エキマトペを見てきた
2021年の夏ごろにツイッターで試作を拝見してからずっと見てみたかったエキマトペ、ようやく先日お目にかかることができました。
上野駅に長期間実証実験として設置されるとは知っていたものの、上野駅そのものに用事が無かったり、そもそも割と予定が詰まってしまっていたり、出不精なのでそのためだけに家を出るのはなかなか気合のいるものです。
常設ではない、と分かってはいましたが撤去されるのはまだまだ先だろうと油断していると12/14で終了だとこれまたツイッターで情報を入手し、そろそろ行かにゃならんなと。
そして上野駅へ向かう途中、補聴器の「電源切れそうだよアラーム」が鳴りました。普段は補聴器で周囲の音が聞こえている状態で生活をしていますが、これはある意味一番いい状態でエキマトペを楽しむことができるのではないか、とあえて電池を変えないことに。
まず人の声が遮断されます。そうすると大きい音だけが私の耳に届くので、意外とアナウンスは男性女性どちらの声も認識することができました。
乗継案内と必死ににらめっこしながらだったのである程度何を発信しているのかが聞き取れたきがしますが、何もない状態だと絶対に無理だと思います。
そしてついに上野駅に到着、エキマトペと対面することが叶いました。
まず後ろ側に表示されている「エキマトペ」のロゴですが、あれフォントがめちゃくちゃかっこいいですよね。アトムとか、あの時代の漫画とかアニメっぽくてワクワクします。
福祉に付随するデザインって無機質だったり逆にほわっと温かみがあったり、というのが多いと思います、私が世間知らずなだけかもしれませんが。
でもエキマトペは文字が尖って曲がって大きさもバラバラです。
それが難聴者だけに向けたもの、という印象を受けず、惹かれた部分でした。
そして何度もスマホの小さな画面で見ていた電車やアナウンス開始の鐘の音が文字として表示されているのを見てこれが本物のエキマトペか~と感動。
ほとんど音に対して表示されていく文字に遅れもなく、すごい精度でした。
そこで実感しましたが、ガタンゴトンという音は意識していないとあまり聞こえておらず、キキーッも危ういようです。エキマトペをじーっと見ていてようやく電車が来たことに気付きました。
また上野駅のようにホームがいくつもある大きな駅って常に何かしらの案内がされていてどこからか電車が来て、音の遠近感が分からない私は補聴器をつけていても電車の音がするたびにキョロキョロと見まわして確認してしまいます。
そういったときに分かりやすい情報が視覚で得られるのは聴こえづらい人間にとって安心感がある。ホームドアの前に立ってからもずっと首を後ろに向けてエキマトペを見てしまいました。
オノマトペで表現されることで駅の風景がより立体的になり、それだけでその場の過ごしやすさが格段に上がると思うのでエキマトペが将来的に常設されると嬉しい。
エキマトペが出来たことによって聴こえない人たちが聴きとれていないことが可視化されたので、そういう意味でもすごく意義があるというと偉そうだけど、でもそう思います。
ちょっと気になったのは臨時アナウンスはどうなるんだろうということ。
電車が遅れるとか乗り換えがどうとかって私はいつも聞き逃して詰むので。
どこかで明言されていたらすみません。
これはエキマトペの話とはずれるけど、帰り道にまだ補聴器の電池を交換していなかったのですが、なんか事故とかで遅れたらどうしよう、ととても不安になったので電車の中でのそういった案内が今後増えるといいなと期待しています。正直補聴器つけててもアナウンスはだいたい聞き逃すので本当に案内表示が欲しい。
エキマトペを見たことにより、補聴器をつけているとある程度は支障ない中軽度難聴の私も音への造詣が深まったし視覚情報は必要だということが改めて分かりました。
このようなワクワクと、でも真面目に考えさせられる企画を作ってくれた方々、ありがとうございます。今後のご活躍も期待しております。
これは余談ですが、エキマトペを見に行く前に新宿駅のみどりの窓口で乗車券を購入するため列に並んでいました。
これは事前に考えもしなかった私のミスですが、日曜日の夕方で移動される方が多く窓口が大変混雑していたのです。特に急ぎでは無いので混雑していたことは全く問題ではなくて。
いざ自分が待機列の一番前になり呼ばれたような気もしましたが、確信が持てず、でもやっぱり呼ばれている気がしてそっちの方を向いて目を凝らすと手をあげてらっしゃる駅員さんが人の間に見え、「呼ばれてるよ」と手で合図をしてくれた後ろに待っているお客さんのおかげでようやく動き出せました。
あれだけ混雑しているともちろんざわざわしているし人も多いので手をあげていただいてても見えづらい、呼ばれたとしてもかもしれない程度の認識で一番端のお客さんが立っているかどうかも見えないブースに移動することは難しかったです。
券売機もまあまあ混雑していたので何とも言えませんが、窓口にわざわざ足を運ぶ方って私のような手帳を持っている人か、券売機が使いづらい高齢者の割合も多いと思います。
もちろん筆談対応の案内も存じていますがそういうことじゃなくて、〇番ブースまでお越しくださいって言うならその番号を点滅させるとか案内表示を置くとか係の方をつけるとか、そういった対応が必用じゃないのかなあ。
今すぐデジタルじゃなくても大きめの案内板を頭上にあげてくれるだけでも違うのにな……最近デジタルの番号案内表示とか集団接種の細かい案内に慣れていたからオロオロしちゃったな、というお話でした。
最後愚痴みたいになってしまったけど、大人になるまではこういう不便を不便と思うこともできない子どもだったので成長です。
これから大人になる子どもたちのためにも自分の生きづらさは生きやすさに変えていきたいしそのために嘆くだけじゃなくて何か行動に移せたらめちゃくちゃ偉くなっちゃうな、いつかそうできるようになりたいですね。