いてはダメ」というわけではない。究極的には「競馬の仕事をしなくても、パチンコの案件をやらなくても食べていける環境を麻雀界で整備する」ことが必要だろう。それは同時に「麻雀界の社会的地位(格)を上げていく」ことにつながるし、そうするために活動することが求められる。

追記: 麻雀の仕事だけで十分すぎる生活ができるプロ雀士でも積極的に他のギャンブルの仕事を受けることもある、という可能性を考慮していなかった。その場合は、やはりどうしようもないのではないか。結局麻雀を打つ人は「仕事がないから」などと言い訳もできずに他のギャンブルも嗜むような人が多いということを証明してまっている。

全てを同時進行すること

  • 麻雀はギャンブルではないというイメージ改革

  • ギャンブルは「お金を賭けること」そのものであるという事実の周知

  • 麻雀界隈は他の競技と同じ程度の高い格式を有している

  • 一般人・一般企業が積極的に参加できる

これらをすることが本当の「負のイメージ」の払拭だろう。
私はセガサミーフェニックスを応援しているが、それはあくまでチームとしてである。いまだにスポンサー企業であるセガサミーに対しては複雑な気持ちである(特にサミーサイド)。チームスポンサーにオッズパーク(公営ギャンブル)と日本アミューズメント放送(パチンコ)がいることは快く思っていない。やはり先に述べた「麻雀もギャンブル」と括られてしまうからである。

クリーンなイメージは浸透してきた。イメージの革命はまだ起きない。

一つ上の次元のイメージ改革をするのはまさにイマである。Mリーグも6年目に突入し段々と「歴史」と言えるものもできてきた。麻雀に触れている層に対して「麻雀はクリーン」というイメージを浸透させる役割は十分にできている。

ここから、麻雀を知らない層・麻雀を快く思っていない層・麻雀を嫌っている層に対して「麻雀はクリーンで素晴らしいマインドスポーツ」というイメージの革命を起こすためには、次やるべきことはもう、明確であろう。

追記: スキマ時間にギャンブルしたい

2023-24シーズンからかなりCMの数が増えたが、中でも顕著に目立つCMはWINTICKETという、スマホやネットから公営競技(意: ギャンブル)に投票(意: 賭ける)ことができるサービスだ。

渋谷ABEMASの多井選手もCMに起用され、Mリーグの視聴者は麻雀のスキマ時間に競輪したいと潜在的に刷り込まれているだろう。

もはや当時の崇高な理念のかけらもない。

いくら運営費やスポンサーが必要といえどもここまで露骨にやるかね、しかし。

その上、現役Mリーガーも直接CMに出演するとなるといよいよ今までの努力が全て水の泡となってしまうのではないか。これから新規でMリーグを見てくれる視聴者は麻雀は賭博と確信を持ってしまうだろう。

これから競技麻雀はどこを目指すのか。


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