幻の「音威子府そば」に東京で再会
こんにちは。
北海道で一番小さな村(人口が少ない)である音威子府村をご存じでしょうか。
「おといねっぷ」と読みます。
道北に位置し、この村の中には今も鉄道が通り特急も停車する「音威子府駅」があります。
その音威子府駅には、駅そば好きはもとより鉄道ファンの間で有名な駅そばがありました。実と甘皮を一緒に挽くことで真っ黒に仕立てた名物そばでした。
残念ながら店主がお亡くなりになられたこともあり、2021年2月に閉店してしまいました。
音威子府駅は、旭川駅と稚内駅を結ぶJR宗谷本線の途中駅です。
昭和の時代くらいまではJR(国鉄)は道北に様々な路線網を持っており、音威子府駅は乗り換え客で駅そば屋さんは大いに賑わったようです。
天北線という乗り換え路線が廃止となり単なる中間駅となってしまいましたが、それでもここのそばを求めてやってく来る人たちは多くいたようです。
私もその一人であり、今から25年ほど前に訪れて真っ黒いそばを食べました。正直なところ味はあまり覚えていないのですが、真っ黒だっということだけは印象に残っています。
今であれば、食べたそばやお店を写真に残しておくと思いますが、当時はスマホはおろかデジカメもない時代であり、そもそも食べ物の写真を撮るという文化がありませんでしたので仕方ないですね。
さて、音威子府そばが東京で食べられるお店が2019年にできたということを知り、あの幻の黒いそばに久々に「再会」するために足を運ぶことにしました。
そのお店は、東京・四ツ谷にあるその名も「音威子府TOKYO」さん。
このお店の店主は北海道を旅したときに音威子府そばに魅せられ東京でお店を持つことにしたとのことです。
満を持して、3月のある平日の11時50分頃、妻と一緒にお店を訪問しました。
カウンター席を案内され、ネットにより予備知識を得ていた、お目当てであるランチメニューの「音威子府セット」を注文しました。
先客はこの時点で一人。
カウンター越しに店主が話しかけています。「稚内の方には行かれたことはありますか?」
なるほど、いきなり音威子府というとハードルが高いので、まずは道北の中心地である稚内からせめるということかと、妙に納得してしまいました。
そうこうするうちに音威子府セットを形成する料理が説明とともに出されます。
四谷で150年続くお豆腐屋さんのおから、北海道産のじゃがいもを使ったポテトサラダ、北海道産ゆめぴりか使用の炊き込みご飯、海老・茄子・大葉の天婦羅、そしてメインの音威子府そばと薬味。
そばは冷、温どちらかを選択できますが、冷たいそば(ざるそば)を選択しました。
見た目も豪華で美味しそうです。
料理を出しながら店主ともう一人のスタッフの方が気さくに話しかけてくれました。
妻とこそこそ北海道に行ったときの話をしていたためか「北海道に何か縁があるのですか」と。
私が、実は音威子府駅に行ってそばを食べたことがあることを話したところ、すごく喜んでいただき、そこから話が弾みました。
音威子府そばは、コシがあり香りが良く本当に美味しいそばでした。
「再会」などと言っていますが、現地で食べたときの味はあまり記憶にないので、初めて食べる味であり、こんな美味しいそばがあるのか、という印象を受けました。
会話の中で教えていただいたのですが、北海道では温かいそばが好まれるので、あまり冷たいそばで食べることはないそうです。
音威子府駅でも温かいそばのみの提供だったとのことです。
サイドメニューも含めて全てが美味しく、最後に出された蕎麦湯もまろやかなで後味が良いものであり、店主との会話も楽しく最高な「再会」の時間となりました。
ちなみにこの「音威子府セット」は税込1400円。驚きの安さです。
お店から示されたリーフレットの最後にという欄に書かれていた「駅そば好きが最後にたどりつく伝説の蕎麦」と言葉を胸に刻み、再訪を誓いつつ、お店を後にしました。
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