
手間が減るとどうなるか
今週の競馬界のトピックで面白いと思ったのが「netkeiba」で新しく搭載されるマスターコースで見ることが出来る「個別ラップ」。これまでJRAはレースラップ(先頭の馬が通過したタイムが基準)と上がり3ハロンは公表してくれていましたが、1頭ずつのラップタイムはわかりませんでした。それを見られるようになったというわけです。
これはラップをファクターとして予想していた人にとっては痛し痒しといったところでしょう。手作業でラップを算出する手間が省けるのがメリットで、誰にでも見られる数字になるということがデメリット。数字に表れるということは基本的にはライバルが増えるだけで予想ファクターとしての価値は下がります。
このあたりはパチスロの店選びにも通じる部分があります。今でこそ、簡単にホールデータにアクセス出来ますし、もっとすごいビッグデータになると日単位、月単位、年単位で差枚数が分かるホールもあります。そこで差枚数がプラスと公表されているホールは確かに設定状況がいいのかもしれませんが、誰にもわかる分、逆にライバルが増えるということになります。
パチスロが一番勝てた25年位前はネットがあまり普及していなかったので、ホール状況を確認するには実際に足を運ぶしかない時代。最も差が付くデータは閉店時に転がっていて「閉店時のゲーム数」「出目」はいつもチェックしていました。あの時はガラケーの画面を見ないでも数字入力出来ていましたね。閉店時のデータをどれだけ持っているかが勝ち負けに直結していたので、そういうスキルは勝手についていったんです。データ量が勝負を左右するのは今も昔も変わりませんが、この「手間」が勝ちへの近道だとすると今はその差がほとんどなくなってきているといっても過言じゃありません。
競馬…予想ファクターが充実してきてどの馬が強いか浮き彫りになりやすくなった
パチスロ…公開されているデータが充実してどのホールが強いか分かりやすくなった
こういう状況になるのはギャンブルが成熟していくと必然なのかもしれません。しかし、勘違いしてはいけないのが競馬は「すべてのファクターを使って予想してはいけない」ということです。
パチスロは引き出しが多ければ多いほど有利ですが、競馬は引き出しが多いほど勝てるというギャンブルではありません。それを証明しているのが有名予想家の方が沢山出ている某競馬予想番組。様々なファクターを持ち寄っていろいろ議論が繰り広げられていますが、予想家トータルの回収率は結局控除率を抜いた75~80%に落ち着いているのです。これが示していることはすべてのファクターで予想してしまうとあれもこれも買わざるを得なくなって点数が多くなってしまうということ。集合知は控除率の壁を破ることは出来ないのです。予想ファクターを勉強するのはもちろん悪いことではありませんが、結局はオッズの見極めの方が何倍も重要だということなのです。パチスロも同様に設定状況と客付きからオッズを見極めることが大事で「客付きの多さ=正解」では必ずしもありません。最終的に自分がいい台に座れれば設定状況も客付きも関係ないのです。
これから年末にかけて「1回だけ」出しそうなホールが多くありそうですが、くれぐれもオッズには気をつけてくださいね。
【今週の推定設定6】
京都12R 12テラメリタ(武J)
せっかくなのでラップの観点から買えそうな馬を。
テラメリタはデビューから常にハイレベル戦でもみくちゃにされてきた馬。脚質がとにかく後ろからで最後に必ず伸びてはくるけどスローのレースがとにかく多く脚を余してばかり。今回1400mが主戦場+いつもハイペースで逃げるビーナスローズがペースを刻むと考えるとようやくペースがハマりそうで。前走で先着されたムーンリットナイトとチュウワダンスとはほぼ互角想定。コース替わり初日に外を引いた分オッズが貰えそうだが、今年の京都は異例のロング開催でそこまで馬場差がなかった場合はオッズが美味しい可能性も。鞍上も京都は「庭」というくらい信頼できる。単勝10倍なら設定6でしょう。
赤坂テンパイ
パチスロライター。勝負にこだわった店選び、立ち回りを披露する“ガチ系”。勝ち負けをズバッと言い切るトークが持ち味。「狭く深く」が信条で一度ハマったギャンブルはとことんやりつくす。著書に『赤テン 巻一』『勝負師の一打~赤坂テンパイの流儀~』(原案・取材協力)。24年9月28日より『ウマい馬券』に参加。
X(旧ツイッター) @genkiakasaka