競馬と麻雀に共通する“魅惑”
みなさん、初めまして。浩翔です。
私は麻雀の世界で30余年生きてきた男で、人生を賭けた趣味として競馬を楽しんできた歴史があります。
競馬デビューは麻雀デビューの1年前で、昭和39年シンザンが三冠の快挙を成し遂げた年でした。
きっかけは父親。
毎週末になると競馬場に足を運んでいた父が必ず持ち帰ってくるのが競馬新聞。
赤ペンでびっしりマークが入っているその競馬新聞になぜかしら興味が湧いた5才の私。
それまでの愛読書が時刻表とアルセーヌ・ルパンだった私は、数字を追いかけることと推理することが大好きな少年でした。
だからからか、競馬新聞に並んでいる数字に興味が湧き、着順を予想するというゲームに魅入られていったのでしょう。
そんな姿を見ていた父はその年の瀬に競馬場に連れていってくれました。
中山競馬場は私の家から車で40分も走れば着く距離にありました。
有馬記念という競走名も知らず、ましてやヤマトキヨウダイという名も知らず、ギュウギュウ詰めのなか大歓声の上がる人波に囲まれながら競馬場の雰囲気を味わう少年がそこにいたのです。
年が明けるとこれまた興味津々で両親のそばで眺めていた麻雀なるゲームに参加できるようになりました。
手役と点数計算を覚えたら参加させるという父の命があり、下敷き1枚の裏表に印字されていたそれらを小学校の授業中懸命に頭に叩き込んでいた私。
1ヶ月も経たないうちに大人たちに混じって打ち始め、週に2~3回は卓を囲む日々となっていきました。
小学校1年生がランドセルを背にダッシュで帰ってきて、両親と父の友人との麻雀。それも週に2~3回も!
競馬場デビューはさせるわ、麻雀デビューはさせるわ、いったいオマエのオヤジはどんな教育をしてるんだと思われそうですが・・・・・・父が物書きを業としていたので、比較的自由に時間が使えるという環境と、母がもうそれはそれはヘタの横好きを絵に描いたような麻雀好き人間だったことがかなりの追風だったようです。
あまりに頻繁にジャラジャラやってたものですから、近所のオバチャンたちが押しかけてきてゴチャゴチャ文句を言ってくることもありましたが、我が家はB型一家、どこ吹く風で打っていました。
麻雀を覚えた年のダービーは不良馬場でした。
1番人気はグリグリ人気のダイコーター。
もう60年近く前のことですから、よほどのマニアでないかぎり聞いたこともないはず。
逃げたのは2番人気のキーストン。
私にとって忘れられない思いが詰まった一頭、それがキーストンだったのです。
折からのドロドロの馬場を利して逃げ脚を伸ばすキーストンは、元来快速馬でパンパン馬場のほうが向いていたのですが、存外の重巧者でもあったようで、ダイコーターの猛追もなんのその、2.37.5というドロンコ馬場を象徴する時計でダービー馬となったのです。
昭和42年、12月17日、阪神競馬場で行われた阪神大賞典に出走していたキーストンは持ち前の快速を飛ばし最終コーナーを回っていました。
誰の目にも楽勝と映ったゴール前300mで悲劇は起きました。
ボキッという音とともに鞍上の山本正司騎手を振り落として3本脚でかろうじて立っているキーストン。
ところがその数秒後、キーストンはキビスを返して倒れている山本騎手のところにヨロヨロと近づき、心配そうに何度も鼻面をこすりつけて寄り添っていたのです。
すると山本騎手も意識を取り戻し、3本の脚で懸命に最後の力を振り絞ってアイコンタクトをとろうとするキーストンに気づきました。
残念ながらキーストンは予後不良の措置がとられたのですが、このシーンはいまだに私の脳裏に焼きついています。
1981年(昭和56年)に始まったジャパンカップにも思い出が詰まっています。
私が麻雀プロになる5年前のことでした。
黒船襲来!というフレーズがピッタリはまる第1回となり、メアジードーツなる馬が優勝しました。
私がプロになった年はジュピターアイランドが勝ち、その3年後は今でも記憶に新しいホーリックスとオグリキャップの壮絶なゴール前までの叩き合い。
勝ち時計が2.22.2で枠連も2-2というオール2の印象深いレースでしたが、何よりオグリキャップがマイルチャンピオンシップからの連闘策での激走という離れ業をやってのけたことに歓喜したものでした。
2005年のアルカセット以来、黒船が勝つシーンはありませんが、もしかすると今年はあるかも、と思わせるような布陣なので楽しみは膨らむばかりです。
競馬と麻雀は似ています。
2度と同じ馬たちで走ることはない。
2度と同じ配牌とツモがやってくることはない。
この魅惑に60年浸り続けている私です。
【こーしょーのジャパンカップ注目馬】
黒船来襲を期待して、出走予定馬3頭の中からスミヨン騎乗のゴリアットを推しておきます。
スミヨンに乗り替わってから連勝していることもさることながら、キングジョージの勝ち方に底知れぬ強さを見た気がしています。
失礼な言い方になりますが、今回の3頭には例年のような顔見せ程度の馬は皆無で、本気度が感じられますから買いの一手でしょう。
※次回更新は12月18日(水)を予定しています。