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2024年の10月に読んだ本の感想(21作品)

月に10冊ペースぐらいで読んでるのって、なかなか頑張ってるんじゃね? と思ってたんですけど。
売れる作家の全技術」という大沢在昌さんの本を読んだら、

『高校生の時に図書館の本棚を端から順に毎日3冊ずつ読んでた。あの頃は年に千冊ぐらい読んでた』

って書いてあってビックリしましたね……。
読むのが滅茶苦茶速い方なんでしょうか。
頭の中で音読しなくても読める人なんだろうか。
最近は速い時は1日で1冊(99%の誘拐)、1日で2冊(海がきこえる2冊+α)とか読んだりしてるんですけど、学校行きつつ1日3冊って凄すぎます。

でも僕も、今回は結構頑張って量を読んでいます。特に10月は、沢山読んでますね。
定期購読してるジャンプやヤンマガを読むのが滞っています……。

一冊読んだら忘れないように、メモ代わりに記録を残していたんですが、10月は何故か沢山読んでいて一ヶ月で20冊くらいになっちゃいました(漫画を2冊入れてますけど)。
10月と11月で読んだ本、でくくると、30~40冊くらいの量になりそうなので、とりあえず10月分の記録だけ出しちゃうことにします。
何でこんなに本を読む時間が作れるようになったのか、というのは、スマホを弄ったりゲームしたりしていた時間を、読書に全振りしているからです。



●01・迷路館の殺人

館シリーズを順に読んでおります。3作目。
地下に迷路があるという奇天烈な館で起こる殺人事件。
その館の設定も、館に登場人物たちが集められる経緯も、そして物語が走り始める速さも、全部が良い感じで面白い。

やっぱり、事件が早く起きる推理小説は良いですよね。前提話が長いとタルくなっちゃう。
トリックや全体の構成も良くできていて、「迷路館と時計館は名作っぽいぞ」という事前情報を裏切らない面白さでした。
特に順番通りに読むことに固執しない人は(僕は固執するタイプ)、十角館→迷路館、と読んでみると良いかも。

お勧め度は、5段階で☆4。



●02・まどろみ消去

S&Mシリーズを5作目まで読んだので、短編集を。
森博嗣さんが刊行された順で読み直しています。

森博嗣さんの短編集はソリッドすぎで、自分にとっては難解なことが多いんですけど。
各巻末にご本人の解説をつけて欲しい。
ソリッドというより、エッジが効いている? シャープ?

こういう短編集を、何冊も出せるというのが凄い。

好きだったのは、「真夜中の悲鳴」と「キシマ先生の静かな生活」。

お勧め度は、5段階で☆3。
やや難解。
でも1回、森博嗣さんの短編はどれか読んでみて欲しい。



●03・99%の誘拐

岡嶋二人の作品を少しずつ読んでみようかなと思い、おすすめ作品を検索して出てきた1冊。
「バラバラの島田・人攫いの岡嶋」と呼ばれていたらしいので、誘拐ものを読んでみなきゃいかんだろう、と思ってチョイス。
この本は通勤の行き帰りで半分くらい読んで、家で寝る前に布団で最後まで読んでしまいました。
10/6(日)の休日出勤の日に読破、という記録が残っていました。

綾辻行人さん、岡嶋二人さんの文章は割と読みやすくて、本の厚さによっては1日で読めてしまう感じ。
森博嗣さんの本も読みやすいんですけど、これは個人差がありそうな気がします。ちょっと特殊な文体と言えば特殊。
ディクスン・カーの翻訳ものなんかは、文字が小さくて文体が堅苦しかったりして、なかなか読み進められない印象があります。翻訳が昔のものだと、そもそも言い回しが古かったりして結構読みにくい。

岡嶋二人の文章は本当にスラスラ入ってくる。サラッと流れ込んでくる感じが強くて、引っかかりが無さ過ぎて内容をすぐに忘れちゃいそうなくらい。
井上夢人名義になると、もう少し文章に重さが出てくる気がします。
(ホラーっぽい作品が多くなるので、そのせいかも?)

お話は、前半と後半でそれぞれ違う誘拐事件を扱う構成。
でもその2つの事件は実は繋がっている。
早い段階で犯人は分かるというか、作品の構成的に提示されてしまうので。
純粋な推理小説という区分とは、ちょっと違うかも。
でもそれでも読ませてしまう力強さとスピード感。思わず犯人の方を応援してしまう感覚。

岡嶋二人の代表作、と言われるだけのことはあると思いました。
クラインの壷」を読んだ時にも感じたんですが、テクノロジー系の描写が凄いというか先見の明があると言いますか。
「99%の誘拐」は35年ぐらい前に書かれているんですが、PC等の使い方に陳腐さを感じさせないのが凄いと思います。
もちろん当時の単語や技術が出てくるので、今読むと全体的にかなり古いんですけど(電話が黒電話だったり、コードレスフォンで親機と子機があったり)、特に気にならいんですよね。

