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[2006.9.18] サッカー日本代表、年代別カテゴリの謎

(ココログよりサルベージ)

昨夜、シンガポールで行われた「AFC U-17アジア選手権」決勝。日本が北朝鮮を延長の末4-2で下し、 12年ぶりの優勝を果たした。


すごいことだ。


試合内容もすごかった。個々のテクニックも素晴らしかったし、前半を終えて0-2だったのをまるごとひっくり返す底力もすごい。 正直この大会を見たのはこの試合が最初で最後だったのだけど、世間的にももっと注目されていい。 (優勝したからには注目されちゃうだろうけど。)

前回の優勝(1994年)時のメンバーは小野、高原、稲本というまさに黄金世代。今回のメンバーは彼らと肩を並べる期待がもてるわけだ。
決勝戦の相手の北朝鮮はみな体格が大きく、日本の選手は線が細くて当たり負けが多かったのが心許ないれど、 1年あれば全く変わってくるのがこの世代。ちょっと楽しみだ。(っていうか北朝鮮はもしかして年齢詐称じゃないだろうか?)

ところで、日本代表の年代別カテゴリーは、いったいどれだけあるのだろう?U-20だU-21だと、 しょっちゅういろいろな数字を耳にする。

さらに疑問。今回の大会は「U-17アジア選手権」という名称なのに、出場資格は16才以下。いったいどういうこと?

ということで、調べてみた。

基本ルールはたった3つだ。

  1. 大会ごとに、年齢制限がある。(もしくは無制限。)

  2. その大会を目指すためのチーム編成が、代表の年代別カテゴリーになる。

  3. 年齢制限のある主な国際大会は、以下の通り。

    • オリンピック … 予選および本大会で23才以下。(4年ごと)

    • FIFAワールドユース選手権(*1) … 20才以下。(2年に1度、奇数年。)

    • FIFA U-17世界選手権(*1) … 17才以下。(2年に1度、奇数年。)

話をややこしくしているのが、「U-xx代表」と言ったときに、 本当にxx才以下の選手を集めたチームなのか、 次のU-xxな国際大会を目指すチームなのか分かりにくいことだ。
日本ではこれがしばしば混同されて使われるのでタチが悪い。JFA(日本サッカー協会) のサイトからしてそうなっているからどうしようもないか・・・。たとえばJFAのこのページの「U-23日本代表」 はオリンピック代表を意味していて、本文を見ると「U-21代表は・ ・・」なんてしれっと書いてあったりする。

基本は、あくまで

U-xx … 本当にxx才以下(*2)の選手を集めたチーム

だ。オリンピック代表は予選および本大会でU-23だから、 その前年では代表候補の選手は22才以下でないといけない。つまりU-22だ。
今年(2006年)はオリンピックの前々年なので、そうするとU-21がオリンピック代表候補になる。 だから2008年北京オリンピックの出場を目指す反町監督が率いるのが、今年は「U-21」で来年は 「U-22」となるわけだ。 (もちろん数字が変わるだけで世代や選手が変わる訳じゃない。 当たり前だけど。)

同じ理屈で、FIFAワールドユース選手権はU-20。 この前年にこの大会の予選を兼ねたAFCユース選手権というのが行われることになっていて、 このときの代表はU-19ということになる。これは理にかなっている。

今回の「AFC U-17アジア選手権」も同じで、この大会は来年行われる「FIFA U-17世界選手権」の予選を兼ねている。 だからメンバーは16才以下でないといけない。
ところが大会名に「U-17」という文字が入っているおかげで、 「U-17の大会に参加するのはU-16代表」という複雑な表現になってしまっているわけだ。

複雑な表現ならまだしも、このあたりを分かってない(もしくは読者に正確に伝える気がない)人が記事を書くとこんなさらに複雑なことになってしまう。

サッカーのU―17(17歳未満)アジア選手権は ... 来年8、9月に韓国で開催されるU―17(17歳以下) ワールドカップ出場権を獲得した。

U-17の「アンダー」を、アジア選手権のときは「未満」、 世界選手権のときは「以下」と無理やり解釈してるのですよね。ご苦労さまです。読んだ人は余計に混乱するだけでしょう。

ということで、同じ大会を目指す代表チームの名前(U-xx)が年によって変わるということが分かれば、 この話は解決!


(注1)
FIFAワールドユース選手権は2006年より「FIFA U-20ワールドカップ」、FIFA U-17世界選手権は「FIFA U-17ワールドカップ」と名称が変更された。ぼくはこの変更が気に入らないので(笑)ここでは古い名称を使っている。
(注2)
「○才以下」と言った場合、「その年の誕生日に何才になるか」を意味する。
たとえば今回のU-17アジア選手権はU-16代表なので、今年16才になる(なった)選手が対象。。 日本の学年で言えば高校1年生か早生まれの高校2年生にあたる。 この世代の日本代表が活躍できないのは主力選手が受験を終えたばかりで新チームにも馴染んでない時期だからという指摘があるが、 これはクラブユース所属の選手が増えてくれば解決するだろう。
(注3)
U-20大会とU-17大会の3才違いというのはうまくできていて、どの年に生まれた選手でも、 このどちらかの大会に年齢制限ギリギリで出場することができる。たとえばU-17大会の時点で16才だった選手は、 その4年後のU-20大会で20才で出場できる。逆にU-17大会で17才だった選手は翌々年のU-20大会では19才での挑戦になる。
一方、オリンピックは4年に1度、U-20大会の翌年か3年後のどちらかにあるので、U-20の主力(20才)がオリンピックの主力 (23才)になる場合とならない場合が交互にやってくる。来年(2007年)のU-20大会はオリンピックの前年のため、 その主力選手がオリンピック代表になるのは難しい。なれたら「飛び級」と言える。
逆算すると、オリンピックの年に24才になる選手は不利と言えるかもしれない。その前年は23才、 3年前は21才でU-20大会には出場できない。5年前は19才で主力にはなりにくく、7年前に17才でようやく(?) 世界大会の主力の年齢だ。
2004年のアテネ大会で24才の選手というと1980年生まれ。歴代の日本代表では市川、遠藤、大黒、加地、玉田、西、巻の7人いるが、 市川以外は遅咲きのイメージがある。もしかすると世界大会と年齢の関係がその理由の一つかもしれない。

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