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有馬記念は「外枠不利を理由にする内枠有利」であることから見えるもの


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●今回のポイント

〇中山芝2500mは、内枠主導では内枠先行有利、外枠主導では外枠差し有利になりやすい
〇先週の中山芝は最終的に外枠差し有利に傾いている
〇有馬記念の「外枠不利」は馬場面で解消されているので、隊列次第で有利な枠に入った差し馬をねらう

先週は開催途中にも雨が降ったことや、阪神芝がハイペース続きだったことで、差しが届いてしまったので、コラムの内容とは少しズレてしまいました。それでも、タンザナイトSが内枠先行決着になったり、朝日杯FSが内枠決着になったりするなど、ある程度は阪神芝らしさを見せてくれたかなとは思います。個人的にも、朝日杯FSは最内枠のエコロヴァルツを本命に、ジャンタルマンタルを相手筆頭で捕らえられたので満足はしています。

さて今週は、有馬記念ウィークですから、さすがに中山芝2500mに触れないわけにはいかないですね。両極端に触れやすいコースだけに、レース質の判断基準について解説していきます。

●中山芝2500mは、内枠主導では内枠先行有利、外枠主導では外枠差し有利になりやすい

 中山芝2500mは外回り3~4角の中間辺りから発走して、初角までの距離は約192m程度。外回りの下り坂の途中にゲートが置かれており、初角までの短い距離の中で加速しながらコーナーに突入するレイアウトになっています。

 本コラムでは、以前、初角までの距離が短いコースのねらい方を解説しました。レースの最加速地点となるテン2F目がコーナーに当たる場合、ペースが緩みやすくスローになりやすいのが基本。その際、内枠主導になると縦長馬群でペースが緩みやすく内枠先行有利に働き、外枠主導になると馬群が凝縮してペースも引き上がるため外枠差し有利に傾きやすくなります。

 中山芝2500mもその例に漏れず、内枠主導では先行有利、外枠主導では差し有利に傾きます。実は、近5年ことごとく差し決着になっていますが、2021年はパンサラッサの大逃げ、2020年はバビットの離し逃げを別物として扱うと、馬群自体は全て外枠主導でレースが進んでいるのです。これは、時期的に馬場の内目が荒れていることもありますが、常識的な逃げ先行馬がこれまで外枠に入っていたことが影響しています。

 もう少し見るなら、6年前になる2017年はキタサンブラックが1枠から逃げる内枠主導で、相手も2枠3番の先行馬クイーンズリング、2016年は内枠マルターズアポジーの逃げに、1枠のキタサンブラック、ゴールドアクターがついていく形で、どちらも先行有利で決着しています。

 今年の有馬記念では、隊列の鍵を握るのはタイトルホルダーとアイアンバローズになると思います。まずは、この2頭がどの枠に入るかで、隊列面でのバイアスをある程度想定することができるでしょう。

●現在の中山芝は差し有利傾向、内枠主導なら内枠差し、外枠主導なら外枠差し

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