お勧め度は、5段階で☆4.5。
面白かったです。



●04・人形館の殺人

館シリーズ、4冊目。
このお話は、館シリーズとしてはちょっと異質な1冊だと思いました(読んだのはまだ4冊ですけど)。

これは、ちょっとあまり刺さらなかった……。
文庫旧版のあとがきだと綾辻さんが、

「すごく愛着がある、けれど一方で、激しい嫌悪感を抱いてもいる」

人形館の殺人〈新装改訂版〉 「館」シリーズ (講談社文庫)新装改訂版あとがき、より

と書かれていたんですが。
当時、やりたかったことなんだろうな、と感じました。
その後似たような形のものが手を変え品を変え色々と出ていて、僕はそういう後発のものを先に見ちゃっていてピンと来なかったんじゃないか、と思います。

あとどうしても読みながら、トリックとか犯人とか考えながら読んでしまうんですけど。
割と早い段階で、「これは……?」と思ってしまったからかも。
これは、そう思われる書き方になっていると思います。

個人的なお勧め度は、5段階で☆2.5。



●05・おかしな二人(再読)

6月に1回読んでいますね。
こちらの記事でも触れています。

急に。本当に急に、4月以降で本を読むようになって。
その煽りを受けて、「小説家の内情が見えるエッセイ」「小説の書き方入門(漫画とちょっと違って新鮮で面白い)」「小説家のサバイバル術」みたいな本を読むのが面白くて、少しずつそれ系のジャンルも手に取っています。
何しろ3月以前は、文字の本って年に2~3冊読めてなかったくらいの感じで、(仕事として)漫画を読むか、気になったゲームをセールで触っていくみたいな暮らしでした。
それが、ゲームもやらずに暇があったら本を読む、みたいな極端な変化を起こしていて、若干頭が『文字脳』に変わっているんじゃないかと思います。
そんな単語があるのかどうか知りませんが。

「99%の誘拐」を読んで、これもとても面白く。再読ペースとしては速いけど、もう1回読んでみようかな、と引っ張り出しました。
電子で買い直したので、いつでも読めて便利です。

1回目に読んだ時はどうしても井上さん側の視点で読むので、相方の徳山さんの方に良くないところがあって解散に至ってしまったような印象を持っていました。
しかし再読してみて、井上さんの方もなかなかこれはないな、というところもあるなと思いました(書いている作者側の方の人が、そう思わせる部分をちゃんと書いているのも凄いですけど)。
乱歩賞の最終候補に残ることになる「あした天気にしておくれ」を執筆中に、荒書きまで書いたら飽きてしまった、というところなんですけどね。
あっさり引き下がって、そしてちゃんと代案を出してくる徳山さんが凄い。
(ただ頑なに徳山さんは書こうとしなかったそうなので、井上さんが書かない(書く気が出ない)ネタなら代案出すしかない、みたいなとこがあったのかもしれません。コンビの片側の人の記述からの推測なので、もう薄めすぎたカルピスぐらいの味のしない推測ですけど)
この2人だからコンビで小説を書く、ということが続いたんだろうなと思うし、この2人だから続かなかったんだろうな、とも思います。

ちょっとした恋愛ドラマが終焉に向かっていくようで、読みものとしても面白い。
そして、「創作でご飯食べていきたいぜ」と思っている人は、読んでみて欲しい1冊。

お勧め度は前回と変わらず、5段階で☆5。



●06・0円で空き家をもらって東京脱出!

小説じゃなくて漫画なんですけど。
本棚から数年振りに引っ張り出しました。
広島県の尾道市という、有名なところでは大林宣彦監督の尾道三部作とか、アニメの「かみちゅ!」の舞台になっていたり。
前が瀬戸内海の海で、山の手に住宅が広がっていて坂の街で、猫が多い、というザックリ情報なんですけど。
広島にいた時代、尾道が好きで、ちょこちょこ行ってました。
ただこの尾道という街は全国でも有数の空き家率を誇っているらしく、自治体ぐるみでその解消に取り組んでいます。
一度行ってみると分かるのですが、山の手の自動車が入れないような道沿いの斜面に沢山の家が建っていて、なかなか見ることができない景色です。
海から急激に立ち上がる斜面に建っているので眺めはとても良いのですが、接道していないので現在の法律だと再建築ができない。解体、リフォームのために物資を運ぶことが困難(人力になります)。下水道が通っていない(トイレを水洗にするなら、自分で浄化槽の設置が必要)。など、なかなかに諸条件が厳しい立地です。
でも眺めは良いですし、街も良いところなので、ハマる人にはたまらない土地だと思います。

格安、無料譲渡、みたいな物件もあるようなのですが、この尾道の空き家を無料で譲り受けて関東から夫婦で移住した漫画家さんの記録になります。
色々と赤裸々に記録、公開してくださっていて、漫画なので面白おかしく読めてとても好きな本。

作者のつるたけしさん、アートワークも素敵だな、と思うんですけどもっと色々お仕事が来るといいな……。
小説の表紙とか、良さそうに思うんですけど。
絵が凄く良いな、と思ったんですけど、埋め込みで上手く貼れませんね。
良かったら、下記のタンブラーのページを見てみてもらえれば。

https://kentarotsuru.tumblr.com/

ロープウェイと石段の青ベースの絵とか好きです。
おやつとやまねこ海辺店、のケーキを覗いているチビッ子と黒ヌコチャンの絵とか。可愛い。

お勧め度は、5段階で☆4。
書籍は再販してなさそうなので、電子がオススメです。
確かこの本、作中でも描かれている「あなごのねどこ」というカフェに行った時にそこで販売されていて、現地で買ったんじゃなかったかな。

いやー、尾道で海を見ながらのんびりとできるようなお仕事、ないかな!



