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本を所有するということ
最近はもっぱら積読しかしていないが、小説は「本」という紙媒体の方が好きだ。だが世間的には、収納場所の制限や携帯の利便性から電子書籍が浸透して久しい。
個人的に好きな十二国記はその電子書籍化がファンからは切望されているが、著者の小野不由美先生の意向か、いまのところ電子書籍化される予定はないよう(2020.12.12 に公式サイトから以下文面が発表されていたが、2024.12現在でもそうだと思われる)。
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十二国記をもっと広く多くの人に知ってもらいたいな、という勝手なファン目線からは、非電子化は残念だと思う反面、「本」という媒体の貴重さやありがたさがそのうち更に顕著になるのでは、とも思ったりする。
というのも、ご存知の方も多いかと思うが、電子書籍はほとんどのプラットフォームにおいて、購入した作品を「所有」しているわけではない。電子書籍プラットフォームの最大手であるKindleストアの利用規約で、コンテンツはあくまでもライセンスが提供されるだけであって、所有権を得るわけではない。
こちらの記事が分かりやすく説明してくれているが、購入した個人にとって電子書籍では「利用権」(閲覧権)、紙の本は「所有権」がある。
電子書籍の場合、リスクとしては利用しているサービスが、その利用者が規約に反していると判じた場合、それまで購入した作品などの利用停止(アカウント停止)を行うことができたり、そのサービス自体が終了してしまうと、同じくそれまで購入した作品へのアクセスができなくなるということが生じる。
紙媒体の本も火事や災害などで全損することはあるから、どちらが悪いとは言い難いのかもしれない。
ただ、個人的な懸念として、今後紙媒体の本の縮小が進んで、作品が電子化のみでの発表となった場合、その出版社なりサービスなりが公開停止とした場合、その作品を閲覧する可能性がゼロになってしまう、という可能性がある。実際、漫画などでその作品の人気の関係で、途中から紙媒体での発刊がされず、電子化のみ、という事態は発生している。
紙の本でも絶版というのはあるが、一度でも紙媒体で発刊されれば、古本などで入手できる可能性はゼロではない。
そう考えると、紙の本を選ぶ、ということはその作品を世の中に長期的に残すという意味では意義があるようにも思えてくる。
電子書籍への見識が浅いので、杞憂にすぎないかもしれない。将来、紙の本が発刊されなくなって、紙の本が欲しいのに、といった今と逆の時代がこなければよいなと願わずにはいられない……。
ちょっとした個人的な疑問ともやもや…
十二国記の非電子化とされている一方、十二国記を「自炊」する業者(利用者から送られた書籍を裁断し、スキャナーによりデジタルデータ化し、そのデータを利用者に提供する業者)は禁止されていない。違法と判じられた事例もあるようなので基本的にはダメなことだと思われます。
ですが、自炊業界ではスキャン対応不可としていない作家・団体でなければ良しとされているよう。
小野先生自体こちらを知らないのかもしれないが、電子化は不可で業者委託の自炊化はOKなのか、というやや一貫していない対応に疑問と複雑な心境が残る……という感じです。
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