変わらなくて良かった

ほんのちょっとのことでも
これさえやれば、安心。

一つ何かが起きたと思うと
また不安になる。
”分からないこと”が、不安になる。

原因は何だろうと、探し始める。
今はスマホ一つで、”答えみたいなもの”が見つかる。

”きっとこれだろう！”

自分が持つ悩みに近いものを見つけて、当てはめる。
そして、安心する。
”分からないこと”が、怖かったのね。

より良い生き方をするために、習慣を作った。
それは小さな小さな習慣。
早起きするとか、筋トレするとか。
そういうものよりもっともっと小さな習慣。

仕事場に着いたら、まず何をするか。
電車はどの車両に乗るか。
その日はどんな服を着るか。
明日の準備は、いつするか。

よりよく生きるためだった。
今よりもっと良くなる！と思ってしたことなのに、
その小さな一つ、一つが叶わないことに
悲しみ、怒り、悔しさを感じて
いつの間にか、それが虚しさの元になる。
習慣が、ルールに変わっちゃったんだ。

これさえやっておけば、安心
これさえ飲んでおけば、安心
これさえ食べていれば、安心
安心が、ただただ、欲しくて。

ほんとは何も要らなかったね。
今よりもっと良くなろう！なんて、思わなくてよかったね。
足りないものはなかった。

だからって、白目むいて倒れてていいよって
わけじゃないんだけどね笑。

変わろうとしなくて、良かった。
何者かになろうとしなくて、良かった。
自分は、自分で、ここにいる。
もうそれで、良かったんだ。

”このままじゃいけない！”

誰かに、ずーっと、言われてたと思っていたみたい。
ちょっと、苦しかった。

今はなんか少し、ほっとした。