不死鳥は瞬く間に生まれ変わる
1年ぶり2回目のショック
私はセガサミーフェニックスを応援し始めたのが2021-22なので、それ以前のフェニックスはわかりません。でも、何かとフェニックスの契約更改・満了はMリーグを騒がせてきたと思います。
2023年5月にチームの大黒柱であり当時リーグ内最年長だった近藤誠一選手が体調不良を理由に勇退すると発表してフェニックスサポーターのみならず他チームのサポーター、はたまた他チームの選手まで驚きを隠せない様子がTwitterで見られ、さらにMリーグ初となった選手経験があるチーム監督に就任となって、大きな動揺と期待を呼びました。新たに醍醐大をチームに迎えて、今までの4人+醍醐選手という半新体制のような感じで今季を戦ってくれました。
そして2024年6月、Mリーグ初となる初年度ドラフト1位選手の退団が2度目の衝撃を呼びました。魚谷選手と東城選手が同時に契約満了と発表されました。魚谷選手はドラ1でチーム創設時から活躍してMVP経験もあって女流プロ最強と名高く、東城選手も加入3年でチームに馴染みムードメーカーでチームを鼓舞して、見ていて清々しい麻雀を打っていました。そんなチームの顔とも言える2人が同時に退団することが決まり、チーム通算3度目の入れ替えでセガサミーフェニックスは第2章に突入することとなると思います。
新しくユニフォームを着るのは誰か
今季、セガサミーフェニックス以外の8チームは既存選手との契約更改が発表されたため、7月に行われると思われるドラフト会議ではフェニックスが自由にプロを男女問わず2名指名することができます。
男性プロ最有力候補はおそらく竹内元太プロ(最高位戦)ではないでしょうか。最高位2連覇中でMトーナメントへの推薦もあります。昨季のドラフトで醍醐選手でなかったら竹内プロが次点候補ではと言われていたほどだったからです。
女性プロでは個人的に小宮悠プロ(最高位戦)が有力なのではないかと思います。Mトーナメントでも実況を担当する回もあり、実力人気も十分使命を考慮する程度あるのではないかと考えます。
しかし、魚谷選手と東城選手の実力と人気を完全に穴埋めできるとは到底思えません。それほどまでに両選手はMリーグに馴染んでいたので、最適な使命ができても6、7割程度の穴埋めにしかならないのではないでしょうか。少なくとも、そう思わせるほど今回の発表は動揺を誘いました。しばらくは多くの人は納得できないのではないでしょうか。
オトナの事情・・・?
実は、近藤監督はTwitterで「誠一さんは人事に関わりましたか?」という質問に対して「いいえ」、「最高位だけ残すのは監督が最高位の副代表だからか?」に対して「監督は蚊帳の外ですね」、「(今回の契約内容について)これ近藤誠一の采配だったりするんか?」に対して「ない」と返信されています。
察するに、今回の契約更改・満了は近藤誠一監督の意向とは反するものなのではないかと思います。近藤監督は選手として、そして監督としてセガサミーフェニックスというチームを一番近くで見てきて、現体制の4選手と共に戦ってきた上で、魚谷選手・東城選手を放出するべきではないとのお考えなのではないかと思います。過去にもフェニックスの体制について、「連盟2 最高位戦2で良いバランスだとおもう」という旨の考えを明かしています(ソースがありません・・・!)。
ここで、Twitter上で憶測されているのは、「スポンサーの意向」です(6月10日現在)。実は、セガサミーが開発する『セガNET麻雀 MJ』と最高位戦がスポンサー契約を結び、2024年6月より支援が始まるとすでに発表されています。
連盟所属の魚谷選手・東城選手を放出して、チーム4選手を最高位戦所属で統一する方針になったのではないかというのが大方の憶測で、私としてもこの理由以外には考えられないと思っています。それほどまでに今回の発表は青天の霹靂だったと思います。
ここに関しては、セガサミー社の担当者から詳細な説明がなければ納得もできませんし、チームに対しての不信感が拭えません。スポンサーの意向で選手の所属団体を統一することに対してではなく、なぜ今になって方針転換をしたのか、ここに納得のできる説明を求めます。もし今季フェニックスの成績が良かったら、もし優勝したらどうしたのか。方針に則ってチームの半分を入れ替えるつもりだったのだろうか。