●07・三つの棺

カーの作品、全然読んでなかったんだな、と思って、代表作っぽいものを。
「密室講義」で有名な1作ですね。

最近は現代の推理モノをずっと読んでいたので、過去名作の翻訳ものは文体の部分で読むのがしんどい……。
それでも新訳版なので、かなり読みやすくなってるんだとは思うんですけど。
昔の古い版の創元推理文庫とか、言い回しが難しくて、そこの時点で推理が困難になったりしますからね。
なんなら、眠くなっちゃう……。
カーは地の文で面白さを感じさせる感じではないので、長いとちょっとしんどくなるな、と思いながら読みました。
ちょっと読みにくく感じてしまうので、「おかしな二人」「年収90万円でハッピーライフ」「売れる作家の全技術」という他3冊と並行で、しんどくなってきたら他の本を読んで気分を変える、という読み方をしていました。
あと「おかしな二人」を読んでいたら紹介されていた「推理日記Ⅰ」という本も電子で買ってみたので、なんならこれも含めて4冊をグルグル読んでいました。
ゲーム、全然しなくなってる……。

やっぱり名作と言われる作品だけあって、良くできてるなと思いました。
密室系の作品、となるとよく上げられる1作。
古典の密室系はもうある程度パターンが出尽くしてるんですけど、気付かないまま読んだなぁ……。
文体の難しさで、お勧め度は、5段階で☆3.5。
読む時期によっては☆4とかあったかも。
カーの本は、なんか頭に入ってきにくいんですよね……。

「もっと短く書けるんじゃないか??」
と思ってしまう。
長過ぎないか、この文章は必要なものなのか、この章は必要なのか、みたいなところを書いている人はどう判断してるんでしょうね。
多分10月に読んだ本で一番時間がかかってる本じゃないかな?
カーはもう何冊か読みたいものがあるんですが、ちょっと読んでて疲れるので間が空きそうな感じ。



●08・年収90万円でハッピーライフ

小説家のなり方とか、空き家をもらって移住とか、こういう本とか。
担当こばは何処を目指しているんだ? と思ってしまうラインナップですが、
「違う価値観」
に触れるのって新鮮な体験で面白いですよね。

もっと貧乏暮らしをするための工夫とか、日々のルーチンみたいなエッセイかと思って手に取ったのですが。
人生観みたいな切り口がメインかな、と思いました。
ただ、都会で仕事に追いかけられてる人は、こういうのを読んでみて欲しいですね。
僕も実家は田舎で凄い平和なところなんで、引っ込んで暮らすような選択肢も無きにしも非ずなんですけど。
田舎エリアの中でも更に過疎地域で、ちょっと今後暮らしていくことの難易度が高そうなんですよね。
地元でそういうことへの取り組みもされているので、手伝えよ、ってとこもあるんですけど。

かなり最後の方になるのですが、
「みんながみんな、そんなに右にならえで揃ってセカセカ仕事をしなきゃだめだろうか(かなり意訳)」
的なゾーンがとても刺さりました。
しかし回っている最中の歯車を止めるのは、勇気がいることでもありますよね。

こういう生き方、価値観もあるんだな、という学びが得られます。
お勧め度は、5段階で☆3。
読んだ時の精神状態でかなり感想が変わる気がします。
この方の他の書籍も読んでみたくなりました。



●09・売れる作家の全技術

小説を色々読んでいて、
「凄いな、こんなに色んな話が書けて」
「ずっと本が出せていいな。ずっと小説で稼げるのいいな。凄いな」
みたいなことを考えてたわけなんですけど。
例えばこれが漫画だったら、そんなこと思わないんですよね。
描くの大変なのも分かってるし、ずっと仕事があるかも分からないし、何なら次々にデビューしては消えて行く人もいるわけで。

という当たり前のことを。
小説のノウハウ本を色々読んで、今更ながらに噛み締めています。
でかい賞を取った人でも、10年生き残ってる人って、そこそこに稀で。
20年だと、一握り。
これは各賞を受賞して本を出した方の、その後の作品とかちょっと検索してみると、分かるっちゃ分かる。
でも僕らの記憶の中には、売れてる人の名前しか刷り込まれてないし、そういう人しか浮かんでないのね。
でも発行部数から逆算して印税とか計算すると、結構そんなに滅茶苦茶儲かる訳でもないのね……、という感じ。
大ベストセラーが出れば別ですけど。
定期的に年に2~3冊出していかないと、なかなかやっぱり暮らせていけないな、とソロバンを弾いてみました。
年に2~3冊継続的に出してもらえるくらいにそこそこずっと売れるものを書かないといけないし。
やっぱりお仕事なんだなー、と思いました。
そんな、世の中にいきなり一発当てて悠々自適みたいな仕事、そうそうないですよね(あったらみんなやるもんね)。

