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特殊条件で再現性が高いGⅠほど、理詰めで攻略しやすい

馬券ファンは目の前の全てのレースに賭けたいものであるという前提のもと、「全レース購入して回収率100%超えを達成する」ために開発された予想理論『レース質マトリックス』。
 その考案者である立川優馬さんが、レース質(=どのようなレースになるか)をもとに、回収率を底上げする方法を伝授してくれます。

立川優馬の最新刊『回収率を5%ずつ底上げしていくレース質マトリックス馬券教本 実践編』は好評発売中。イラストやデータ等を交えて、回収率を底上げするための様々な技術を収録しているので、ご興味がある方はぜひ手に取ってご覧いただければ幸いです。

●今回のポイント

〇中山芝1200mは高速馬場や上級条件ほど内枠有利になるレイアウトになっている
〇ラスト1Fを落とす要素が大きいほど差し有利に、落とさない要素が大きいほど先行有利に
〇今年のスプリンターズSは2021年の再現になる可能性が高い

先週の神戸新聞杯は、雨の影響で上がりの出ない高速馬場になったことや、逃げ馬が平均ペースで全く緩まないラップを刻んだことで、中京芝2200mには珍しい逃げ先行決着になってしまいました。申し訳ありません。
こうなると私としてはお手上げで、再現性の低い例外として捉えておきます。ただし、勝ち馬は脚元が悪いほうが折り合えるようなので道悪で注意、かつ平均ラップ型の逃げ馬はペースの緩急のある京都長距離は苦手なので、菊花賞ではあの逃げはハマらないことだけ確認しておきましょう。

さて、今週はGⅠスプリンターズSが行われます。秋のスプリント王決定戦ということで、スピード自慢がそろうこのレース。年に1回しかない特殊な条件だからこそ、こちらは再現性が高く、毎年同じような結果が繰り返されているのです。

●下り続けるレイアウトの高速馬場で内枠有利&ラップ形で傾向診断可能

中山芝1200mは外回りコースになっており、2コーナーの頂上からとにかく下り続けるレイアウトになっています。したがって、テンに速度が出やすく、時計も速くなりやすいのが特徴です。
高速馬場や上級条件ほどその傾向は強く、あまり時計が速くなると外を回す馬が物理的に間に合わなくなります。そのため、GⅠという最上級のスピード比べでは、必然的に内枠有利になります。この辺りはすでに有名ですね。

主なレース展開を見ていくと、中山芝1200mが下り続けるレイアウト+ラスト1Fで急坂を迎えることから、ミドルペースでは段階的な消耗ラップに、ハイペースではラスト1Fだけ大きく落とすラップになりやすいのが特徴です。

中山1200mは前者のときに先行馬が残りやすく、後者のときに差しが届きやすくなるため、馬場がよいときほど先行有利、悪いときほど差し有利に傾きますし、ペースが緩むほど先行有利、流れるほど差し有利に傾きます。
これは当たり前のことのようですが、実はちゃんと理解している人は少なく、予想段階で買い目がぶれる原因になっています。例えば、2022年のスプリンターズSではテイエムスパーダがハイラップで逃げることが確定していたので、ラップはラスト1Fを大きく落とすことが戦前から予想できていました。
であれば、上位に差し馬勢が突っ込んでくる可能性が高いことは分かりますし、枠の恩恵のない先行馬は走れないことが分かります。外枠先行馬のメイケイエールを押さえる必要は一つもなかったですし、2、3着に内枠差し馬のウインマーベルやナランフレグを押さえることができたはずです。では、どのくらいの人がそうした買い目を組めていたでしょうか。

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