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Curious Diver.
夏になると僕は海に繰り出して
シュノーケリングをつけて
海に全速力でダイブする。
いったん海に入ると、2時間は上がってこない。
自分なりに海にある神秘を見つけるまでは
意地でも上がってこない。
もしデートだとしても僕を一旦潜らせてしまえば
彼女はきっと止めることはできない。
疲れも忘れて無我夢中で、海と交流したい人間だ。
そして海から這い出てきて、辟易としている彼女のもとに
満足げな顔をして、戻ってくるのだろう。
本当に自分勝手なやつだ。シュノーケルをつけた僕の顔は
本当に腹が立つくらいブサイクだと思う。
そして海からあがってどっと疲労を感じて
浜辺で海の表面をぼーっと見つめる。
ざばーん、ざばーん、ざばーん。
一定のリズムにしたがって潮は満ち引きを繰り返し
海の表面は太陽の光に照らされて煌々と輝いている。
そして、視線の先にはもくもくと煙をあげてものがぷかぷか浮いている。何かを乗せてどこかへ運んているようだ。
海は壮大で、美しい。
もちろんそれだけでもいい。それがもう美しくて、その大自然を見ると日々の悩みなんか忘れてしまうほどに自分を包み込んでくれる。潜る必要なんて正直ないくらいに。
でも、僕は気になってしまう。
一見美しくみえる海の中は実際どうなんだろうと。
それが気になって僕は潜りたくなる。また全速力で海にダイブする。彼女はあきれはてて帰ってしまうかもしれない。
一見、穏やかな海の中には
実は激しい海流が流れていたり、
毒をもった生物や汚染物質を含むゴミや、腐敗したサンゴの塊があったりする。
僕はそこまで見ていたい。表面だけじゃなくて、その深層にある真相を見たい。それが醜いものだっていい、真っ暗な事実がそこにあったっていい。
僕が海が好きなのは、表面だけでは見えない神秘に魅了されたからだ。その神秘は美しくても醜くてもいい。ただただ、その神秘を追い求めてしまう。
なんのためにその神秘を追い求めるのだろうか。
きっとこうだ。
ただそれを「知る」ためなのだろう。
もしかしたらその深層にある真相に対して
僕ができることを模索しているのかもしれない。
僕はダイバーだ。
僕は、あらゆる事実の真相を求めて深層に潜っていたい。
表面に見える美しさの背景にある
美しくも醜くもある神秘を
知りたいし、関わりもしたい。
僕は、「ダイバー」だ。
僕は今日も何かに潜ろうとしている。