これはリアルな、ヒリヒリする系の実用書。
第一線の方がこういう本を出してくださるのは、凄く良いな、と思うしありがたいことだと思います。

大沢在昌さんってヒットメーカーでベストセラー作家、というイメージしかないんですけど。
11年間、28冊の小説がずっと初版発行だけで重版がかかったことがない、という「永久初版作家」と呼ばれていた時代があるそうです。「重版童貞」という書き方もされていました。
そういう苦労の時代を経て、ヒット作を出されている方の言葉、というのが重みがあるわけですね。
ただ今の出版不況時代、初版のみだと、3冊ぐらい出した時点でもう本を出してもらえなくなりそうなので、そこは昔とは時代が違う気もします。

大体どの作家さんも、
「とにかくまず本を読め。沢山読め。若い人は読んでる数が少な過ぎるぞ」
という感じのことを言われていますね。
森博嗣さんだけが、
「小説家になりたいなら小説なんか読むな」
と言われています。

僕としてはまあ、読んだらどちらの言い分もよく分かる、という感じ。
とにかく共通して大事なことは、
「沢山書く」
ですね。

12人の受講者を選抜して1年間大沢さんが授業をする、という内容。
それを本の形に書き起こしてくれています。
文庫化のタイミングで、12人のうち5人がデビューしているということなので、これはなかなかに高い確率なのではないでしょうか。

お勧め度は、5段階で☆3.5。



●10・海がきこえる

本を急に沢山読むようになってから、小説の書き方、的な本をちょこちょこ読んでるんですけど。
漫画の描き方的なHow to本は自分が描くために読んでいましたが、小説系のものは割と雑学的に楽しんでいます。

小説の創作論を読むといつも思い出すのが、氷室冴子さんが、
「映画館にノートを持ち込んでひたすらメモしてた」
みたいなお話。
ビデオみたいなものがまだ普及していなくて家庭で映画を楽しむことが難しく、でも映画館はチケット買って入れば1日中館内にいられたような、そんな時代のお話だったと思います。
なんでか勝手に、
「小説を書く人は最初からみんな自然に書けたんだろうな。いいな」
みたいな思考が根っこにあって(最初は漫画もきっとそう感じていた)。
でも、こういう方でもこんなに努力してるんだ……、という気付きを得ました。小説のHow to本も、やっぱりそういう気付きが多いですね。みなさん、苦労をされている。当たり前ですけど。
仮に最初から書けた方でも、今度は作家として生き残るために努力されてるんですよね。

氷室冴子さんの本はこのシリーズ2冊しか読んだことがないのですが、本当に好きな作品。
純文学系をあまり読まないミステリ好きの僕でも、殺人も事件も起こらない話だけど、読み切っちゃうんですよね。
読者に何で興味を持たせて、展開をどの要素で引っ張るのか。読み終わったあともあまり覚えていない。さらっと読ませる凄さ。

読み返すと改めて、ヒロインの里伽子がムカつくなー、と思うんですけど。
これで成り立たせるのが凄いんだよなー。
シリーズ2冊目の方でもやっぱりムカつくんですけど。
S&Mシリーズの西之園萌絵とのデジャヴ感。

10年刻みくらいで思い出した頃に定期的に読み直してますが、時代背景の変化による古さは感じるものの、物語の根っこは普遍だなと感じます。
いつの時代も、そしてどの年代になっても、人間って変わらないんだなと思います。

本も何回か買い直してる気がしますが、Kindleで改めて買いました。
古い本が最近結構電子で出し直されていて、大変にありがたいです。

お勧め度は、5段階で☆5。
なんて素敵にジャパネスク」も電子で買えるので、読んでみようかな、と思案中です。



●11・海がきこえるⅡ アイがあるから

夕方、というか夜ですけど、19時くらいから1冊目の「海がきこえる」の方を読み出して。
そんなに文字数ある本じゃなかったと思うのですぐ読めるだろうな、と思いながら読み始めたら、結局2冊目のこちらは布団の中で読み始めてしまい、2冊を一気に読破しました。

紙の本しかなかった時代は部屋の電気を消すと本が読めなくなっていたんですけど。
スマホで読む時代になってから部屋が暗くても布団の中で本が読めるようになって。就寝前に何話か漫画を読む、というライフサイクルが最近は定着してきてるみたいな話を、漫画アプリが実施したアンケートで読んだことがあります。

電子だと部屋を暗くして布団に入っても読めてしまうんですよね……。
結局読みきってから寝るかー、という感じになりました。

1冊目も2冊目も、好き。
地方民で大学進学で都市部へ行った経験がある人なんかは、特に色々刺さるんじゃないでしょうか。
文字数そんなに多くなくてサラッと読めるんですが、冷静に数えるとキャラが多くて、それぞれそこそこにきちんとキャラ描写があって、凄いと思います。

更に続編が読んでみたかった。
氷室冴子さんは、51歳という若さで亡くなられています。

お勧め度は、5段階で☆5。



●12・火車

宮部みゆきさんは好きな作家さんなんですが、あまり作家さんを追いかけない読み方をするため、今まで読んでいる本は数冊。
レベル7」「模倣犯」「RPG」「おそろし」ぐらいかな……?
「模倣犯」は滅茶苦茶好きな作品なんですけど、読んでから大分経っているのと、まあまあ中身を忘れてしまっているので再読するつもりです。
あと「蒲生邸事件」も読むつもり。

