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【Q1.二〇二三年三月一八日開業の新駅を巡る】6.イオンモール盛岡にて

(前回の記事はこちらです)

 雫石行きの田沢湖線は、奥羽山脈に向かって真っ直ぐ西に去って行く。

 前潟駅もまた、イオングループの請願と出資によって造られた「請願駅」だという。ホームから既に、イオンの建造物が見えている。
 無人駅だ。駅舎内には待合室と、車椅子やベビーカーのための長いスロープが設けられている。傾斜を緩くするために、駅舎内を横に長く伸びて折り返し、床面積のかなりの部分を占めている。バリアフリーに最大限に配慮し、スペースと予算とを費やした設計は、令和時代の新駅であることを感じさせる。


 イオンの建造物自体は駅と近接しているものの、歩行者用の入口は、反対側の国道沿いにある。歩く。車道を挟んだイオンの反対側には、自動車用品店のイエローハットがある。


 入る。お馴染みのテナント群が客を迎える。著しく空腹だ。まだ昼飯を食べてない。ここもまた、いつもの見慣れた店舗ばかりのフードコート。その中に一店、じゃじゃ麺専門店があるのを発見する。「盛岡じゃじゃ麺 HOTJaJa」、岩手県まで来て、これを選ばない選択肢は無い。メニューの中で、最もスタンダード、最も普通っぽいじゃじゃ麺を注文する。

 平日のためか、フードコート内はさほど混んでいない。若い主婦のグループが雑談をしている。これもまた、日本全国に遍在する風景だ。呼び出し機のブザーが鳴る。この音も、全国共通なのではないかと思う。


 食べ方を良く知らないので、店舗前にあった調味料を片っ端から少しずつかけ、雑にかき混ぜて食べる。これで良いのかどうか分からないが、旨い。腹が減っているので、何を喰っても旨く感じる。
 麺を喰い終わった後の皿に玉子を落としてカウンターに持っていくと、スープを入れて、かきたまスープを作ってくれる。チータンタンと言う、定番の食べ方とのことだ。これも旨い。

 遅い昼食を終え、建物内を散歩する。ゲームコーナーにあるゲーム機類は、もちろん全国共通だ。壁や柱の至る所に、パステルカラーでカプコンのロゴが書かれている。 

 屋上は駐車場だ。それほど車は入っていない。柵に遮られて近景は良く見えないが、遠く四方を山に囲まれている。盛岡は、北上盆地に所在する内陸都市であることが良く分かる。文学史上に名を刻む歌人や詩人を輩出した土地であるという予備知識が作用して、この盆地の空や雲からは、やはり清新な印象を受ける。岩手山が北側に自己主張をしている。しばらく写真や動画を撮る。


 食品売り場で、爽健美茶を買う。幕張豊砂で買ったものより、大き目のボトルだ。

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青条
詩的散文・物語性の無い散文を創作・公開しています。何か心に残るものがありましたら、サポート頂けると嬉しいです。