納得がいかないのは上記の理由もありますが、2年連続で最下位に対しての入れ替えではないから、ということもあります。チームの戦力を補強する、そのために誰を入れ替えるか、ということを検討する上で魚谷選手を挙げることはまずないと思います。4選手の中から選ぶことは非常に難しいですが、魚谷選手はチームの最後の砦のような選手だと思います。戦力を手放して戦力を補強するのはあまりにもトリッキーな人事ではないでしょうか。
チームか選手か、再び
この件について、昨年近藤誠一選手が勇退を発表した際に一度書きましたが、改めて考えたいと思います。
Mリーグの特性上、チームカラーというものはチームを構成する4選手に大きく影響されるものだと思います。Mリーグは確実に歴史を刻んでいますが、チームカラーを確立するほどの歴史があるかと問われれば、そうではないと思います。言えばチームの「人格」はまだ選手のそれと独立して存在している状況ではまだないのです。
今回のフェニックスと似た境遇だったのはU-NEXT Piratesではないでしょうか。創設期メンバー3選手(小林選手・朝倉選手・石橋選手)と追加枠として瑞原選手のチームが、入れ替えレギュレーションが適用され解体されました。朝倉選手・石橋選手を鈴木選手・仲林選手と入れ替え、オリジナルメンバーの小林選手を1人残し「シン・パイレーツ」として再出航していました。しかし、本当の意味で「シン」と名乗れるのかどうか、今振り返ってみると疑問に思います。チームの半分を入れ替えましたが、「船長」と呼ばれているドラ1でチームの柱小林選手と、追加枠ながら紅一点でチームの顔として定着した瑞原選手を残したパイレーツは新生チームというよりパワーアップだったと思います。
フェニックスはどうでしょうか。昨年大黒柱たる近藤選手が監督となり、強力な後ろ盾を得たチームとなりました。しかし今回の入れ替えで、監督ながら麻雀を打つことができない近藤監督と、ドラ1で近藤選手が退いた後チームを引っ張り、麻雀に誠心誠意打ち込んでいた魚谷選手、チームの雰囲気を保ち切り込み隊長のような役割だった東城選手がいなくなりました。来季のフェニックスは「パワーアップ」ではなく正真正銘「第2章」なのです。
パイレーツ、フェニックス両チームに置いて、去った選手と残された選手の優劣をつける意味合いはありません。しかし、4選手しかいないチームでの入れ替えの影響は計り知れないのです。
新生フェニックスへの不安
チームを引っ張っていた魚谷選手が去ることで、チームを引っ張る選手が必要になります。新しく加入する2選手はMリーグという魔境ではルーキーで、学ぶことが多いでしょう。醍醐選手は2年目になりますが、昨季はMリーグの環境への適応に手こずっている印象で、この2年目に真価を発揮できるかが問われるはずです。創設期メンバーの茅森選手はリーダータイプではなく、自由に麻雀を打つタイプで、やはり引っ張っていくのかは疑問です。1番の適任は近藤監督でしょうが、体調の面もあって現地へ行く機会は少ないでしょうし、難しいところです。
魚谷選手と東城選手の今後
そもそも私はMリーグとセガサミーフェニックスを通して競技麻雀の世界に(視聴者として)誘われました。近藤監督、茅森選手と共にに魚谷選手・東城選手は私が最初に応援したいと思ったプロ雀士です。これからも必ず応援します。
そして、両選手は実力と人気は申し分ないので、近いうちに、既存のチーム、あるいは新規参入チームで再びMリーグに殴り込みに来るはずと信じています。
「あなたを信じてあなたに託す。」
今の気持ちを包み隠さず言うと、去年以上にセガサミーフェニックスを引き続き応援できるか分かりません。むしろ、ドラフトまで、そして開幕するまではいわゆる「無所属」としてMリーグに視聴者として関わらざるを得ないと思っています。
やはり、「応援する選手がたまたま集まっていたから、そのチームも応援する」というスタンスで応援することは非常に大事なのではないかと改めて感じています。しかし、願うならば、セガサミーフェニックスと、今までの、そしてこれからの選手に対しては、ああ思いたいのです。
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