読んで感じたのは、推理小説というよりも、松本清張作品のような捜査の進展を一緒に追いかけていくような社会派捜査ものに近いんじゃないか、ということでした。
どっちのタイプが良い悪いということではないんですけど、今は、大仕掛けなトリックや意外な犯人が最後に明かされるような本格と呼ばれるような推理小説を読みたい時期で、ちょっと期待の方向と違いました。
あんまり事前情報集めるとネタバレ食らったり、読む時の楽しみがなくなるので、この辺りは本当に難しいんですけど。

非常に良くできていると思うんですが、ちょっと長いような、とも感じました。
もう少しコンパクトにしても良いんじゃないだろうか。
時代や世相によって、長めの話が好まれる時期もある気がします。

さすがの筆致。お勧め度は、5段階で☆3。

検索してみてビックリしたんですけど、宮部さんの本、ほとんど電子書籍化されていないんですね。



●13・冲方丁のライトノベルの書き方講座

小説の書き方本、みたいなのを色々読んでいる中で。
「家に冲方さんの本があったはずだな」と思って引っ張り出して読んでみました。
僕は冲方さんの本は、「マルドゥック・スクランブル」の最初の3冊と、「十二人の死にたい子どもたち」しか読んだことがないという浅い人なんですが、マルドゥックがとても良かったのでこれを本棚に持っていました。
三度目くらいの再読。

小説の書き方、というよりも、作家としての心構えとか。
既存作品をどういう流れで書くことになって、どう組み立てて行って、最終的にどう出力したのか、という経験を元にした記録のようなことが書いてある本です。
小説化志望の人は一回読んでみて欲しい本。
中で解説されている作品を読んでいないと、理解度が落ちてしまうかもしれませんが。

冲方さんのwikiを見ていたら、

小説で影響を受けた作家は、夢枕獏栗本薫。そのあまりに強い影響=呪縛から逃れるために、デビュー作執筆の際には、夢枕の『上弦の月を喰べる獅子』を鋸で裁断し、栗本の『魔界水滸伝』は学校の焼却炉に放り込んだ、と語っている。

Wikipedia:冲方丁 より

こんなことが書いてあったんで、「上弦の月を食べる獅子」も読んでみることにします。夢枕獏さんも、読まなきゃと思いながら全然読んでいない作家さん。
あと上記のエピソードは出典元の記述も消えてしまっているので、真偽の程は分からない状態ですね。

マルドゥックのシリーズは、ヴェロシティもアノニマスも全部Kindleで購入しているはずなので(すぐ積んじゃう)、読みます。

良い本だけど、あなたが求める内容なのかどうかは良く分からない。
でも貴重な記録。
お勧め度は、5段階で☆3。



●14・そして扉が閉ざされた

岡嶋二人作品を少しずつ読んでいるので。
巻末の島田荘司さんの解説や、岡嶋二人の代表作を上げている記事を見る限り、割とこの作品はオススメ作として目にすることが多く感じるのですが。
やや物足りなかったです。
発表年次を考えると(1987年)かなり設定やシチュエーションは先進的だったのではないかと思うのですが、最後の仕掛けともどもやや弱く感じてしまう。

この作品は「おかしな二人」の方でかなり詳しく制作過程の記録が読めるので、そちらとあわせて読むとちょっと面白いかも。
なかなか2人共作で小説を作っていく過程の解説とか読める機会もないですし、そして実際にその流れでできあがったもの、という点でも興味深い。

お勧め度は、5段階で☆2.5。



●15・ブラウン神父の不信

子どもの頃は、短編推理小説が好きでした。
やっぱりあまりに長いものは読むのがしんどいしなかなか進まないので忘れていくし、シンプルで驚きがあって、短くて読みやすいものが楽しかったです。
「シャーロック・ホームズの冒険」「ミス・マープルの短編」、ポーの「モルグ街の殺人」「黄金虫」などなど。
特にシャーロック・ホームズの冒険に収録されている、「赤毛連盟」「唇のねじれた男」「まだらの紐」辺りはビックリした覚えがあるし、現代の作品と並べても遜色ない素晴らしさだと思います。
別書籍に収録されていますが、「ソア橋」なんかもシンプルでかなり好き。

ブラウン神父のシリーズも結構好きだったんですが、まあとにかく読みにくい、という印象が強く残っていました。
元々の原文がおそらくやや硬めで、それを昔の日本語の感じで、硬い世相にあわせつつの訳文という印象。もう読んでて頭に入って来ないんだわ。謎の機械のマニュアルを読まされているような、そんな気がしてくる。
小学生の時に読んで頭がクラクラした覚えがあるんですけど、それでも面白かったんですね。
おそらく最初の2冊、「ブラウン神父の童心」「ブラウン神父の知恵」を読んでいると思います。

未読だった3冊目の「不信」を手に取って、【新版】と書いてあるので読みやすくなっているだろう、と思ったんですが。
【新訳】ではなくて、【新版】なだけですかね?
「翻訳し直してても相変わらず読みにくいな……」と思いながら頑張っていたんですが。新訳なのかどうか分からないまま、頑張って読みました。
多分これ、そもそも原文が分かりにくい表現になってるんでしょうね。

