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極限の土地・ダナキル砂漠

 先日、地球にはドラゴンボールのナメック星と呼ばれる場所が2つあるということを、イエメンのソコトラ島のnoteで書いた。今回はもう一つのナメック星について書く。

 2019年4月末。僕は平成最後の日をこの辺境で過ごした。このエリアはツアーでしか訪問できないためツアーに参加するのだが、このツアーは「世界一過酷なツアー」と呼ばれる、なかなかワイルドなものだ。

 ダナキル砂漠は砂漠地帯、標高マイナス100mかつ火山帯であり地熱があるという、悪条件が揃っている。4月末時点では昼は50度、夜は40度を超えることから野営をして眠れずに泣き出す観光客もいるらしい。

ツアー概要

1日目:エチオピア北部・メケレ発→移動(7時間)→アサール塩湖見学・塩湖水浴→塩湖散策・サンセット→ダナキル砂漠泊
2日目:ダロール火山見学→移動(6時間)→エルタ・アレの麓から登山(12km・3時間)→火山口泊
3日目:下山(12km・3時間)→移動(6時間。途中の町で温泉・塩湖水浴)→メケレ着

アサール塩湖

 元々塩湖があるこの地は紅海の底に位置したが、今は紅海とこの地の間に火山が隆起しできたことにより海とこの地が分断されて、標高マイナスの陸地となっている。そして前評判通りうだるように暑い。

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ベッドだけ敷いてから再出発するが先が思いやられる。

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 塩湖に近づくにつれ、塩の塊を運ぶラクダとラクダ使いたちをよく見るようになる。彼らは昔から変わらぬやり方で塩湖の表面にできた塩塊を均一の大きさに切り、ラクダに運ばせている。

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 塩湖では7割程度が水深10cm弱の水に浸り、3割弱が水面から顔を出しており、その3割の上を歩きつつ散策をする。一通り散策を終え、ツアー参加者30人ほどが輪になって、エチオピアのワインとウゾー(アニスの効いた蒸留酒)で乾杯をしサンセットを眺めた。

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ダロール火山

 この地は極めて酸性であることから、この惑星の中でも動物も植物も済まない独特の場所である(通常この地のpHは3、訪問日は0.3)。地面のいたるところから酸が噴出している。酸が噴出しているところは白~黄色で柔らかく、酸が凝固しているところは赤土色で固くなっている。これらの色は酸化鉄や硫黄の色とされている。

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 余談ではあるが、地方分権を標榜した多民族国家・エチオピアから、その地方分権を盾に1993年に独立を成し遂げたのが紅海に面する隣国エリトリアである。エチオピアにとってはエリトリアの独立により内陸国になってしまった。したがって現在もエチオピアとエリトリアは仲が悪く、このエリアは治安が悪い。したがって自警団の武装した護衛にもツアーについてきてもらった。

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エルタ・アレ

 エルタ・アレはエチオピア北東部、ジブチ国境近くに位置する火山である。活火山であり溶岩湖でマグマがみられることで有名な火山である。溶岩湖を見られる場所はコンゴやバヌアツや南極など、地球上にもほとんどない比類ない場所である。トレッキング自体はゆるやかな山なので大して辛くなかった。山の頂上付近のライトも何もない場所で就寝したが空には北斗七星、南十字星、さそり座が輝いていた。山頂に寝られない理由は、ガス臭が目と鼻を刺激して、とてもではないが長くいられない環境だからである。

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 朝4時、日が昇る前に布でマスクをして山頂にあるカルデラ付近まで近づく。目と鼻がもげそうなくらい、立っているだけで辛い環境ではあるが溶岩湖からマグマが見えた。2018年から火山活動が弱まり、以前よりはっきり見えなくなったらしいものの、それでもマグマを見られて満足した。

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ダナキル観光を終えて

 きわめて個人的な話であるが、ただの自然よりは、人類の歴史や叡智が詰まった建造物や場所、あるいは現在も人類が生活をしている場所の方がグッとくるものがあり数倍も好きである。この場所には、僕の思いとは反して、人類どころか生物の活動すらほぼ見られないが、僕が訪れた中でも辺境度の高い、想像する自然を容易に超えるダイナミックさとユニークさを持った大変独特な辺境であった。

 このツアーは世界一暑い地で寝ること、夜に登山(片道12km)をすること、移動がオフロード続きであることから、世界一過酷なツアーと言われている。実際に参加をしてみて、確かに世界一暑い地での野営地泊は想像以上に暑く、ほとんど眠れず、登山もしんどかったが、それを上回る絶景を見られてとても満足できた。コックが作ってくれる料理は美味しかったし、いたるところでハビシャ(エチオピアのアムハラ語で「私たちの」)ビールが飲める。

 辺境のツアーはだいたい「運転手チャーター」「車はトヨタのランドクルーザー」「宿・食事(コック)つき」であり、都市部のツアーと比して幾分値段が張るのは常であるが、今回のツアーは2泊3日、移動費、食べ物込みで350ドル(2019年4月)である。3泊4日のツアーもあるが、これはなんと観光地は全く同じで、単に一日の移動時間が少ない、というものであるので注意する必要がある。エチオピアの物価水準からすると高いが、比類ない場所であるため訪れることをお勧めする。仮にエチオピアの近くまで行った際には、是非とも参加して、辺境の絶景を見て頂きたい。

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辺境
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