一編が短くてキレもあり、名作と言われるものが何本か入っているのでお得な一冊だと思うのですが。
今読むとどうしても古さ、シンプルさを感じてしまうのと、とにかくもう文章が読みにくくてしんどいです。頭の中を文字が滑っていくというか、ちゃんと全部読んでいるはずなのにページ最後まで来ても状況が頭の中に入ってきていない、なんてことがしょっちゅう。
過去の名作を求めている方にはオススメ。
名作と言われている、「犬のお告げ」「ムーン・クレサントの奇跡」辺りはそんなにピンと来なかったんですが、「翼ある剣」「ギデオン・ワイズの亡霊」辺りは好きでした。

シリーズ的には多分、1冊目の「童心」が読んでみるには一番良いと思います。
この3冊目の短編集は、前半は推理もの、後半はカーみたいなオカルト的な空気を出そうとしたのかな? と感じました。
1冊目をもう一度読んで診たくなりましたが、レビューを見る限り、「読みにくい」「頭に入ってこない」という書き込みが多いですね……。

関係ない話なんですけど、シリーズ検索していたら出てきたこの表紙画像。
どういう発注でこの絵になったんだろう? という感じで、なんか好き。

とにかく頭に入って来ない、読みにくい、というとこがネックで、短編1本読んでは他の本を読んでみるという感じで、騙し騙し読み進めました。
何が原因で読みにくいのか、1回研究してみたいくらい。

お勧め度は、5段階で☆2.5。



●16・有名すぎる文学作品をだいたい10ページくらいの漫画で読む。

漫画なんですけどね。
作者のドリヤス工場さん、好きです。

内容はもう、タイトル通り。
短くまとめ過ぎてて、読んでも良く分からんぞ、みたいなものもあるんですけど。
とにかくコンパクトにまとめているその技術が凄い。
教養を得るのにもコスパ良しだと思います。特にタイパ。

菊池寛の「恩讐の彼方に」が、凄く良い感じにまとめてあって痺れました。
あと夢野久作「ドグラ・マグラ」が流石に10ページでは無理だったのか、16ページぐらいあって笑っちゃいました。
漫画で読んでもやっぱり分からなかった。

お勧め度は、5段階で☆3.5。



●17・上弦の月を喰べる獅子

冲方丁さんがそのあまりに強い影響から、デビュー作執筆時に鋸で裁断してその影響(呪縛)から逃れようとした、という骨董品業界に古くから伝わる伝説みたいな、そのエピソードの元になった本。
夢枕獏さん、初めて読みました。

タイトルがとんでもなくカッコいいよね。
森博嗣さんは、「まずタイトルを決める」みたいな話をされていますが、かっこ良いタイトル作れる人って凄い。
僕は自分で漫画を描いてた時は、タイトルを一番最後になんとか捻り出して決めてました。

漠然としたイメージから、体一つで戦う格闘家が世界を旅して回るような話をイメージしていたのですが(多分、餓狼伝などのイメージとタイトルの肌触りから。「喰べる」という漢字のニュアンスかな?)。
全然違いました。ビックリした。
思想書というか、仏教とか密教とか人生の目的とか生命とは何かみたいな、思考実験に近い印象。
でも小難しくなくて読ませてしまう。文章がとにかく上手い。

宮沢賢治が好きな人なら更に楽しめるのではないかと思いますが、僕は全然詳しくないので理解しきれていないと思います。
そして宮沢賢治が好きな人でも、賛否両論になりそうな気もしますね。

最後にご本人による解説がついていたのですが、なるほど、と思いながら読みました。
宇宙について説明する時は「E=mc²」のように、数式を使って表現されることが多い、と。
でも感情で宇宙を表してみても良いんじゃないか。
そんな感じの話だったと思います。

正直この物語の内容を半分もきちんと理解できていなんじゃないか、と感じるので、上の書き方も、「だったと思います」になってます。

若い時に読んでたらどう感じていたんだろう。
訳が分からんと感じるのか、どハマリしていたのか。

凄いものを読んだなー、という感想。
お勧め度は、5段階で☆4。
海外の人が読んだらどう感じるのか聞いてみたいですね。

ページ数は多めですが文章としては非常に読みやすく、通勤しながら上下巻を3日で読めました。
多分、1冊2時間~2時間半くらいじゃないかな。
S&Mシリーズや岡嶋二人の本で、1冊2時間くらいだと思います。
4~5月頃は、二行いっぺんに読んでいくという速読修行もしていたのですが、だんだん疲れてきたのか最近はちゃんと一行ずつ。
読む時の頭の中での音声化もいまだ消えないまま。
これがなくなったら倍くらいのスピードは楽々出そうなんだけどな……。


●18・ヴォイド・シェイパ The Void Shaper

S&Mシリーズを順に読んでいこうと思っていたんですけど、ちょっと寄り道。
常々、「森博嗣さんが書く剣豪小説が読みたいなぁ……」と考えていました。
主人公の達観した感じ。仏教観に近いような、引いた位置からの物事の捉え方。僕がなんとなく感じていた、「武士の生き方」に近いものを感じていました。
燃えよ剣」「鬼麿斬人剣」「隠し剣孤影抄(秋風抄の方もいいよね)」など、そんなに読んでるわけではないのですが、武士と刀、って何か好きなんですよね。
森さんの世界観に合うんじゃないかと思っていたら、出ていました。知らなかった。
Kindleセールの時にまとめて購入しておいたもののうちの一冊。

森博嗣さんの哲学エッセンスが詰まっている、という印象で、読んでいる間の感想、感覚としては、「上弦の月を食べる獅子」に僕は近いものを感じていました。
自分と外界との関係を推し量る、そこに関して他者が感じている感覚を覗き見ているような。宇宙論、人生観、哲学書に僕の中ではかなり近い。
(元々実用書みたいな本をあまり読まないので、その代わりとして読んでいる感覚なのかも)
刀とか銃を持った主人公が命のやりとりをするようなお話が、僕は割と好きで。そのヒリヒリ感がたまらないんですよね。
小説だと「燃えよ剣」とか「用心棒日月抄」シリーズだったり。映画だと、「レザボア・ドッグス」「ユージュアル・サスペクツ」「明日に向かって撃て!」「ワイルドバンチ」「ロックストック・&トゥー・スモーキング・バレルズ」「デスペラード」「処刑人」「ドーベルマン」「ニキータ」「パルプ・フィクション」「リベリオン」「用心棒」「七人の侍」「座頭市(僕が見てるのは北野武版ですけど、勝新太郎の動きはほんと凄いっす)」みたいな辺り。
剣も銃も、1回抜いたらどちらかが死ぬしかない、っていうそのどん詰まりの空気にやられます。

でもこの本はあまり果たし合いとか斬り合いのような描写はなく、世の中との価値観の擦り合わせとか、人生観みたいなところがメイン。
その静かなところが物足りない気もするし、それが良いところでもある気がします。
シリーズが5作あるので、2作目以降がどうなっていくのか楽しみ。

お勧め度は、5段階で☆3。
読む時期が違ったら、4とか5つけてた僕もいると思います。
並行して「ブラウン神父の不信」「上弦の月を食べる獅子」「そして五人がいなくなる」辺りも並行して読んでいたので、やや刺さりが甘かったのかも。
特に、「上弦の月を食べる獅子」は時期をずらせば良かったですね。

文庫版の表紙よりも、単行本版の方で出して欲しかった。
山田章博さんの絵は、勿論滅茶苦茶良いんですけど。本のイメージ、みたいなところで。

そういえば「項羽と劉邦」も凄く好きな作品なんですけど。めちゃ面白かった、という記憶しか残っていなくて、再度読み直そうと考えています。
読んでも読んでも、世の中には作品が沢山あり過ぎて追いつかないですねぇ……。

推理小説じゃない本を今月は沢山読んで、ちょっと推理小説ゲージが足りなくなってきました。
ここまで18冊中、推理小説が7冊しかないという珍しい偏り具合。



●19・そして五人がいなくなる

Kindle Unlimitedが、三ヶ月無料のお試しをやっていまして入ってみました。
結構ハイペースで本を読んでいるので、Unlimitedに入会しても元が取れそうじゃね……?? と感じたため、お試し入会。
読まなきゃ、と思っていた「餓狼伝」なんかもUnlimitedのラインナップに入っていたため、これを機に色々読んでみようと思います。
動画配信系は入ってても意外に見ないままということが多いんですが、こっちの方が活用できそうな予感。
月に980円でAmazonが指定している本が読み放題になる、というサービスです。
Amazon Prime Videoの、本のバージョンですね。

オススメ推理小説みたいなものを検索していたら、紹介記事で目にした作品。
児童書ですけど、こういう系統好きです。
子どもの時に読みたかったですね。
はやみねかおるさんの本を、初めて読みました。

ライトで非常に読みやすかったのですが、やはり児童書ということで今自分が求めているものとはちょっと違ったかな、という印象。

お勧め度は、5段階で☆2.5、という感じ。
子どもの時に読んでおきたかった、と思う一冊。
でもこういう色んな本に触れることができるのも、Kindle Unlimitedの良さなんじゃないかと思いました。


●20・三毛猫ホームズの推理

三毛猫ホームズシリーズを全く読んだことがなかったので、いつか読まねばと思っていたのですが。
シリーズ45作が全部Kindle Unlimitedに入っててビックリしました。
赤川次郎さんの著作を1冊も読んだことがないまま歳を取ってしまったのですが、代表作、オススメ作品と言われるものは読んでみようと思っています。

勝手に、「猫が主人公だけには話をしてくれて、推理したり猫にしか行けないゾーンに入って捜査を助けてくれる」的な話を想像していたのですが。
猫、全然喋んないのね。あら、ビックリ。
非常に読みやすい本でした。文章に癖がない。
今これを出すと、もっと若年層向けの軽いタッチのイラストで表紙を作られて、ラノベに近い売り方をされるかも、と思いました。
トリックがどうこうという推理ものとしてよりも、キャラ小説として読むシリーズなのかな? と感じました。

メイントリックの密室に関しては分からなかったんですが、犯人については話の進行と描写の感じでなんとなく推測できました。
伏線というか、そういう風に書いてあるんだろうな、という感想。
あ、一個ちゃんと伏線を拾えたのでそのせいかも。
全体的に、動機はやや強引かも。僕は、無理に動機って書かなくても良いんじゃないかな? という派閥です。
漫画版の金田一少年の事件簿の頃から、犯人の動機を描く、っていうのはマストだった時代がありますよね。なんなら、火サスの功罪なのかも。
あと、ポップに人がどんどん死んでいくのでビックリ。
でも全く重さとか、血みどろ感みたいなところを感じさせない文体。それが凄い。

お勧め度は、5段階で☆3。
やや軽過ぎたかも。でもその軽さが、シリーズを通して読んでいきやすい原動力なのかもしれません。
2作目の「三毛猫ホームズの追跡」、あとおすすめされていたので「三毛猫ホームズの黄昏ホテル」は読んでみようかなと思っています。
この本も2時間かからないくらいで読めていて、通勤の往復と家でゴロゴロしながら追加で読んだら終わったので、三毛猫ホームズシリーズなら45冊なので45日で読める計算になりますね。

最後の奥付のところに、140刷と書いてあってこれが一番ビビりました。
重版140回って……。



●21・素浪人刑事 東京のふたつの城

どこからどう辿り着いたのか覚えてないんですが、Kindleで「江戸もの」「推理もの」を漁っていたらレコメンドで出て来たのかな? と思います。

大政奉還がなされず、2020年代まで徳川幕府が続く日本は、征夷大将軍を元首とする立憲君主制の国家となっていた。ある日、さむらいの矜持をもつ素浪人の刑事・桑名十四郎の眼前で、旧知の情報屋ホセが射殺される。背後には、幕府存続に関わる警察上層部の謀略が。

「素浪人刑事 東京のふたつの城」作品紹介より

早川書房なのでSFカテゴリなのかな? と思うんですが、この設定に惹かれて読んでみました。
作者さんはどちらかというと音楽系の評論畑の方かな? と、経歴を見て思いました。
フィッシュマンズに関してなど、音楽系の本は結構出されてるみたい。
小説としての単行本は、これが初みたいです。
単行本未収録の短編はそこそこあるようなので、長編は初めてなのかな……??
Yahoo!ニュース個人オーサーもされていて、音楽ジャンルの記事が沢山ありました。

江戸幕府が大政奉還しないまま現代まで歴史が進んだら、というIFもので、SFベースのハードボイルドものになるのかな?
設定や歴史考証がしっかりしている感じで、お話も面白かったです。
キャラも分かりやすい。

反面、表現に読みにくさを感じるところもありました。これは自分の文章も似たところがあって自覚があるのですが、「一文内の読点が多く、文が長くなりがちな気がする」「サラッと入って来ない倒置法、ここはなくても良いのでは? と感じる倒置法がある(でも文章内での引っかかりを作る、というのは印象に残すための手法でもある気がする)」みたいなところなのかな……??
僕はあまり文章や構成を分析するようなタイプではないので、ザックリ全体を雰囲気で掴むような感じなんですが。
あまり今まで読んで来なかったタイプの文章に感じ、新鮮でした。
ほぼ推理ものしか読んでこなかったからだろうか。

お話は、もうちょっと主人公が刀で敵をぶった斬る爽快感が欲しかった……。
全体的に権力相手に翻弄される一人の市民、という感じで、なんか学生運動で官憲相手にゲリラ戦をやるようなしんどい戦いが続くんですよね。
そういうところを描きたかったのかもですが、もっと刀で戦うところが見たかったなぁ……、というのが個人的な感想。
侍と刀、となると、ナイスな斬り合いを期待してしまうのですよ。
ただ、最後はきちんと刀を使って良い感じに全てをまとめ、スッキリ感もあると思います。
でもそのこの部分が、本当に最後の最後なんですよね。
もう少し、大暴れカタルシス部分が欲しかった気がします。

お勧め度は、5段階で☆3。
ifものとして、歴史の流れの作りとか良くできていて面白かったです。



●番外編・痔だと思ったら大腸がんステージ4でした 標準治療を旅と漫画で乗り越えてなんとか経過観察になるまで

漫画なので、番外編に。コミックエッセイ。
上に漫画2冊入れてますけど、ちょっと自分の中でカテゴリが違う感じ。

歳もとってきて、こういうの読んじゃいますね。
自分も、「病院行ってなんか変なの見付かったら怖いし。そのうち治るやろ」と思って病院に行かないタイプなので。
気を付けなければ。
Kindle Unlimitedにて読了。



●番外編・人生が一度めちゃめちゃになったアルコール依存症OLの話

アル中のお話は、「失踪日記」「アル中病棟」が僕の中では燦然と輝く金字塔なんですけど。
実体験系の闘病ものは、読ませる力がありますよね……。

アルコール中毒やうつみたいなものは、僕は病気の一種だと思うので。
「病気扱いしやがって!」とか、そういうことではなく。
病気なので病院に行ってちゃんと診断してもらって、寛解診断をもらうまで薬を飲み続けるべきだと思っています。
骨折したら絶対病院にみんな行くし、勝手にギプスを外したりしないし、骨が折れてるから歩けないのも当然だと思うのですが。
精神的な症状とか中毒症状も、やっぱり病気だと思うんです。世の中、本人含めて、なかなかまだ理解が進んでいないところを感じます。


他にも、推理もののおすすめを漁っていたら当たったかなり古い本とかもあるのですが、読みかけて投げ出したものも数冊あります。
ゲームを全くしなくなったし、XみたいなSNSもほぼ見なくなり、スマホを弄る時間が激減しました。
時間って、作ろうと思えば作れるんだなぁ……


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